不思議の国のマザーグース(4)

教材としてのマザーグース


 この連載も最後。しめくくりとして、マザーグースをどう授業に取り入れるかを、話題にしたい。
 まず、英語の授業にマザーグースを教えるメリットとしては、次の3点が上げられる。

1 英語の単語、文法、リズムなどを身につける
2 英語のいわゆる「4技能」を学ぶ
3 マザーグースという英語文化を知る
 
 たとえば、「ダイハード3」の前半に、こんなマザーグースが登場した。

As I was going to St. Ives,
I met a man with seven wives,
Each wife had seven sacks,
Each sack had seven cats,
Each cat had seven kits:
Kits, cats, sacks, and wives,
How many were there going to St. Ives?

セント・アイブスへ行こうとしていたら
7人の妻を連れた男に出会った
妻はそれぞれ袋を7つづつ持っており
どの袋にもネコが7匹づつ入っていて
そのネコも子ネコを7匹づつ連れていた
子ネコにネコに袋に妻たち
何人がセント・アイブスへ行こうとしていたのか
            (藤野紀男訳)

 爆弾を仕掛けた男が、マクレーン刑事にこのマザーグースを唱えて「なぞなぞ」を出す場面に使われていた。答えは、"one"である。セント・アイブスへ行くのは、自分一人だけだから。

 このマザーグースを、授業で多面的に扱うことが出来る。過去進行形の例でも良いし、rhymingを生かした音読練習でもいいし、パロディを作る英作文の練習でも良い。短いマザーグースを利用して、reading, listening, writing, speaking などの言語活動が、総合的に出来るのが大きなメリットだ。
 と、同時に、マザーグースを通して、英語の発想、ひいては英語の文化を肌で吸収できる。まさに生きた教材と言えよう。ただ、教える側にマザーグースへの親炙がないと、授業ではなかなか使えない。

 最後に、マザーグースを学ぶための3点セットを紹介しておく。
1 マザーグースの絵本
The Mother Goose Treasury by Raymond Briggs, 洋版
2 マザーグースのCDと本
 『ふしぎのくにのマザーグース』(2冊)訳、谷川俊太郎、サンリオ
3 マザーグースのビデオ
 Richard Scarry's Best Sing-Along Mother Goose Video Ever!
( Random House )
4 参考書
 『英語で読もうMother Goose』平野敬一著、筑摩書房

 授業で扱う際には、ぜひ、マザーグースの絵本でイラストを見せ、テープでメロディを聴かせるなどして、導入を図っていただきたい。先日、7年ぶりにクラス会を開いた生徒たちが、Humpty Dumptyの唄を覚えていて、一緒に歌った。心に残る授業になることを証明してくれて、ちょっぴり嬉しく、おおいに懐かしかった。


マザーグースの部屋