小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2014/12/28

西三河グルメツーリング 2014年12月

11月下旬に交通事故に遭って以来、軽トラに挟まれたほうの足は回復してきたもののまだ痛みが残り、腰の骨はリハビリ中。病院ばかり行ってるせいか、いつも以上に気分転換が必要でして、全国的に強い寒気が流れ込んでいると報じられていたにもかかわらず、おいしいものを食べに自転車で走ってまいりました。


全行程自走でも行けそうな距離ではありましたが、気温0℃まで冷え込む寒さと、その寒さに慣れてない同行者の妻の体力、それに自分自身の年齢を考慮して往路は電車を利用することにしました。
近所の最寄り駅で自転車を分解し、輪行袋に収納しました。寒さに震えながら作業したので少々手間取ったのと、いくらか体力を消耗したような気がします。冬の寒さを甘く考えてはいけませんね。
JR岡崎駅で浜松行き普通に乗り換え、三河塩津駅で下車しました。マイナーな駅かと予想していたら、わりと多くの客が降り、駅前も立派に整備されていました。


三河塩津駅から出発


北西の季節風がキビシイ

自転車を組み立てて出発しました。幹線道路を避け、味わいある小径を抜けていくつもりが、しかし道を間違えていつの間にか北方面へ進んでしまっていたようです。ご通行中の方々に道を訪ね、ロスしたルートを戻りました。寒さの中ではこうした小さいことが後で響いてくるような気がします。気を取り直してやや交通量の多い県道を西へと向かいました。
気を取り直してといきたいところなのに、北西の季節風が強烈に吹きつけて速度が出ません。道端の枯葉が自分のほうへ向かって勢いよく吹かれてきます。しかも海沿いの道にもかかわらず、UP-DOWNが始まりまして、向かい風と登坂のダブルパンチ攻撃に、妻は早くも戦意喪失。そりゃ帰りたくもなりますよ。
たいした距離ではないのに、東幡豆に着いたころには想像以上に時間が経過、体力も奪われておりました。


本日の昼食会場


魚料理がすばらしい!

昼食に選んだお店はこれまで何度か来たことがありまして、相変わらず家庭的というか、落ち着く雰囲気が好印象です。
魚のフライってこんなにウマかったのか! と感激するほどで、ふだん地元で食べていたのは何だったんだろう、とわからなくなります。妻も照り焼きを大絶賛。苦労して自転車で走ってきたから よけいおいしいのかもしれませんね。

食後は北方面の自宅へ向かわずに、北西方面の西尾市街を目指します。


海水浴場にはたくさんの海鳥


冬の太平洋が美しい

ところが冬はこの方向が凶でした。北西の強い季節風とまともにぶつかることになり、巡航速度はふだんの半分以下。風の勢いにやられて真っ直ぐ進むことすら難しい。気温は7℃程度らしいのですが、体感気温は0℃に近い気がします。体も顔もいいかげん凍えてきました。

ぎゅるる〜。
はっ! まずい、まずいぞ〜。こんなところで下腹がヘンな感じだなんて。
どこか駆け込むところも無さそうだし、ええい、気づかなかったことにしよう。
ぎゅるる〜。
ううー、これは一生懸命漕いで体を温めるしかないっ! というわけで幡豆町と吉良町の境にあるプチ峠の上りで妻を置いてダッシュ。体が温まってどうにか下腹はおさまったみたいです。
峠の上で妻を待ってから、西尾市街を目指して下っていくと、今度は足先が限界に近づいたようで、痛くなってきました。しまった、足先のカバーをしてくるべきでした。準備不足を悔やんでも遅い。そのまま我慢して走り、ようやく西尾市街に達したところで微妙に気温が上がったのか、痛みは治まりました。ほっ。
ごみごみした街路を抜けて、ようやくカフェへ到着です。つらかった〜。


カフェの前は女子高生の自転車でいっぱい


ホットケーキですよ

カフェは混雑していたものの、すぐに座ることができてよかったです。
ホットコーヒーとホットケーキを食べて温まりました。素材が良いことがこのカフェの特徴で、やさしい味なんです。それと女性客の多さも際立っている気がします。この日、女子高生を含め、私以外のお客が全員女性。スタッフも女性ばかりなので、店内に男性は私一人だけ。妻がいなければ大変居心地が悪かったでありましょう。

さあ、人心地ついたところで進路を北へと走りだしました。
が、妻が来ません。振り返ると自転車を押しています。


凶悪な金属片が刺さってます


冬の田園風景も味わい深い

なんとこのタイミングでリアタイヤがパンク! 妻にとっては初の経験です。まぁタイヤが細いスポーツ自転車に乗る以上、パンクを避けることは難しいのでありまして。
少なからずショックを受けている妻の横で、パンク修理開始です。場所が悪くてまともに北風を浴びる橋の上なのですが仕方ありません。早く済ませてしまいましょう。が、この寒さでタイヤが硬化していて、なかなか外れない。タイヤレバーのほうが曲がってしまいそうなほど。自分の手もかじかんでいて、思うように力が入らず、閉口しました。
かなり手間取りましたが、どうにかタイヤを外し、刺さっていた金属片を除去、スペアチューブに交換し、ハンドポンプで空気を入れて再出発できました。
冷え切った体を温めるべく自転車を飛ばす、といきたいところでしたが疲労が蓄積してきた上に、ここでも向かい風でペースが上がらず。冬の厳しさを痛感するのでありました。

そんな中、腰のあたりに何か固いものの感触。?? カナブンか? いや、まさかこの時期昆虫などいないはず。わずかにモゾモゾした後、妙な感触は消えました。後方で見ていた妻から聞いてビックリ! なんと走行中の私の腰に野鳥が止まったとのこと。スズメではなくて、ハクセキレイらしいのですが、人間に、しかも自転車で移動中の人間に野鳥が止まるなんて聞いたことがありません。
私が人畜無害、いえ、枯れ木のように見えたのでしょうか。枯れ木に見えるほど生命力が乏しくなっているということなのか、それとも人間臭さが抜けてきて半分鬼籍に入りかけているというのか、喜んでいいのか悲しいことなのか、複雑な気分に陥りました。

第2おやつタイムとして予定していたカフェでしたが、パンク修理の影響で15:00までという営業時間には間に合わず、急きょ代替候補先へと向かいました。気温が下がってきて体力低下を如実に感じてきた中、カフェに到着。


隠れ家のようなカフェ


コーヒーとシフォンケーキで栄養補給

丁寧に淹れたハンドドリップのコーヒーがおいしい。サービスのシフォンケーキも自家製でやさしい味。冷え切った体がほぐれていきます。
しばらくまったりして少し元気になりました。

日が傾いてきました。おなかも満たされたし、家までがんばって走ろう。
橋のたもとでの気温表示は5℃になっていましたけれど、強い北風のせいで体感気温はさらに2、3℃低い。
気温が下がっていく中、いよいよ暗くなり始めたところで帰宅しました。途中、パンクしなくてよかったです。もしパンクしていたら、気持ちが折れていたことでしょう。

すっかり冷え切って体力を消耗した私たちは、近所のラーメン店で夕食にしました。


ああ、いいにおいがする


温かいラーメンがありがたい

この日の走行距離50km少々。たいした距離ではないかもしれませんけれど、秋に50km走るのとでは消耗度合いがまるで違いました。軽く考えてはいけませんね。
夕食後、さらに私は孔が開いたチューブの補修作業という残業までこなし、温まった体が再び冷えたのでした。

就寝前、風呂に入ったら足先が痛カユイ。恥ずかしながら軽いしもやけになってしまったようです。その後かゆみが消えず、布団に入ってからもかゆみに悩まされて、自分のバカさ加減にあきれたのでありました。きっと賢明な諸兄は真冬の寒さの中、自らの年齢を顧みず長時間走るなどというバカなことはなさらないでしょうね。
                           (おしまい)