小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2008/06/22

Ninja250Rノーマル車インプレッション

正面 実質的にZZR250の後継機種となるNinja250R。発売当初から人気が高く、2008年6月現在、バックオーダーを抱え、納車待ち期間が長くなっているようです。そんな、話題のNinja250Rを 1時間弱レンタル、街乗り+ワインディングも ちょびっとだけ行ってきました。
どこがZZR250と違うのか、肝心の “走り” はどうか、現ZZR250オーナーとしての視点からレポートします! 決してZZR250をひいきするつもりもないですし、Ninja250Rを持ち上げるつもりもなく、なるべく冷静に書くよう心がけました。

本当は自分で所有し、長期間つき合ってみないことにはNnja250R本来の魅力がわからないと感じてはいます。たった1時間弱の走行でこんなインプレを書くこと自体、少々ナンセンスかもしれませんけど、興味のある方々、特にZZR250オーナー諸兄の参考になればと思います。

総合

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

“すごくイイ! 楽しい!” これが1時間乗車後のインプレッションです。
フルノーマルで これだけの印象を抱くバイクはあまりないかもしれません。
メーター
確かにそこかしこに ややチープ感があってオモチャっぽいことは否めませんが、それはノーマルのZZR250も同じこと。また、個人的には小さめのタコメーターに不満がありますけど、ZZR250の橙色のメーターだってあまりイケてない。
そういった小さいことを帳消しにするほど、乗って走ると楽しいです。すごく速いわけじゃないですが、気分が高揚し、ニコニコしちゃいます。カッチリ感のある足まわり、剛性感のあるブレーキ。何といっても、ほどよいレスポンスで活発な吹け上がりなのに、ZZR250ノーマルよりも振動・騒音が激的に少ないツインエンジンに惚れボレ。
週末に日帰りの短〜中距離ツーリング、なんて使い方がサイコーでしょう。規制の厳しい現在、スタイル良く、こんなに楽しめる250ccオンロードバイクを販売してくれたカワサキ開発陣に大感謝です!

それでもフルノーマルがベストかと言うと、一部改良の余地があると思うので、評価は☆4つとしました。これが逆にカスタムマインドを刺激する、という見方もありますね。
パワーの出方もそれとなくオモチャっぽいというかミニバイク的と感じる方々もいることでしょう。個人的には かつてH社から販売されていた、NS50Fのフィーリングに近いと思いました。
そんな “少年のバイク” な雰囲気に戸惑う諸兄もお見えかもしれません。でもいいじゃありませんか、やや演出過剰でも。スクーター以外の機種は絶滅すら危惧されていたこのクラスに、活気がよみがえった感があります。

1時間弱走行した燃費は22.1km/L。満タン法な上に少量給油、おまけに ほぼ新車状態なので、あまり参考になるようなデータではないかもしれません。

クルージング

おすすめ度 <☆☆☆  >

[旅に出る雰囲気は無い]
☆3つの評価に、あれ、と思った諸兄もお見えでしょう。チョイ乗りはともかく、長時間まったりと流す、といったような走りは、個人的にはあまり快適でないように感じました。
確かに低回転域のトルクはあるものの、常時5,000rpm以上に入れていないと快活に走れない感覚はZZR250ノーマルと似ていますけど、エンジンの振動が少ないせいなのか、もっと回したくなります。下道を まったり一定の車速で4輪の後ろを流す、というような走りは 決して苦手ではないものの、楽しくはありません。
逆に “もっと回せ” とせかされているような感覚もあります。
エンジンが静かな反面、2気筒ならではの、あのパルス感もノーマルではかなり薄く、結果的に回さないと面白みがありません。
乗車ポジションはZZR250よりもハンドルが近く、上体が起きたもので、シートも適度にやわらかく、下道ツーリングに適している部分もありますが、シートが前下がりなのには違和感あり。まあ、スポーツコンセプトのバイクなので、まったりツーリングはあまり考えられていないのかもしれません。

高速道路

おすすめ度 <?     >

[(走っていないので未評価)]
高速道路を走ってはいませんので想像で書きます。法定速度前後までであればエンジンのパンチ力を感じ、また振動も少ないため快適です。ただし下道で好印象の前後サスは、高速でスピードが上がると やや落ち着かなくなって、跳ねる傾向になってきます。
車両価格を考えるとしかたないところでしょう。

ワインディング

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[楽しめるレベルのハンドリング]
背面 スパスパ倒せます。倒し込みが軽いです。ビギナーでも違和感なくコーナーに入れますし、小さめのS字カーブも得意と言えるでしょう。往年のGPZ250RやGPX250Rに通じるところがあるように感じます。それに加えてレスポンスよく回せるエンジンと、よく効くフィーリングのブレーキ、心配だった鋼管フレームの剛性も上手に確保されていて旋回中の不安も少なく、ワインディングとの相性はずいぶん良い印象です。低中速なら少々荒れた路面でも 前後サスの減衰がほどよく、車体が暴れることはありません。
でも...コーナーリング性能がすばらしいかというと100点満点ではありません。

倒し込みが軽い反面、フッと倒れるような感触もあるし、深く倒そうとするとサスの追従が間に合っていないのか、若干チグハグに感じることがある上、柔らかいシートがリアの挙動を少々わかりにくくしている面も...
もっともこれは、ペースを上げていった場合だけであり、慣れの問題かもしれませんし、借用した車両がほぼ新車状態で、アタリがついていなかったのかもしれません。
このあたりは以前乗っていたZXR250にも見られた現象に近い部分もあり、CBR250/400RRでは倒し込みの挙動がごく自然なばかりか、深くバンクさせても微塵の不安もなかったようなH社のバイクとは違う、未完成な面が残っているような気がします。

そもそも、バーゲンセールとも言える新車価格に過剰な期待をするのもおかしいわけで、逆にサスをカスタムすると相当に良くなる素質を持っていると言えるでしょう。
アクセル開け始めのレスポンスも ほんの少しタイムラグがある感触なので、早め早めにアクセルを開けていく必要がありますし、本気で速く走るためには8,000rpmあたりから上をキープしたほうが良く、6,000rpmに落ちてしまうと そこからの加速は けっこうもたついてしまいます。このフン詰まり感は、しっかりと消音されたノーマルマフラーが原因かもしれません。ZZR250だって9,000rpm以上をキープしないと速くないわけですし、しかも高回転キープが難しい。けれどもNinja250Rは高回転キープがそれほど難しくなく、高回転を使えば低中速ワインディングがとっても楽しい性格です。

街乗り

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[扱いやすく、ストップ&ゴーのストレスも無い]
FI化の恩恵でチョークがありません。これだけでもビギナーにとっては敷居が低く、始動にてこずるといったことがないことになります。また、日ごろ忙しくて あまり乗る時間が作れないライダーも、キャブのガソリンが腐る、ということを心配しなくてよいのは たいへん助かります。
発進加速も容易。このエンジン、中〜高回転域のフィーリングが良いばかりでなく、低速での粘りもあり、2,000〜2,500rpmからでもそれなりに加速しますし、1,500rpm発進も可能です。
吹け上がりも軽快で、4輪をリードしながらの走りもストレスを感じません。逆に遅い4輪の後をチンタラ走る場合は けっこうストレスが溜まります。
それと低速域ではトラクションがかかってないと少々フラつく傾向がありますけど、慣れればどうということはありません。

ほかに、これは試乗した車両だけかもしれませんけど、油温が高くなってしばらく経つと、ミッションタッチがやや悪化してきました。あとは血気盛んな若年男性にとって、静かな排気音は迫力もないし目立たなくて不満を覚えるかもしれませんけど。

ZZR250ノーマルと比べてズバリどう?

これはもう、圧倒的にNinja250Rの勝ちです。何よりも軽快な吹け上がり感と振動・騒音が少ないエンジンは、ZZR250がどう頑張っても到達できないと思われます。
愛車が古くなって故障が多かったり、振動が多くて困っているZZR250オーナーにとっては、頑張ってZZR250に手をいれていくよりも、多少予算的に無理をしてでもNinja250Rの新車を購入したほうがハッピーかもしれません。買い替えても後悔することはほとんど無いでしょう。
逆にNinja250Rに試乗して好印象を持ったまま、予算がなくて同系列の2気筒エンジンだからといって、中古のZZR250を購入した場合は、おそらく その荒々しくてガサツなエンジンフィーリングに当惑することと思います。

側面 “回せば速い” というような評価もあるZZR250。Ninja250Rを同じ観点で評価すると “回しちゃう速さ” といったところでしょうか。スペック上は40ps/35psから31psにダウンしていますけど、常用域でアンダーパワーを感じることはないと思います。
別の表現をすれば、余力を残して走る傾向のZZR250に対し、使い切って楽しいNinja250Rという言い方もできます。

加速時のエンジンフィールを あえて擬音語で表現すると、ZZR250の
“ダッダルルル〜〜ヴーーギューーン” に対し、Ninja250Rは、
“トッフウウ〜ゥィーむいいいん!” というような感覚でしょうか。
これを元気があって良いと感じるか、子供っぽいと感じるかは 人それぞれ。

日常的な使い方で ZZR250ノーマルがNinja250Rを完全に上回っている部分は、しっかりした直進性と、全体から醸し出される おおらかさ、積載性ぐらいかもしれません...

ZZR250おすすめ仕様とは

狙った方向が完全に違っています。
Ninja250Rは快活でスポーティな走りが合っていますし、ZZR250おすすめ仕様は しっとりとした程よいペースでの “旅” 気分を満喫できます。
逆にNinja250Rで長距離まったりツーリングに出ても ゆったり走れずに少々疲れそうですし、ZZR250おすすめ仕様でブン回しつつワインディングを攻めるのも合いません。

Ninja250Rのエンジンはスムーズで快適ですが、ZZR250おすすめ仕様のエンジンだって、2気筒の心地よいパルスを存分に感じることができ、甲乙つけがたい印象です。しいて言えば、忙しくてせかせかした日本の社会人にはNinja250Rのほうが “わかりやすい” 性格なのかもしれません。

じゃあ、マニア仕様と比べたら?

ちょっと乱暴すぎますよ。
Ninja250Rノーマル車と、かたやバリバリに手が入っているZZR250マニア仕様。
抜群のアクセルレスポンスや、よく動き、よくふんばる前後サス。
これじゃあ、Ninja250Rノーマル車があまりに不利です。
それでも素性は悪くないと思うので、いつの日かワインディングでZZR250マニア仕様が軽くチギられる日が来ることでしょう。

Ninja250Rをカスタムすれば...
抜けの良いマフラーをつけてサスを換えて、もう少し直進性を持たせて、前のめりのシートも修正すれば、相当満足度の高いマシンができあがるかもしれませんね!