小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2011/10/09

Ninja400Rノーマル車インプレッション

正面 いよいよ古くなってきたZZR250から乗り換えてしまおう。まともに考えたらNinja250Rなんだけれど、カワサキなのに どうもメジャーな存在になっているのが肌に合わない(失礼)という諸兄もお見えかと想像します。
CBR250Rだと街乗りは快適でも遠出するイメージは薄くて、長距離の高速道路がつらそうだし、VTR250はなんだか旅っぽくなくて違う。現在の250ccクラス新車で、ZZR250のようなカウルつきマイナー車はありません。
そこで400ccクラスに目を向けると、Ninja400Rにどことなくマイナーなかほりが... だってER-6f(Ninja650R)のデチューン版、非力なスペックに地味な並列2気筒。こりゃちょっと乗ってみるか、ということで2時間レンタルし、街乗りからワインディング、高速道路まで走ってまいりました。

本当は自分で所有し、長期間つき合ってみないことにはNnja400R本来の魅力がわからないと感じています。たった2時間弱の走行でこんなインプレを書くこと自体ナンセンスかもしれませんけど、興味のある方々、特にZZR250オーナー諸兄の参考になればと思います。

総合

おすすめ度 <☆☆☆  >

“楽しい” と感じるNinja250Rと違い、Ninja400Rは ずいぶん違う方向性。好みが分かれる車両だと思います。面白味が薄く、パワーたっぷりでもない。高級感も乏しい。他人に自慢できるようなわかりやすさが少なく、バイク自体にカリスマ性とかストーリーはありません。
しかしだからといって乗りにくいわけではなく、むしろその逆。一見やや大柄な車格ですが、またがってみれば、2気筒エンジンのためにスリムで扱いやすく感じます。日本人体型に向いていますね。

メーター 装飾や演出、ピークパワーを排し、実用性を重視した、旅の堅実な道具というイメージです。磨いて、語り、イジって楽しむのではなくて、使い倒すほう。
素っ気ない液晶のメーターが、このバイクの性格をよく表していると思います。
高速+信号の少ない一般道を合計約60km走り、燃費は18.8km/Lでした。全開加速を何度か試しています。慣らしは終わっているものの、満タン法なので参考程度にお考えください。

クルージング

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[安定していて快適]
車体がER-6fと共通なだけあって、安定感があります。できればもう少し重心が低いといいのですけれど、このままでも十分です。
一般道で飛ばさずに巡航する場合、だいたい3,000〜4,000rpmを使うことになり、このあたりではエンジン音も排気音も静かで快適です。60km/hでは約4,000rpm。そこからシフトダウンしなくても そこそこの加速力があるのは250ccと違うところ。しかし発生する熱も400cc。ちょっと回した後に巡航すると、右ひざから下に熱さを感じます。真夏だと薄いジーンズはキビシイかも。
私が気に入ったのは、遅い車の後をついて40〜50km/hで走っていてもイライラしないところ。回さないと消化不良気味に感じるNinja250Rとは異なる性格で、日本の交通事情に合っているように感じます。

高速道路

おすすめ度 <☆☆☆  >

[これで十分か(?)]
☆3つの評価に、あれ、と思った諸兄もお見えでしょう。確かに400cc。250ccとは違ってゆとりがあります。ただしそう感じるのも法定速度前後まで。100km/h巡航で約6,000rpmと、数字の上では まだまだ上が十分残っているのですけれど、それ以上の高速域では、中低速重視のエンジンなせいか、それなりの加速力です。シフトダウンが必要なのはもちろん、ガバっと開けて回転上昇を待つことになったり。もちろん250ccより ずっと強力ではあるのですけれど、感動的な速さとは無縁です。それにカウルのウインドプロテクション効果が思ったほどではないのと、ほぼ直立なポジションのため、けっこう風圧を受けることになり、あまり飛ばす気になりません。
ほかに、車体が安定してはいますが、横風に強くはないのがツアラーとしては残念。重心が高めなせいか、強風下では進路が変わりやすく、不安になることもあります。調子に乗って、速度差のある状態で大型トラックを追い抜くと、その前後でフラつくことも...(ZZR250マニア仕様のほうがはるかに安心感があります)
250ccクラスよりはラクですが、だからといって安心してブッ飛ばせるかというとそうでもない。法外な速度で突っ走ったり、頻繁に加減速を繰り返したりせずに、おとなしめに 淡々と走るのが合っています。

ワインディング

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[攻める性格ではないが余裕あり]
背面 効率よくクルクル旋回する性格ではないものの、コントロールしやすく、サスのコシもある感触で、安心感のある味付けとなっています。Ninja250Rのやや安っぽいノーマルサスとは一味違う印象です。
フロントががっしりし、かつフロント依存度が高い現代的なハンドリングの反面、そのフロントまわりがやや粘っこく感じるのは 少々重心が高いせいなのかもしれません。あまり攻める気にはなれず、自然と控え目なコーナーリングスピードになります。とはいえシャシーは余裕たっぷりで扱いやすく、素直な特性です。これで重心が低ければもっと面白いかもしれないと思ってしまいます。
対してエンジンはもっとパワーが欲しくなる場面もあります。速く走るなら、きちんとシフトチェンジし、5,000rpm以上はキープしたい。7,000rpm以上は排気音がイイ感じで吹け上がり、ちょっとだけヤル気になります。まぁ、攻めるバイクではありませんけれど。

街乗り

おすすめ度 <☆☆☆  >

[敏捷性は感じないが扱いやすい]
2,000rpm以下でも、少々苦しそうながら発進可能なのは便利です。ただし5,000rpm以下では思ったほど加速が良くない印象も。いえ、加速してはいるのですが加速感に乏しい。2気筒エンジンと、静かな排気音のせいでしょう。飛ばさなければ熱くなりにくいエンジンも、頻繁に加減速を繰り返すと足元が熱くなってきます。
インジェクション車にもかかわらず、アクセルON-OFFで意外にギクシャクする場面があるのは、250ccとは違います。
サスは、動きが少ない領域で、もう少し減衰力が欲しいところですけれど、これ以上望むのは400ccとしてはぜいたくなのでしょう。
押し歩きは重心が高めなせいで直接重さを感じることもありますが、ハンドル位置が高いので、押しにくいことはありません。慣れればどうということはなさそうです。
ちょっと残念なのがシフトペダル。慣れるのに時間がかかります。ガチャコンという、やや大げさな感触がカワサキらしいといえばそれまでですが、ステップからシフトべダルの位置が遠めに感じたのも操作感をスポイルしている気がします。

ズバリZZR400と比べると?

ダメでしょ。ZZR400と比べたら。
ZZR400とEX-4を比べるようなものです。
GPZ400RとGPZ400Sとを比べるようなものです。(古っ!)
それでもどうしても比べたい、という諸兄に、ZZR400に試乗したときのことを思い出しつつ、比べてみましょう。

ZZR400に試乗したのはもう5年以上も昔のことなので、私個人の想像が多くなってしまうことをご容赦いただき、話半分で見てくださればと思います。


ツアラーとして優れているのはZZR400。もう圧勝。
高速での快適さはもちろん、低速域での安定感も、とりまわしも、ZZR400のほうが優れています。少なくとも “走り” に関しては、Ninja400Rのほうが勝る部分を探すことが難しいくらいに感じます。
ではNinja400Rに魅力は無いのか? いえ、決してそんなことはありません。
“走り” それもわかりやすい速さとかレスポンスといった土俵からは、初めから降りてしまっているのがNinja400Rです。もちろん遅いバイクではありません。パワーも挙動も、すべてがライダーのコントロール下にある感覚が、より強いと言っていいでしょう。
そんなことより上体を起こし、もっと周囲の景色を楽しみつつトコトコ走ろう、どこまでも。そう語りかけてくる雰囲気があるのです。優等生的なZZR400には無かった世界が拡がっている気がしてきます。

Ninja250Rからステップアップするとどう?

もしモアパワーを求めてNinja250Rから400Rへ乗り換えたとしたら、ガッカリするかもしれません。確かに250ccより 格段にパワーはありますけれど、顔がニヤけてしまうほどのものではないですし、回さないと速くはありません。すぐに飽きてしまう可能性もあります。しかも振動が250ccと比べて増える上に、低速域でギクシャクすることも250ccではほとんど無いことなのではないでしょうか。
思わず回してしまうNinja250Rに比べて、その延長線上には無い400R。その価値をどう捉えるかはライダー次第でしょうね。

ちなみにZZR250フルノーマルから乗り換えるとしたら...
意外にイイ! と感じるかもしれません。ZZR250乗りなら たぶんピークパワーなど あまり気にしていないでしょうし、ZZR250に比べて振動も軽減されます。横風に煽られてしまうのには慣れていることですし(?)。
ちょっとダメなところがあったっていいじゃないか、何よりもトコトコ走る雰囲気が旅にピッタリではないか、そう思わせる魅力がありますよ。