小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2012/07/01

一宮〜犬山 2012年6月

名古屋圏から近くでありながら、比較的歴史を感じる街である一宮と犬山。
これまでなかなか機会がありませんでしたが、梅雨の晴れ間に散歩気分で行ってきました。


いつものように最寄り駅で輪行作業開始。
今回は妻が全行程同行します。これまでレンタサイクルを利用することが多かった妻ですが、何を思ったか、先月折りたたみ自転車を購入、今日はマイ自転車で走るそうです。さすがは折りたたみ自転車、ものの数分で作業完了。
そこへ通りかかった50代らしき駅員の方々が話しかけてきました。
「へえ〜、こんな風にたためるんか」
「たくさんギアがついとるが」
「オレも自転車好きなんだ」
私の自転車にも目をやり、
「オレのはこっちのタイプだ」
「おお、こっちもたくさんギアがついとる」
「軽いギアだと空回りするんでねーの? ワハハ」
ハハハ... 朝から和んだ気分で目的地へ向かうことができました。

名鉄特急の車内はそれなりに混みあっていましたが、名古屋駅で乗客がどっと降りると、車内は急に空きました。ほどなく列車は一宮に到着。駅前はあいにく工事中で、わずかに有機溶剤の臭いがする中、自転車を組み立ててスタートです。


アーケード街


真清田神社

午前中のアーケード街、飾り立てていない、目が覚めていないような、まったりとした雰囲気がよろしい。いいなあ、ここ。今度ゆっくりと歩いてみたい。
アーケード街を抜けると、そこに真清田神社。清々しい空気に満ちた、落ち着くところです。愚かな私でも、どことなく格が違うのを感じます。長年、地域の人々に親しまれてきた場所である雰囲気もしっかり伝わってくるのでした。

少々早い時間ですけれど、近くのハンバーガー店でお昼を。店内は狭く、席数はわずか6。とてもオフ会では使えない狭さです。
ここ、親子2人で切り盛りされているようで、たくさんの注文を抱え、とても忙しそうでした。待つことしばし。年甲斐も無くグーグー鳴るお腹をなだめていると、注文したチーズバーガーができてきました。
すばらしい! すべてが優しく、やわらかい。
パンズの豊かな香り。淡い風味のパティ。ほのかな酸味のトマトソース。それらの絶妙なハーモニーを決して崩さず、ひっそりと寄り添う感のチーズ。全部手作りであることが疑いようのない味です。はかなさすら感じさせる、その繊細さは、日ごろ濃い味、化学調味料に親しんでいると、全く理解できない味でありましょう。
男性諸兄にとっては、ボリューム的に満腹にはならないとは思いますが、心が十二分に満たされるのでありました。


昼食はここで


チーズバーガー

さて、ここから木曽川へ向かって北上します。
古い店舗が所々に見られ、味のある街並みを抜け、用水路沿いを通りつつ、田畑が広がり、蛙が鳴き、蝶が舞う、のどかな風景の中を進んでいくと、ツインアーチ138が見えてまいりました。


ツインアーチ138へ


ここからサイクリングロード

光明寺公園に着いて、サイクリングロードを東へ走ります。平和な、ゆったりとした時間が流れていました。比較的家族連れが多く、ロードバイクの類がいなかったせいでもありましょう。凹凸のある路面、それにUP-DOWNのない平坦路。距離も短い。ロードバイクの練習にはならない気がします。そこまで計算されて作られたコースだとしたら、スゴイですね。
河田橋
サイクリングロードはすぐに終わり、河田橋を渡って、木曽川沿いの北側の堤防を走ることに。広々とした河原の風景の中、数々の野鳥のさえずりを聞きながら走るのは、自転車の醍醐味であります。スズメやカラス、鳩、ムクドリ、時折ウグイスが交じるのも楽しい。都市にいたら、わからない世界ですね。
思いやり橋を渡り、今度は南側の県道をしばらく進みました。
ところが白山神社の先で少々道に迷い、神明社そばにあった喫茶店で休憩。


喫茶店で休憩


ミニたい焼きはおまけです

ここの女将が話好きで、一宮から自転車で走ってきたことを喋ると、たいそう驚かれました。せいぜい20km+αかと思いますが、そんなにスゴイことなのでしょうか。居合わせた客人とも話し込んでしまい、他にもあれやこれやと。まぁ、中高年の共通の話題といえば、健康のこととか、消費税のこととか... たっぷり休憩し、元気をもらいました。ありがとうございます。

再び木曽川沿いを東へ。ライン大橋に到達すると犬山城が見えてまいりました。トンネルをくぐり、右へ折れて坂を上ると、そこはもう犬山城への入口。


犬山城へ


大き過ぎない、風情ある城です

先ほどの喫茶店の女将の勧めもあって、自転車を置いて、城を見学することに。内部は辛気臭いというか、季節的なものか、微妙にカビ臭いところに、また味がありますね。
天守閣の外も、欄干が腰より低い高さなのに、金網もネットも無いところがよろしい。ちょっとコワイ...


バカは高いところが好き


若者が大勢

入口に戻ってくると、この手の場所にしては考えられないほど大勢の若者たちが集っていました。その数、100人をはるかに超えているでしょうか。
何でも「城コン」とかいうものらしい。ミスコンではありません。
「知らないの?」と、妻がバカにしながら、私に解説してくれました。合コンに近い、街コンというものの変形版らしいです。各所で幾人かのグループごとにまとまり、互いに自己紹介をしています。
よくわかりませんが、イベント的な、大資本の気配があまり感じらません。皆様、あまり力が入っておらず、穏やかに見えます。

いいなあ。
私が若かりし頃は、もっと力んでいました。企画ばかりが先行しているようなところもありましたし、競争だったし、ヘンに気合を入れて、先を急いでいました。恥ずかしい。
あのころの自分におしえてやりたい。もっと力を抜くこと。他人の、それぞれの世界を理解すること。ユルい、穏やかな世界があること。それらを脳だけでなく、心や体で感じること。

犬山の城下町をゆっくりと走り、駅へと向かいます。
なぜか若者を多くみかけました。ここは、手ごろなデートスポットでもあるようです。大都市のショッピングストリートや、テーマパーク、カフェやバーがすべてではない。こうした、少々素朴な、ゆったりとした世界を楽しむのも素敵なことです。


城下町


犬山駅

犬山駅に到着。ここから輪行して帰りました。
一宮からの走行距離は30km/h弱。ほぼ平坦ですし、初心者には手ごろなサイクリングコースではないかと思います。
                           (おしまい)