小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2022/07/24

RALEIGH CRNインプレッション(2015年モデル)

2014年夏ごろまであちこち旅に連れ出していたクロモリフレームのツーリングモデル:Anchor C9でしたが、虚弱な私には輪行したときの重さがつらくなってきて、RALEIGH CRNへ乗り換えました。
まっとうなロードバイクに分類されるRALEIGH CRNが旅用途になんて適しているのか、主にそうした観点からインプレをご紹介いたします。

RALEIGH CRN 結論から申しますと、少々荒れた路面を含めてほとんどの道が舗装化された日本で、数泊以上の旅をするには最適な車種の一つではないかと感じます。
スタイルを問わなければ、クロモリメッキフォークにフロントキャリアを付け、オプション設定のサドルバッグサポーターも装備することでかなりの荷物を積むことができます。大型のリアキャリアを付ければテントやシュラフまで積載可能かもしれません。

肝心の走りについては、他のカーボンバイクや軽量アルミバイクに比べると、クラシックなルックスと相まって、少々ゆっくり流すのが合っています。
他素材のロードバイクよりも加速は鈍い。加速のレスポンスにわずかなタイムラグがあるためで、ダイレクト感は薄いものの、一瞬溜めがあってからちゃんと加速していく印象です。ロスが大きいわけではなく、上り坂もしっかり進んでいきます。
曲がりなりにもロードバイクですね。ツーリングモデルのAnchor C9とはずいぶん違います。最新のカーボンバイクとは比較にならないものの、効率良く前へ進む感覚があり、レベルは低くともスピードをのせやすく、それなりの巡航速度は出せます。
走れば走るほど他者と競うような走り方ではなく、ツーリングに向いていることを実感します。

大きな特徴が、ほっとするような乗り心地。けっして柔らかいわけではなく、クロモリフレームにしてはカッチリした印象すらありますが、路面のインフォメーションを伝えつつもダンパーが効いているかのような、温かみを感じる落ち着いた乗り心地です。そのせいか疲れが脚に集中せず、体に分散する感覚でして、疲れた体にも優しく安心感が高い。さらにすっかり疲れてしまっていてもそれなりに乗り続けられる性格で、これは長所でもあり、場合によっては短所であるかもしれません。
また、ロードバイクとしては異様なほど低中速域での直進性が良く、機敏な進路変更が難しい代わりに、走り始めも上りでもふらつきにくく、私のような貧脚には大変ありがたい。

いいことづくめのようですけれど、微妙な点もあります。
まず前傾姿勢。ある程度は調整できますが、ハンドル位置を上げるとカッコ悪く、やや深い前傾ポジションに慣れるのは少々時間がかかりました。
マッドガードが実質純正品以外選びにくいのも人によっては短所でしょう。
ほかに、仲間と競う走り方は合わないだけでなく、ブランドやら序列やら、比較し合う世界とは違うところにいる車種だと思います。


細かい部分では、ハンドルにアナトミックシャロータイプが採用され、下ハンが持ちやすくなっています。
駆動系はShimano、主にTiagra系でまとめられていて不満は感じません。特にデュアルコントロールレバーはShimano 105が採用されていて少ないストロークで変速でき、ストレスが少なくなっています。
クランクもTiagraで好印象。ハブもTiagraが採用され、滑らかに回転する感触です。
メジャーなコンポーネントでまとめられていながら、ハンドメイド感が高いというか、ツーリング用途の自転車を深く理解している設計者や製作者の思いを感じるような気もしてきます。
私が購入したショップによると比較的バラの状態で卸され、ショップの技量が問われる反面、手作業が多いがゆえに組み上げた状態をきちんと把握できるのだとか。
太いフレームに派手なカラーのロードバイクに比べ、ずっと日常的な雰囲気が強く、どんな服装でも気軽に乗れる敷居の低さは、旅との相性も良いと感じます。

RALEIGH CRN 私のようなテキトー軟弱サイクリストにとって、10万円+αでこれだけの性能の自転車が入手できるのは幸福なことだと思います。

とても若者向けには見えない、いかにもおじさんに合うようなクラシックなルックス。
クラブパープルのカラーが少々派手で、中高年の私には少々恥ずかしいですけど、自然の中では落ち着いた佇まいを見せます。
まぁ、あまりチンタラ走ってるとみっともないかもしれませんが。


[追記 22/04/03]
購入から5年経たない頃から徐々にレスポンスが悪化していたフロントディレーラーでしたが、7年経過後にとうとうアウターからインナーに変速しなくなってしまいました。いちおう屋内保管ですのでどこにもサビは見られず、見た目では変速ワイヤーの変形も無さそう。それでもフロントアウターを常用しているため、アウターの位置でワイヤーがいくぶん硬化している可能性があると判断し、インナーワイヤーだけを新調してみました。(21/12月に作業) フロント変速ワイヤーを新調
ワイヤー交換後は何事もなかったかのようにフロントの変速がフツーに決まります。もっと早く交換すればよかった...
作業はさほど難しくありません。ワイヤー先端のタイコ部分をシフター側にはめるのに少々手間取りました。個人的には過去、触覚タイプのデュアルコントロールレバーの作業経験はありましたが、触覚なしタイプの作業は初めて。SHIMANO旧型105 ST-5700は、見ただけでは構造がわかりにくく、取説書を見ながら、バーテープを剥がさずにどうにか作業できました。取説書を保管しておいてよかったです。いざというときそれなりに有用ですね。費用はアストロプロダクツブランドのインナーワイヤー2本セット¥420のうち1本分。(21/10月、税別)


[追記 22/07/24]
ペダリング中の小さな異音が耳に付くようになり、購入してから1度も外したことのなかったBBを外し、グリスアップしてみました。気づいたのが左側のBBを外すときユルユルだったこと、右側に至ってはユルユルどころか緩めるトルクが限りなくゼロに近いこと... 経年使用でここまで緩むものなのかとそのときは思いました。 BBを外してグリスアップ
グリスアップしたBBを車体に組み付け直し試走すると、フロントの変速が絶不調。フロントディレーラーのプレート位置を車体内側へ1mm以上ずらし、正常に変速するようになりました。
こんな調整作業をしたのは初めて。BB再組み付けにより、クランクのチェーンリング位置が1mm以上内側へずれたのです。ということは新車購入時、初めから仮組み状態のまま、締まってなかったとしか思えません。
自転車ショップはもちろん、メーカーを責めるつもりはありません。ハンドメイド製品にはあり得ることでしょう。広い心で接したいと思います。しかし一般的なユーザーにとっては、BBの締め付けチェックは難しく、新車購入後の1か月点検や、定期点検の際、ショップに確認をお願いするのが現実的な手段かと考えます。