SPECIALIZED Sirrusインプレッション(2007年モデル)
今では手放してしまいましたが、購入当初の約3年間はじっくりとつき合い、旅にも連れ出しました。その間に感じた個人的なインプレッションを紹介します。
とにかくスポーツ自転車への入り口として、敷居の低さが最大の特徴です。
他の表現をすれば、「シチュエーションを選ばず、ほどほどに快適・快速」という、何かあいまいで、中途半端な表現になってしまうのかも...
でも、このあいまいさがSirrusの魅力でもあると思います。
長所として
ママチャリや実用自転車とは比べものにならないのはもちろん、MTBと比べても、より高速巡航が可能です。
もちろんポタリングのようなのんびりしたペースも苦になりません。
街乗りも相性が良く、近所の買い物へ出かけるのにも適しています。乗るときの服装を選ばなくていいところも気に入ってます。
また、短距離〜中距離ツーリングも余裕でこなします。キャリアを装備すれば数泊程度の荷物も積める点は頼もしい。少しぐらいのダートは平気なので、旅先で未舗装路に出くわしても慌てないで済みます。輪行も簡単。
こんな風にあいまいな故に “使い倒せる” ところが美点だと思います。
一方、短所
ロードバイク並みのスピードは出ません。出せないことはないと思いますけど、頑丈なフレームの割には、踏んでいても どうも多少のロスがあるような印象なのです。
また、手軽なフラットバーハンドルの弱点をバーエンドバーで補っても、向かい風にはどうしようもありません。
他にも意外にコントロールが気難しいブレーキなど、細かいところがいくつかありますが、決定的なのが乗り心地。決して悪いものではないのですが、速度が上がったり路面が荒れると跳ねるような挙動になり、20〜30km程度のサイクリングなら特に問題が無くても、50〜60kmを超えるころになると徐々に体に疲労が蓄積してくるのを感じます。
こればかりは乗り方とかタイヤとかサドルとかのレベルではどうしようもないものがあり、もともと長距離ツーリングにはあまり向いていないことを印象づけます。
オートバイに例えれば短〜中距離で楽しい、モタード系に近いものがあるかもしれません。モタードで旅ができないわけではありませんけど、ツアラーやオンロードに比べれば、どうしても合わない部分があるのと似ています。
また、ポタリングでは超低速になると、バランスがとりづらく苦手。
つまり多くの場面で、それぞれ性能を特化した自転車にはかなわないという、あいまいな自転車の側面が出てしまっています。それでも “使い倒せる” という長所が、これらの短所をカバーできるケースも多いと思います。
各パーツについて細かく見ていくと
ハンドルまわり
賛否両論があるフラットバーハンドル。気軽に乗れ、前傾が軽いので視界が良いのが特徴です。反面、長距離(長時間)走行には不利。上り坂でも上半身の筋力を使いにくいのも仕方ないところです。
ブレーキ
MTBはおろか、近年では激安車でもおなじみのVブレーキ。重い自転車の制動には最適なのかもしれませんけど、Sirrusのような比較的軽量+細身のタイヤでは制動力が唐突で低速でのコントロールが少々難しく、ロードやランドナー、MTBを乗り継いできた自分には当初 少々違和感がありました。慣れてくると違和感は無くなってきましたが、やはり握り込んでいったときの強力な制動力は、人間の感覚と多少ズレがあるように思えてしまいます。
タイヤ
700×28Cのサイズが、当初はこれで街乗りに大丈夫なのか多少不安でしたが、乗ってみれば歩道の段差などもそれほど気を使わなくて済み、ちょうどいい感じでした。
それでも歩道ばかり走るとか、段差ばかりのルートを走るのには やや細すぎかもしれません。
サドル・シートピラー
クッション性の良いコンフォートタイプのサドルとサス付きシートポストの組み合わせで、衝撃吸収および荷重が分散され、尻が痛くなることはほとんどありません、と言いたいところですけど長時間乗っていると やはり尻全体が痛くなることはあります。あとは個人の体格というか好みの問題というか、デフォルトのサドルは幅が広めで、積極的にペダリングするには少々不都合を感じることもあります。
ペダル
トウクリップ&ストラップ標準装備で、個人的にはありがたい。大きな不満は無いものの、樹脂製ペダルの質感が若干低く、ナイロンストラップの感触が今ひとつ。やっぱりストラップは皮がいいです。それにトウクリップはもう少し深いほうが好み。
というわけでペダルごと交換しました。
自分に合わない箇所は少しずつ手を入れて、乗りやすくしてきたつもりですが、全てに中途半端なクロスバイクの限界を次第に強く感じるようになり、長距離/旅用途の座をAnchor C9に譲ってからは部分的にデフォルトのパーツに戻し、近距離&街乗り仕様にしていました。
近距離用途はSirrusの特性に適っていて、快適だと再認識したのでした。
ところが自分自身の体力が少々ついてくると、巡航速度がわずかに上がり、街乗り用途でもたまに40〜50km走ることがあると、少なくない疲労が残るようになりまして...
硬い感触のアルミフレームに負けない体づくりをする元気も無く、2014年10月に乗り換えてしまいました。