小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2012/01/15

関と亀山、鈴鹿 2011年11月

11月も残すところ数日。ここ東海地方の朝の最低気温は10℃を下回ることがごく普通になりました。ただ、日中の気温は10℃を超える日が続いています。
寒くてどうしようもなくなる前に一度遠出してみたい、そう思うのは旅好きなサイクリストの性でしょう。


車に自転車を積み込み、朝7:30に出発。気温は3℃。寒さに備えてヒートテックのシャツとタイツを着込み、ネックウォーマーに加えて厚い靴下も。近ごろは年齢を考え、冷やさないことを第一に考えるようになっています。
道の駅
ラジオの交通情報で伊勢湾岸道の渋滞を報じていました。事故渋滞+いつもの交通集中による四日市JCT〜鈴鹿の渋滞が計20km。ありゃあ〜、朝からテンションが下がっちゃいます。ええい、下道で行ってしまえ。交通量の多い、幹線国道を走ること約100km。道の駅関宿に到着したのでした。
今回同行の妻は嫁は道の駅でレンタサイクルを借用し、旧東海道関宿は西の追分へ向かいます。

西の追分
西の追分

街並み
古い街並み

西の追分からいよいよ関宿の街並みを通り抜けていきます。
自転車でゆっくり走っても、そのスピードですら速すぎる。本来ならもっとゆっくりと歩いて移動したほうが、この宿場町を満喫できることでしょう。

地蔵院
地蔵院

街道そば
お昼

まず地蔵院そばの会津屋で腹ごしらえをしました。そばもいいですが山菜おこわがウマイ!

草餅 食後に何かもうひとつ、甘いものが欲しい。混んできた会津屋を出て、街中を先へ進みます。有名な志ら玉屋、も気にはなりましたが、私がピンと来たのが少し先の菓子処。
小さな、どうやら観光マップにも載っていない、でもとても温かなお店でした。店頭で草餅を買い求めた際、その場で食べるから包装は不要なことを伝えると、狭いスペースながら椅子を出してくれ、店主がお茶まで淹れてくれました。
この草餅がすばらしい! よけいなものが一切入ってない、よもぎの風味が詰まった味でした。店主の姪御さんによる手作りだそうです。なるほど、大量生産品には絶対に出せない味なわけですね。
店主が気さくな方で、店内の商品や展示の説明を聞いているうちに、話は店主の海外旅行の話に。ヨーロッパだけでなく、インドやネパールの話、興味深かったです。姪御さんも楽しそうに聞いているようでした。こんな意外な展開も、旅の醍醐味です。

さて、再び街道を西へ走り始めます。
高山のような規模はないけれど、妻籠のように賑やかではないけれど、どことなく落ち着いていて、強い商売っ気も感じません。

正法寺山荘跡 すぐだし、坂なんて無いし、と菓子処の店主に薦められた正法寺山荘跡へ向かいましたが、とても徒歩では行けないほどの距離があり、ゆるい上り基調で、終盤にはキツイUPもあったため、レンタサイクルの妻と自転車を押して上るはめになりました。
紅葉がきれいでした。派手さはなく、観光客向けの要素も少ないものの、静かな、落ち着くところです。


東の追分 ここから妻は関宿中心部へ戻り、足湯やアンティークカフェを楽しむことに。
私は亀山宿へ向けて西へ向かいます。

画像は東の追分。この鳥居はもと伊勢神宮のもの。20年に一度のご遷宮の際、宇治橋の鳥居が移されるのだそうです。かつては東海道と大和街道を通ってきた、京都や奈良、大阪方面からの参拝者がここを通り、お伊勢参りが始まるのでした。

鈴鹿川
1号線を外れて鈴鹿川沿いを走り、陸橋を渡ります。店舗など一切ありませんけれど、静かで雰囲気のある街道です。
気温はとっくに10℃を超えていて、日なたなら十分暖かを感じるほど。セーターを脱ぎました。ヒートテックの肌着も要らないくらいです。



亀山宿
亀山宿に入りました。東町商店街を抜けて旧東海道をさらに東へ。観光客向けに整備されているわけではないけれど、随所に往時の名残を見ることができます。
ローソクのカメヤマ工場を過ぎてしばらくすると旧街道の雰囲気は消滅、交通量がぐっと増えました。


鈴鹿市に入り、国府を通過した後、奈良池へ行きたかったのに道がわからず、ぐるぐるしてずいぶんタイムロスしてしまいました。結局幹線道路近くを大回りして奈良池東を回り、鈴鹿サーキットへ。といっても音だけです。中に入らずにコースを見ること、つまりタダ見はできませんよ。130R〜シケイン〜最終コーナーあたりでしょう、四気筒らしいエグゾーストノートが聞こえ、年甲斐もなく私もテンションが上がるのでした。
鈴鹿サーキット
コース下をくぐり、街路樹の美しい鈴鹿スポーツガーデンを抜けていきます。ここから折り返すように向きを変え、関へ向かって西へ。
とたんに北西の風をまともに受けました。しかも上りが続きます。
焦らずにじっくりと上り、鈴鹿川に出ました。流域には豊かな田畑が拡がっています。

鈴鹿川
川沿いをさらに西へ、JR紀勢線のガードをくぐれずに踏切まで迂回しつつ、進みます。
それにしても向かい風で思ったように進みません。さらにおろしたての革サドルが災いし、尻が痛い。我慢の走りを続けました。




関駅
伊勢自動車道 関JCTに達すると間もなく関駅、続いて関宿に到着。
向かい風に体温を奪われるばかりと思っていましたが、気がついたら実は汗びっしょりでした。風邪引きそう。




車に自転車を積み込み、帰路は高速...のはずでしたが、亀山〜鈴鹿間 事故渋滞8kmの表示。ええい、どうせ往路も下道だったんだ。もういいや、帰りも下道だ。
幸いなことに、特にイラつくほどの渋滞もなく、無事帰宅しました。カーサイクリングで往復200km下道、しかも主要国道というのは初めての経験でしたが、肝心のサイクリングで体力を温存できたからこそ車での疲労も少なく済んだのだと思います。


やはり今回のハイライトは関宿でしょう。
帰路、あの菓子処の主人の話を思い返していました。
ここを訪れる観光客は、決して少なくはないのだけれど、とにかく皆時間が無い。
観光バスで来る大勢の人たちは、奈良への道中だったり、お伊勢参りの帰りだったり。休憩時間が何分と決められているから、ダダダーっと来て、さーっと引き上げてしまう。
現代人は慌ただしく過ごすことばかりで、四季を五感で感じながら、時間をゆったりと使う能力を失っているのかもしれません。

菓子処では草餅があまりにおいしかったので、草餅に続いていばら餅もいただいたのでした。こちらはシンプルな皮ですけれど、いばらの葉の奥深い香りがたまらない。このいばらの葉、すぐ近くの里山で採ってくるそうです。
世間では、やれ節電だの、LEDだの、エコカーだの、環境負荷だのを騒いでいます。確かにそれらはおろそかにしてはいけないことだとは思います。
けれど、いばら餅のように、ヨモギ、クズ、ドクダミなど、“その辺のもの” を自ら利用する、食べる、という、生き物として大切な能力も、私たち現代人は失いつつある気がしました。
                           (おしまい)