「新英語教育」2000年11月号掲載
はじめにーーベトナム戦争の手作り教材
8月号ではTeam-Teachingを成功させる12のレシピーをご紹介した。今回はその続きで、さらに28のレシピーを紹介したい。これは先回も紹介したALTのMichael
Galli 氏が開発したものである。ひとつの教材をreading, writing, listening, speaking
と、28通りに調理しようとするアイデア集です。どんな教材であれ、こんな風に加工可能だということを知り、Team-Teachingだけでなく、普段の授業に応用していただければ幸いです。
もとになる教材は、マイケルがインターネットから探し、それをもとに高校生用に書き直したもの。1972年、ベトナム戦争の最中、アメリカ軍が落としたナパーム弾によりやけどを負ったKim
Phuc (当時9歳の少女)の話。何度も手術を受け、九死に一生を得て、1992年には結婚し、カナダに移住という劇的な体験を英文にまとめた。
最後の段落にある彼女の言葉が胸を打つ。
Kim's burns have healed well, but most remarkably is the healing
of Kimユs heart. "If I could meet face to face with the pilot
who dropped napalm on me," says Kim, "I would tell him
we cannot change history but we should try to do things for the
present and for the future to promote peace."
Warm-up Activities として
レシピー1:写真を使い導入
教材に関係する写真、ビデオ、新聞記事などを利用して導入する。4人ずつのグループを作り、拡大した写真を見てどんな事件のものかを相談する。指示はAETとJTEが英語でする。生徒たちは日本語で話し合い、代表がそれを全体に報告する。ベトナム戦争の悲劇の1つ、この写真を覚えている方も多いだろう。
レシピー2:JTE が生徒に「読み聞かせ」
机を教室の後ろに集め、椅子だけを半円状に並べ生徒を着席させる。JTEが物語を易しい英語でストーリー・テリングをする。鍵になる単語・表現を板書したり、前もって描いた絵があればそれも利用する。AETはJTEの話している英語をparrotingしたり、時々簡単な質問をする。
読み聞かせの中で日本語の語彙を付け加えることはOKだが、訳すことはしない。終わったら、生徒の机を元に戻して、日本語でどんな話だったか書かせる。前もってJTEとAETがリハーサルをしておくのがミソ。AETは援助役に徹する。
Summary を使ってのActivities
レシピー3:ペアーで要約文を音読
AETが作成した物語のサマリーをペアーで読む。立って向かい合い、第1文を生徒Aが、第2文を生徒Bが読み、交互に読み合う。終わったら座る。
レシピー4:要約文の語彙をプリント学習
サマリーから難しそうな語彙を10ぐらい選び、英単語、日本語の意味、簡単な英語での説明、の3つを結びつけるようなワークシートを作る。各自がやり、答えを確認する。
レシピー5:虫食い要約文をペアーで埋める
サマリーの中の内容語を所々虫食いにして、ペアーでその語を思い出して書かせる。レシピー4の難解語は避ける。
レシピー6:ミニ要約の穴埋めを口頭で
ペアーが背中合わせになり、A,Bそれぞれの紙(異なった部分の単語が抜けているプリント)を持ち、お互い協力しながらミニ・サマリーを読み合う。二人が同じ文を繰り返す。背中合わせで相手に声を伝えるのがミソ。リスニング、スピーキング、リーディング、と一石三鳥の練習を兼ねる。スペースの関係でAのプリントだけを載せます。
Question-and-Answer Activities
レシピー7:要約文の英問英答
要約文の内容に対して、英語の質問シートがあり、その答を完成させる。
レシピー8:英問英答のマッチング
要約文をもとに、英問とその答えを結びつける。たとえば、Why were Kim and her family hiding
in a pagoda? に対して、Because her village was being attacked. を選択肢の中から選ぶ。
レシピー9:英問と英答作り
グループで1パラグラフずつ担当して、その中から質問と答えの文を作る。代表が黒板に英問を書き、全員はその答えをワークシートに書く。時間がなければ宿題にするのもOK。
レシピー10:虫食い質問文を完成させる
要約文から虫食い質問文と答の書いたワークシートを使い、その虫食いを完成させる。ヒントになる元の文が○で囲まれている。
Multiple Choice Quiz Actitivities
レシピー11:Multiple Choice クイズ
サマリーに関しての英問があり、そのA, B, C の選択肢問題から答えを選ぶ。たとえば、What is 'napalm'?
の質問に対して、A. A jellied gas. B.An American plane. C. Kimユs nickname.
から選ぶ。
レシピー12:Multiple Choice クイズ 1
AETの質問を聞いてレシピー11と同じ3択問題に答える。質問文がワークシートでは空欄になっている。
レシピー13:Multiple Choice クイズ2
レシピー12の逆。AETの質問を聞いてと同じA, B, Cの選択肢問題に答える。選択肢の文がワークシートでは空欄になっている。
レシピー14:Multiple Choice クイズ3
今度は質問も選択肢も空欄になっている。AETの読むのを聞いてA,B,Cの答えを選ぶ。
Verbal Multiple Choice Activities
レシピー15:口頭選択肢クイズ1
サマリーの学習を終えたところで、この活動をやる。ペアーでA, B の違った問題と選択肢の書いたワークシートを持つ。質問と選択肢を一人が読み、もう一人はそれを聞いて答えを選ぶ。(AETのお気に入りのタスク、listening,
speaking, reading を総合)
レシピー16:口頭選択肢クイズ2
レシピー15と同じ。違うのは、選択肢が与えられていない。生徒は答えを思いだし、書き入れる。AETとJTEは期間巡視をして答を確認する。これもペアーでやる。
レシピー17:ダミー選択肢作り
ダミーを2つそれぞれの答の選択肢に入れる。生徒の作ったダミーから良いものを選び、選択肢問題を作成する。生徒中心のタスクとして楽しい。
Paraphrase Activities
レシピー18:要約文の言い換え
サマリーをparaphrase したものをAETが用意する。
レシピー19:要約文のジグソーパズルを解く
最初の要約文をもとに、それを10前後のセクションに分け、番号を振り、ハサミで切り、封筒に入れる。ペアー、またはグループで、それを机の上で正しい順序に並び替える。頭を寄せ集め、手を動かしてやるタスクで、協同学習の楽しさを味わう。
レシピー20:言い換え文のジグソーパズル
レシピー18で出来たparaphrased summary をもとに、レシピー19と同じ事をする。
レシピー21:言い換え文の穴埋めともとの要約文のマッチング
paraphrased summary をもとに、内容語を虫食いにしてペアーで穴埋めをさせる。また、もとのサマリーをバラバラにしたものに記号を打ち、マッチングさせる。
Dialogue Activities
レシピー22:ダイアログをAETが作成
ストーリーをダイアログに書き換える。最初だけ紹介すると、
A: Do you know the story about Kim Phuc?
B: No. Who is she?
A: Sheユs a woman from Vietnam who now lives in Canada.
レシピー23:ダイアログをペアーで会話
ダイアログをもとに部分的に虫食いにして二人で完成しながらダイアログを行う。虫食い部分のヒントを英語で注釈として終わりに入れる。
Consolidation Activities
レシピー24:インタビュー活動
もとの物語からインタビューのワークシートを作る。ペアーで一人がインタビューする。もう一人が主人公になったつもりで答える。二人で出来たら、今度は2列でA,
B の組を作り、Aの側の生徒に質問の番号を割り振る。Bの側の生徒はチャイム(ホテルの呼び鈴を利用)ごとにローテーションし、質問に何も見ないで答える。
全部の質問が終わるまで繰り返す。呼び鈴を誰か生徒に鳴らさせても良い。機械的にローテーションをさせた方が、適度の緊張感を味わいだれることなく出来る。このローテーション方式は、色々応用がきく。
レシピー25:劇化してロールプレイング
AETが物語を劇化する。ト書きの部分はJTEが日本語で書く。ナレーターを含め4人ぐらいが適当。役割を交替して、一人が4役全部を体験できるようにする。
レシピー26:物語を絵に描かせマッチング
段落ごとに物語を絵にする。一人に1枚小さな紙切れを渡し、その番号の段落を絵にして描く。良い作品を集め、記号を振り、もとのストーリーとマッチングをさせる。
Other Optional Activities
レシピー27:ペアーで通訳ゲーム
二人で通訳練習をする。本文から10ぐらいの英文を選び、その日本語訳を対訳してワークシートを作る。ペアーになり、一人が英文を読み、もう一人がそれを聞いて通訳する。英語から日本語、日本語から英語と両方やる。
レシピー28:とっさの通訳ゲーム
ワークシートが準備できないときの応急処置。3人一組を作り、ひとつずつ段落を担当させる。一人が英語を読み、一人が日本語に通訳する。残りの一人が分からない単語を辞書で調べる。AET
は、机間巡視して発音読み方の指導をする。JTEは日本語訳の手助けをする。一通り終わったら、割り当てた段落の順番に、それぞれのグループから二人ずつ黒板の前に出させて、一人が英文、もう一人が日本語に通訳をする。