小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2016/07/03

墨俣と大垣 2016年6月

自転車を四輪車に積載するサイクリングはおよそ2年ぶり。
今回はリアシートに2台を載せてみました。荷室に載せるよりも安定していて、振動でぐらつきにくいです。今後もこうして積むことにしよう。


名神高速は交通量が多いものの渋滞もなく順調に流れます。
長良川の河川敷にある平田リバーサイドプラザに到着し、自転車を組み立てました。


自転車を組み立てて出発


見事な麦畑

サイクリングスタート、まず長良川沿いに北上していきます。長良川サイクリングロードは堤防上を走る車道から一段低く、景色がそれほど良くはないものの、車道の騒音が抑えられ、これはこれでいいのです。私たち夫婦のほかにサイクリストは数えるくらい。サイクリングロードの舗装は荒れ、割れ目から雑草が生長し、小石も多い。スピード系ロードバイク集団には向いていません。でもだからこそゆったりと走れる気がします。

旧墨俣町が近づくと、道は長良川をはずれ、犀川に沿って木立の中を進みます。
あっ、アジサイがたくさん。沿道がよく手入れされていて、道行く人々を楽しませています。アジサイたちは何ともいえない愛らしさを振りまいているようです。
若い頃はアジサイなんて見向きもしませんでした。気づかなかったのでしょうか。いえ、美しいと言われても感じることはできなかったことでしょう。なぜ今はそう感じるのかはわかりませんけれど、たくさんのアジサイを見ながら走ることができて、ちょっと幸せです。


アジサイが美しい


墨俣城

木立が途切れると、忽然と墨俣城が現れました。
歴史的に知られる一夜城ではなく、歴史的価値はほぼゼロであろう、おそらくコンクリート建築。でもなぜかこの城に惹かれた私は、フラフラと城内を見学しました。入口付近の木々を、地元の方々が丁寧に手入れしています。きっと何の報酬も得ていないでしょうけれど。城内の展示も失礼ながら、マニアでない私にはそれほど興味を感じるものはありませんでしたが、この天守閣を備えた城が地元住民の悲願だったという説明を目にしました。私はこうした郷土愛に惹かれたのかもしれません。大規模な商業施設ではなくお城。集客のための営業よりも、手入れや清掃。この城はいにしえの砦ではなく、町のシンボルなのでした。城下には旧街道美濃路墨俣宿が拡がり、ガランとして垢抜けないこの空気が私にはたまりません。またゆっくり来たいです。


墨俣宿


揖斐大橋

ここから大垣に向かって西へ。県道31号は交通量が多く、少々走りにくい。ほかにサイクリストはほぼ皆無。サイクリングには向かない道ですけど、これも自転車旅の一部。急ぐこともないので自歩道をゆっくりと進みます。
揖斐川を渡る揖斐大橋で休憩していると「鳥が潜った」と妻。川の中州にはサギが見えますが、水面上からつついているだけだろと疑ってよく見れば、一羽が水中から姿を見せました。それから水に潜り、しばらく上がってきません。水中を自在に泳いでいます。野生のカワウだ。魚のごとく自由に泳いでる姿は初めて見ました。何だか見ているほうも少し元気になりますね。

空腹に耐えかね、途中のカフェで早めの昼食をとりました。
温かくてユルイ空気に満ちている、いいカフェです。この日のランチはさっぱり系の唐揚げと春雨。器に敷かれた手作りのマットが心地よい。食後にコーヒーを飲む頃になると、すごく眠たくなってきてしまいました。


小さなカフェ


素朴なランチ

眠気をこらえてサイクリングを再開、いよいよ大垣市中心部へ入りました。
四輪車は頻繁に行き交うものの、しかし、人通りは非常に少なく閑散としています。岐阜県第2の大都市といえども人口は減り続け、現役世代だけでなく、若年層以下が減少の一途。行政が積極的な移住支援策を打ち出しているとか。


大垣城


市内の水路

水の都と呼ばれるだけあって、水路が多いのが魅力的。
またゆっくりと来たい。一度通っただけでは気づかない魅力があることでしょう。

杭瀬川沿いに南下、県道96号を養老方面へ。少々向かい風になってまいりました。自歩道や路肩が狭く、走りにくい上に、昨年事故で傷めた右手首が痛くなってきました。気づかないうちに冷えたのかもしれません。 養老公園にも寄ってみたかったのですが、痛みが継続するため大事をとって断念しました。過去、ZZR250のプチオフで来たこともある美濃高田で東へと向きを変えました。
と、正面からの強風に面食らう! なかなか前へ進みません。まっすぐ進むだけで精一杯。少しずつ、少しずつ進むほかありません。なぜ? なぜ厳しい向かい風に当たってしまうんだ? 苦しいとき、つらいとき、人はしばしば原因を探します。それが犯人探しになったりすることも。

人生もそうだ。順風なときもあれば逆風が吹き荒れるときもあります。逆風のとき、人は原因を探し、対策したり回避したり軽減できないか模索します。どうにもならずに犯人探しを始めることだってあります。
しかし犯人探しをしたところで何かが解決するわけではありません。わかったところでどうにもならないことがほとんど。一歩一歩進むだけ、一歩も進めないときは、ただ堪え忍ぶだけ。それが己にできることであり、己に課せられた運命なのでしょう。


美濃高田


養老大橋

携行食を補給しつつ養老大橋と福束大橋を渡り、県道を逸れて地元の生活道路を進みます。素朴な輪中地域はカフェどころかコンビニもGSも商店も無く、風通しが良くてまともに向かい風を浴びたまま、結局長良川まで走り、道の駅クレール平田で風を避けることに。今回の走行距離たかが約45kmとはいえ、疲れました。
ここでメンチカツサンドとカレーパンまで補給。食べないと持たないのです。


道の駅クレール平田


四輪へ積み込み

帰路の名神高速はやはり交通量は多く、でも幸い渋滞することは無く、スムーズに帰宅できました。電車での輪行に比べてラクで早いですけど、私にとってはどうにもリズムが違う。運転中は気が抜けないですし。でも四輪を厭わずに使っていこう。行動範囲が拡がるはずですから。
                           (おしまい)