小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2015/12/23

初冬の矢作川下流 2015年12月

昨年11月に軽トラと交通事故、今年5月に帯状疱疹、7月にワンボックスに撥ねられ、10月には乗用車に酷く撥ねられて一時意識不明の重体に。なぜだかこの1年、ほぼずっと通院生活です。特に10月の事故はダメージが大きく、この先いつまで通院することになるのか予想もつきません。どうしてこんな目に遭うのか自分でもわかりませんけれど、とにかく回復途上にある現在、少しでも元気を出したく、温かいうどんを食べに行こうと思い立ったのでした。


動けない大きなカマキリ
この日は最低気温2℃ほどだったそうです。朝10:00近くの出発とはいえ、日陰は冷え切っています。自宅物置もといガレージの入口には時節に似合わない大きなカマキリが動けずに立ち尽くしておりました。カマキリには気の毒ですが私にはどうすることもできません。そっとしておきましょう。


およそ2ヶ月ぶりかそれ以上になるツーリング用途としてのRALEIGH CRNでしたが、久しぶりの感触は、とにかく優しい乗り味でした。事故で傷んだ体も、疲れた心も、優しく運んでくれます。ヘンですよね、自転車だから自分で漕がないと進んでくれないのに。
事故で廃車になったGIANT DEFY3は乗るとテンションが上がる感触でしたけど、RALEIGH CRNは対照的に、飛ばさなくても体に負荷をかけなくても満ちた気持ちになり、優しい気持ちで走れます。


矢作川を越えて


堤防上の道路は避けた

交通量の多い国道1号線の自歩道に入り、矢作川に架かる橋を越えて行くと、北西の風が冷たい。もっと着込んできたほうが良かったかと早くも後悔し始める始末。
堤防上の道路は避けました。交通量が少なくなく、交差点がほとんどないためにクルマが飛ばすわりには歩道や路側帯が無く危ないし、風が強めで冷え切ってしまいそうですし。


「通り抜けできません」


ねこじゃらしもいっしょ

「通り抜けできません」と表示されている小径を進むのも、ツーリング自転車の楽しいシーンです。滅多に人も通らないのか、途中にハトの群れが休息していて、私たちが通りかかっても至近距離まで気づかず、慌てて飛び立っていきました。驚かせちゃってゴメン。

寒さが堪える冬のサイクリングですけれど、同行の妻は幸い機嫌が良く、道端のねこじゃらしを摘んで自転車のサドルバッグに添えつつ走っておりました。

今回は9割がた初めて通るルート。ナビは持たずに紙の地図を見ながらですから、しょっちゅう止まって位置と方向を確認します。不便なようですけれど、止まるからこそ名も知らない草花や木の実に気づくこともあります。自転車ならではですね。


西尾市に入る


広田川

西尾市に入りました。 前方やや先には三ヶ根山でしょうか、たとえ低くとも山を目にするとどこか落ち着く気がします。日常、山を眺めることができる環境に住んでいると心が安らぐかもしれません。
一つの木にムクドリの大群がかたまっています。あまり風情もなく、嫌われることもありますけれど、寒さの中、彼らなりに懸命に生きているのでしょう。

広田川を渡り、お店に到着しました。
カウンター席中心のお店は体育会系な爽やかさがあり、妙な打算やかけひきなど感じられず、己の感性を信じる店主の姿勢が好印象。いただいた味噌煮込みうどんは、固めだがしっかりコシのある麺と、香りは深いのにあっさりな味の汁が、冷えた体に沁みていきました。


うどん店


味噌煮込みうどん

BGMは落ち着いたジャズが流れています。店には若いスタッフも多く、アンマッチな気もしますが、ジャズ好きな人は多様性に理解があるはずです。また食べに来よう。
白鷺でしょうか
食後はコーヒーを飲みに隣の安城市へ向かいました。
方角的にちょうど北西の冷たい風をまともに受け、どんどん体が冷えていきます。中でも橋の上は厳しい。河にはシラサギが群れていて、少し見物したかったのですが早々に橋から降りました。


数本、川を渡る橋を越えるのに向かい風+上りという悪条件にもめげず、安城市にやってきました。少々旧い市街を外れ、通りを走るクルマは気にも留めないだろう小さな喫茶店で休憩をとります。


喫茶店で休憩


ホットケーキもね

コーヒーだけでなく、ホットケーキも。さっき食べたばかりですけれど、自転車の動力源は食べ物。しっかり食べますよ。
コーヒーはスッキリしていながら口に含むと豊かな香り。おいしゅうございました。カウンター奥の、ふかふかなカーペットが敷かれた特別席にはお店の愛犬2匹が鎮座していて、垢抜けない、いい味わいを醸しておりました。

帰路は何度かスズメほどの大きさのハクセキレイを近くで見かけました。冬を実感します。 たいした距離ではないものの、寒風の中を走っているせいか、傷めた手首がけっこう痛くなってまいりました。日が傾く前に帰るべく、帰途につきました。


矢作川


サクラの葉が散っていく

この日の走行距離はたった35km。それでも回復中とはいえ、冬の寒さの中を走るなんて、怪我にはあまり良くない行動だったかもしれません。
しかし大人も子供も、家にこもっていたり、人ごみの中、あるいはショッピングセンターなど経済活動に浸っていると、どうしたって心が乾いたり、くすぶってしまうことがあるでしょう。私は特にそうした傾向が強いらしい。

寒かろうと何だろうと、身体を動かして素朴な自然を感じることが肝要です。
何か再加工したり、他人へ発信することなど無用。感じるだけでいい。
乾いた心に潤いを与えてくれ、くすぶった心身を浄化してくれるような気がします。
ただし昨年のようなしもやけには要注意ですね。
                           (おしまい)