真冬のショートライド 2022年1月
2021年から2022年にかけての冬は厳しい寒さでした。居住地では珍しい雪が幾度も降り、にわか雪を含めて10回を軽く上回ったはず。そんな1月のある平日、南岸低気圧が幾分温度の高い空気を運んできたことで少し体が緩み、雨の後にさっそく走り出したのですが...
雨は朝に上がり、前日に幾分寒さが緩んだはずが、発達した低気圧が東へ抜けたために西高東低の典型的な冬型の気圧配置となり、冷たい強風が吹きつけるあいにくの気候になってしまいました。
まぁ天気に文句を言ってもしかたありません。新型コロナウイルス感染者が連日過去最多と報道されていることもあって、遠出せずに近場を走るだけにしましょう。
旧東海道を走って知立市へ。0℃を超えてはいるものの、冷たい強風の向かい風のせいで体感温度は0℃を下回り、走っていても体が冷え切ってしまいます。一時的に強風から逃れて体を休めるべく、以前通りかかったときに気になったお店を初訪問。
目立たない外観のお店
モーニングをいただきます(¥400税込)
何となく寂れた感のある外観とはイメージが異なり、中はシックな空間が広がっています。決して昭和レトロではありません。平成前期〜中期くらいの印象を受けました。モーニングサービスはパンとゆで卵にサラダ。雑誌が充実している上に、多くのシニア客も静かに過ごしていてゆっくりできました。
弘法通り
遍照院
弘法通りに入ると、それまでのやや無機質で類型的な市街地から、血の通った有機的な路地に入ったかのよう、現代世界から近代へ入ったかのようです。門前にはうなぎのお店や、知立名物の大あんまきのお店が並び、かつての賑わいを見るようでした。遍照院や遍照寺という名前の寺は全国あちこちにありますけれど、個人的には四国を走った時、愛媛県で見た遍照寺を思い出しました。コロナ禍の影響だけではないでしょう、ここのところ、自分の気持ちがカサついていたことに気づき、境内の静かな空気と相まって浮世を忘れたひとときでした。
遍照院から南へ、バイパスの高架下を走り、JR東海道線の跨線橋を、自転車を押して超えます。バイパスを走る車両群は苦もなく線路を超えるのに、歩行者と自転車は階段を上らねばなりません。若かりし頃は一人で憤慨することもありましたが、今や怒りなどありません。そのまま、現状を受け入れるのみ...
跨線橋
ホームセンターに寄ります
気温5℃に達しているのかどうかわかりませんけれど、走っても寒くてたまらない。強風を避けようと、途中にあったホームセンターに飛び込みました。こんなとき、駐輪場に溶け込んでしまうARAYA Diagonaleは便利です。高額なロードバイクだったら心配でうかうか駐輪していられないでしょう。
冷え切った体が、屋内でいくぶん回復してきました。もう少し走って昼食にします。
この日のお昼は約1年ぶりに訪れた居酒屋のランチです。
メニューから、からあげ丼をチョイス。サラダもついて¥500税込みはありがたい。味付けはややジャンク風ですけど素材は悪くないですし、居酒屋チックで好印象。
女将さんが、感染者急増でまた営業規制になるだろうかとご心配されていました。私にはどうすることもできません。何とも厳しいご時世です。ワクチンを打たずに飲んで騒いでというお客も少なくない一方で、比較的大らかそうに見える知人が体調を崩して心療内科に通院されているそうで、人それぞれ受け止め方が違うということを改めて教わりました。
ワンコインランチ
休憩中も寒くてたまらない
昼食後は少し気温が上がったのか、いくぶんゆったりした気持ちで走りました。追い風になる方向だったからかもしれません。ただし止まると強風を浴びて冷えます。途中のコンビニでコーヒー休憩したものの、強風でたちまち体が冷えていき、休憩にならず、早々に出発することに。
夕方にはまだ早い時間に帰宅しました。読みかけだった小説『それを愛とは呼ばず』を読了。主人公が活躍する話でもなければ、群れを率いる話でもなく、組織をまとめる話でもない。うまく立ち回っているとは言えない、孤独な、どちらかといえば敗者たちではあるけれども、精いっぱい誠実に生きている姿が表現されていて、やや複雑な読後感ながら、良い作品だと思います。
この日の走行距離43km。寒さのためにあまり走れませんでしたけど、それでも今日はいい日だったという薄ぼんやりとした幸福感にユルく浸りました。こんなことで幸せなのかと馬鹿にされそうだけど、そうなのだからいいではありませんか。
(おしまい)