小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2017/05/03

旧東海道と花見 2017年4月

一昨年事故で傷めた右手首もずいぶん回復し、暖かくなってくると走りたくなるのがサイクリスト。数日前まで雨の予報だったので半ば諦めていましたが前日になって天気予報が好転。それなら走るしかないでしょう。ただし午後は非常に不安定で雷注意報発令とのことなので昨年同様、帰路は輪行することにしました。


自宅を出発し、まず旧東海道大平宿へ。
当時の面影をかすかに残す美合を過ぎ、昨年迷った狭路を迷わずに抜けると藤川宿です。松並木が実によろしい。若いころは松を見ても何とも思わなかったのですけれど、近年は松を眺めると、いいなと感じるようになってきました。私が老年の域に入りつつあるということの証左なのかもしれません。少々残念な気がしますけれど、しかたないことです。だって松はいいですよ。
藤川宿を抜けると舞木町です。昨年妻のGIANT AVAIL2がパンクして修理に少々手こずったことを思い出しつつ、スルスルと快調に走っていきます。

次は本宿。他の宿と比べると古い建物は非常に少なく、近代化が進んでいるものの、今回は穏やかというか和やかな空気を強く感じました。交通量の激しい国道1号線と平行しているのに時間の流れかたとか、次元が違うようでもあります。
この日旧東海道を歩くツアーらしき集団をいくつも見かけました。シニア層が多いせいかスマホ画面に見入ることもなければ歴史ある建築物の前で自撮りすることもない。私は若いころ、いったい何がしたくて旧東海道を歩くのか理解できませんでした。史跡を見るだけなら、行ってきたという結果が欲しいだけなら、四輪車やオートバイのほうがはるかに効率的なのに。
でも今は多少なりともわかるようになってきました。名所や史跡といった“点”を巡るのではなく、歩くことで“線”を旅する。点を並べた画像にそれほど意味はない。点をつないだ動画にもあまり意味はない。時間をかけて歩くことで線の輪郭を捉えることが可能になると思います。自転車は徒歩に近いけれど、徒歩にはかないません。

国道1号線に合流した後、長沢から旧道へと逸れてしばらく走ると、あの桜が今年も待っていてくれました。ヘンな表現ですみません、昨年に続いて今年も呼び止められたような気がします。桜散る季節に、また会えたね。恋人に再会したというか、親戚の家に迎えられたかのような錯覚に陥る私は、自分でも頭がおかしいと思います。


桜の木に再会


御油の松並木

赤坂宿を抜け、御油の松並木を過ぎると昨年寄った小さなカフェを発見。強く惹かれながらも今回は先へと進むことに。国府から先、昨年何度か迷いましたが、今回は1度Uターンしただけで小田淵のマイナーな挟路やダートも通り、諏訪町方面へと進みました。一度見てみたかった佐奈川の桜、これほどの規模とは思ってもみませんでした。これほどの規模にもかかわらず、人々が大挙して押しかけることもなく、実に穏やかでユルい空気が流れております。柵も手すりも街灯も見あたらない。沿道に気の利いた店舗があるわけでもない。こうした環境を維持するのは並大抵のことではできない気がします。それだけ地元の方々に愛されている桜並木なのですね。


佐奈川の桜


お気に入りのカフェ

お昼は近くにある、お気に入りの小さなカフェへ。この日もママさんが快く迎えてくださいました。ランチの材料すべてこだわり抜いて手がかかっているだけでなく、チキンの香草焼きをはじめ、数々の野菜に添えられたローズマリーやミント、オリーブの葉が実に香り豊か。


プレートランチ


デザートにシフォンケーキを

料理の味そのものはもちろん、料理に込められたママさんの愛情がたっぷりで身も心もすっかり満足し、急激に眠くなってまいりました。妻はハーブの香りに刺激を受けて、あれこれ話しています。プレーンのシフォンケーキもシンプルで優しい風味。こんなシンプルさは易々と実現できないはず、そう思ってママさんに尋ねると、限りない試行錯誤の末、ずいぶん苦しんで完成した味とのことでした。そうとは知らずに美味しいところだけを味わうなんて、ちょっと申し訳ないです。
そうこうするうちに窓の外は雨。天気予想よりも雲が早めに動いているようです。本格的に降る前に移動しないと。 昨年同様、今年も結局2時間近く長居してしまいました。ありがとうございます。スタッフのおねえさんに「お会いできてよかったです」なんて言われて、また近いうちに訪れたくなってしまうのでした。

身支度を調えてカフェを後にした私たちは雨の中、最寄り駅へ到着。昨年と違って手首が痛くならず、サクサクと輪行作業を終えることができました。
電車に乗り込むと本格的に降ってきました。乗り換えのため降り立った国府駅ではゲリラ豪雨を連想させる大雨に。良かった、この大雨の中走っていたら1分もしないうちにずぶ濡れになっていたことでしょう。
覚悟して雨具を携行していたのに、乗り換えた電車が進み、最寄り駅に到着する前に急に雨は止んでしまい、降車すると路面が乾いてきている状態です。自転車を組み立てて、雨など無かったかの如く走って帰宅。ラッキーでした。

今回走ったのは40km。たいした距離ではないですけれど、程よい疲労と充実感に包まれ、夜布団に入るとすぐ眠りに落ちました。
                           (おしまい)