小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2005/06/19

ZZR250キャブレターのジェット類交換

※ノーマルのまま乗っている人は触る必要は無いと思います。 カスタムする人向けの情報です。

メインジェット・パイロットジェットの交換

非常に(非情に?)大変です。

カスタムを進めていくと避けられなくなってくるのがキャブレターの混合比調整。
放置や汚れでのジェット類のつまりによる不調は別として、概ね下記のような症状があるのではないでしょうか。

  • 低回転(3,000rpm以下)での発進時にもたつく。エンジンが苦しそう。
                        →パイロットスクリューの調整
  • 低回転(4,000rpm以下)での発進直後にもたつく。エンジンが苦しそう。
                        →パイロットジェットの調整
  • 中速域(4,000〜7,000rpm)で吹け上がりが重い。ひっかかる。
                  →ジェットニードル、ニードルジェットの調整
  • 高速域(8,000rpm以上)で吹け上がりが重い。もたつく。ひっかかる。
                        →メインジェットの調整

これらを見てお気づきの方もみえると思いますが、すべて混合気が“濃い”症状です。私の経験ではZZR250の場合、カスタムを進めていくとなぜか“濃い”症状しか出ませんでした。そしてこれらの症状はキャブ調整によりすべて解消することができます。

<注意>デリケートかつ危険を伴う作業ですので、ショップに依頼した方が無難です。
    どうしてもご自分での作業をご希望の方はリスクが大きいことを承知の上、
    取りかかっていただきたく思います。作業に向いていると思われる方は、
 ・経験者。あるいはキャブレターの知識があり、マニュアルを見なくてもさほど困らない。
 ・手先が器用。アルミフレームが邪魔で作業スペースが少ないので根気も必要です。
 ・作業場を確保できる。火気がないこと、ホコリや水気が入らないこと、
  ガソリン臭くなっても周囲に迷惑が及ばないこと、
  小さな部品を落としても見つけやすいこと、長時間作業可能なところ。


以下、メインジェットとパイロットジェットの交換をご紹介します。この文章は おすすめ仕様にホットワイヤーを取り付けた後の作業を記録したものです。

wo tank
右の写真のようにサイドカバーやタンク、アンダーカウルをまず外します。 続いてキャブについているアクセルケーブルやチョークケーブルをはずしていきます。
後で間違えないように各ケーブルには印をつけておくといいでしょう。
次にキャブレターとエアクリーナーボックスの間のクランプを緩め、キャブレターをエアクリーナーから外します。
エンジン側も同様にして外します。押しても引いてもなかなか外れず、半ば強引にかつ丁寧に外します。
本来はエアクリーナーボックスをあらかじめ外すらしいのですが、エアクリーナーボックスを外すにはリヤフレームやリヤフェンダーまで外す必要があるので、 LH view さすがに この方法はあきらめました。

さあキャブレターを取り外し!といきたいところですが、古い型ではなく比較的高年式の車両にはキャブレターにクーラントの通路が設定されているのです! こいつを外すのがやっかいでキャブレターを少し持ち上げながら締め付けビスを外していきます。
走りでは絶大な効果を発揮するアルミフレームが ここではすごいジャマ!(上写真)
締め付けビスや押さえのプレートを落とさないよう注意!下方に受け皿を置いておくことで落ちても多少安心とはいえ、作業する場所柄、エンジン側の吸い込み位置に非常に近く、ちょっとのミスでエンジン内部に落としてしまう可能性があります。本来はクーラントを抜いてキャブレターへ通じているホースを取り外す方が正しいようです。でも、いちいちクーラントを抜くなんて...
carb bottom view
これでやっとキャブを車両から外せます。こうなったら後はごく普通のCV型キャブレター。市販のマニュアル本通りに作業すればいいのです。組み付けは取り外しと逆の手順で行います。
左の写真は外したキャブレターを下面から見たところ。ドレンボルトが見えていますが、これを緩めてフロート室のガソリンを抜いておきます。くれぐれも火気に注意してくださいね。
carb bottom view
右の写真はフロート室を開けたところです。約7年間普通に乗っていてドレンボルトからガソリンを抜くことも全くやっていませんでしたが内部はきれいでした。

いよいよメインジェットとパイロットジェットを交換します。固くて取り外しにくいことがありますが、CRC556などの潤滑剤を浸透させてから外すといいでしょう。
パイロットジェットは奥まったところにあり、普通のマイナスドライバーは挿し込めません。また、市販のキャブレター調整用ドライバーも強度不足で先端が曲がってしまいました。
やむなく大きめのドライバーを購入し、挿し込めるようにヤスリで削りました。
pilot jet左の写真はパイロットジェット。
左がノーマルで、右が今回交換したものです。
品番はそれぞれ92064-1050と92064-1035。
パイロットジェットはオプション設定がなくZZR250用としては#38しか発注できません。#35の方はZRX400用として発注すると良いでしょう。1個\557でした。(04/8月) ケイヒンのHPも調べてみましたが#35のケイヒン品番は記載されていませんでした。
ケイヒンFCR用のパイロットジェットと同一のものなので、キャブレターパーツの品揃えがあるショップなら、在庫を探せば すぐにパイロットジェットを入手できる可能性があります。
main jet左の写真はメインジェットですが、ノーマルではなく、KENSOバクダンキットのメインジェットで、特殊な形状をしています。左がZZR250用標準設定の#107。右が今回交換したもので#103。なんと1個\5,040もします!(泣)このメインジェットは#80〜#177の中から下1ケタ 3/5/7/0の設定が選択できます。

長年使った車両についていたいずれのジェット類も多少の変色こそありましたが、汚れや詰まりなど一切なくきれいなものでした。

ジェット類交換後、キャブレターを元通り組み立てて車両に取り付けます。
これでおしまいではなく、最後にパイロットスクリューの調整が待っています。エンジン暖気後、アイドルアジャスティングスクリューを回してやや高めの回転数にしてから、パイロットスクリューを回して最も回転数が高くなる位置を探します。やけどしないよう充分な注意が必要になります。パイロットスクリューの位置が決まったら、アイドルアジャスティングスクリューを回して規定のアイドリング回転数になるように調整し、これで終了です。

これらの一連の作業で慣れない素人の私が作業した時間は合計6時間。途中でちょっと休憩したり、清掃したりした時間を含んでいます。カウル類取り外しとキャブレター取り外しに約1.5時間。キャブレターの分解とジェット類交換および工具が合わなくて買いに行ったり加工したりの時間が約2時間。キャブレター取り付けとスロットルケーブルの遊び確認、調整に約1.5時間。パイロットスクリューの調整とカウル類取り付けに約1時間。
年なのでこたえました... 手には擦り傷がいっぱい。翌日から筋肉痛...
慣れればもっと早くできるようになるとは思いますが、できればやりたくない作業です。(04/8月)