矢作川遡上と猿投神社2023 2023年1月
前回走ったのはもう3年前。2023年正月の3が日明け、急に思い立って走ることにしました。特に理由はありません。強いて理由を挙げれば、寒い時期とはいえ家でダラダラ過ごすよりも体を動かしたほうが良さそうだから。う〜ん、何か違うような... 自分でもよくわかりません。こういうとき、“呼ばれた” と表現することがありますが、まさにその通りなのかもしれません。
出発時の気温は2.5℃、天候は曇り。明け方に雨が降ったらしく路面がウエット。この日の降水確率は0〜10%なので、いずれドライコンディションになるでしょう。
多少湿度があるせいか、突き刺すような鋭い寒さを感じず、風もごく弱い。真冬にしては幸い走りやすい気候のようです。
豊田安城自転車道を北上し水源緑地に着くと、工事関係車両が多数出入りしていて随所に資材が積まれ、物々しい雰囲気でした。前年春に発生した明治用水頭首工での大規模漏水の復旧工事ですね。2023年初め現在まだ暫定対応状態だと聞いています。本格復旧には数年かかるとか。地域にとって大事なインフラです。確実に本格復旧できるよう祈っています。
物々しい雰囲気の水源緑地
鵜の首橋
道路脇の気温表示は3℃。上り基調なこともあって、勾配がキツくなると汗が出てきます。汗で冷えてしまわないようにウインドブレーカーを脱いで走ると、冷気ですぐに体が冷えてきます。冷え切ってしまわないように脱いだウインドブレーカーを羽織るという繰り返し。真冬のサイクリングは難しいです。
急いでいる車両ばかりが通行している鵜の首橋を慎重に渡り、矢作川左岸の細川豊田線を、アップダウンを交えつつ徐々に高度を上げていきます。民家や小さな商店が並ぶ集落風情が続いたかと思うと、冬の今は枯れ草が目立つ農地が拡がる田園風景、公園、木々、と景色が移り変わっていく、どこにでもありそうな地方の道。上り基調ですし、何より気温が低くて消耗していきます。
でもここで私は不思議な感覚に陥っていました。人間たちも、動物も植物も、それぞれの場所に貼りついて暮らしています。真冬の今は活動していない虫たちも。何だか愛おしい。その刹那、私という個は消滅し、親近感でもなければ一体感でもなく、幸福感ともいえない、言葉では表現できない幸福な気持ちになっておりました。別の場所ですが、5年以上前にも似たようなことがあり、信頼できる知人にその体験を話したところ「sourceに近づいた瞬間かもしれない」と言われたことを思い出しました。まぁ、どうでもいいことです。
地味な道路ながら、ともかく自転車で走ると、四輪車やバイクでは感じられないことが起きたりします。
平戸橋を渡る
朝ごはん補給できず
平戸橋を渡り、矢作川右岸を北上するようになると所々でキツい上り坂が現れるように。なるべく汗で体が濡れないよう、脱ぎ着を繰り返しつつ県道を走り、国道419号に入りました。交通量が多いため、先を急がないよう慎重に上り坂を進みます。東海環状自動車道の豊田藤岡IC近く、前回訪れたカフェで朝ごはんを補給するつもりでしたけれど、お店の看板に明かりが灯り、営業中を示すランプが回っているにもかかわらず、外から見る限り客がゼロ、入口も開きませんでした。まぁこういうこともあります。何か事情があるのでしょう。
気を取り直して数km走り、目的地の猿投神社に到着しました。ここまで約2時間。今回は汗で衣服が濡れておらず、体が急に冷えることはありません。進歩した、と自己満足。
神社は3が日開けでも参拝客が多く、出店も数々見られ、賑やかです。なのに浮ついた空気は感じられず、穏やかで落ち着いた雰囲気でした。また訪れようと思います。
猿投神社到着
賑やかな境内
復路は下り基調、早い早い。前回2回目に寄ったカフェ... あっ、営業中だ。嬉しい。
今回も定番のモーニングセットを。何と昨今の値上げラッシュの中、3年前と同じ¥300!(税込)がすばらしいを通り越して感謝いっぱいです。
ホットコーヒーで温まっただけでなく、トーストにホットサンド、ココアのババロアをおいしくいただき、エネルギーを補給できました。ありがとうございます。
小さなカフェを再訪
遅めのモーニングを
カフェを出ると小雨が降り出しました。日本海側の雲が太平洋側へ流れてきているのか、止む気配がありません。平戸橋を過ぎると、寒さと疲労のせいでそろそろ硬直してきたのか脚が動かなくなってまいりました。
鵜の首橋を避け、竜宮橋に差しかかると気温表示は4℃。寒さのダメージが堪えるわけです。水源緑地から遠くない喫茶店は休み。少し回り道をした、その先の食事処も休み、考えておいた、遠回りしたもう1か所も休み...
ヘトヘトでいよいよ脚に力が入らなくなっています。悪いことにここで雨が本降りに。
旧国道沿いの小さなうどん店が営業されていて飛び込みました。助かりました。うどんもいいけれど、バテた体がコメを欲しがっています。
営業中で助かりました
昼食にオムライス¥680(税込)
いただいたオムライス、派手さはないですが、タマネギがシャキシャキ感、鶏肉はしっかり感でバランスよく堅実な印象。疲れた体が生き返りました。ありがたいことです。帰宅後に雨は止み、夕刻前から晴れてきました。
あまり条件のよくない真冬のサイクリングでしたが、往復約60km。獲得標高推定500m以上。たいしたことない数字に見えますが、真冬はやはりキツく、少なからず体にダメージがある感じです。でも心は何となく満たされたような、よくわからない感覚... 私という自我ではなく、私の身体を媒体にして別の何かが満たされたかのような、自意識が薄まって清々しくなったような、妙な感覚でした。不思議なことがあるのですね。ともかく、いずれまた思い立ったら走ろうと考えています。
(おしまい)