亀  物語
花バッチャンは走るのがすごーく遅くて「かけっこ」が大嫌いでした。

ある年の運動会。
例年どうり「かけっこ」は奇跡も起きずに一番びり。
それも、7人走って10番目くらいじゃないかと思えるほど花バッチャンの
前に走っている人にずいぶん離されてのゴールでした。

その頃、40人8クラスの頃だったので、いくらビリでも人に隠れて
同じクラスでなければ花バッチャンは足が遅いと気づかれないし、気づかれても
秋は文化祭、遠足と行事がいっぱいで1週間も経つと誰も覚えていません。

「かけっこ」が苦手でもその時だけ嫌だなぁと思えば良かったのが通例でした。

しかし、この年は7人走って10番という屈辱を体験してしまったのです。
そこで、この悔しい悲しい思いを作文にしました。

悲痛な叫びのあふれたこの作文は 金賞をいただき、
朝礼の朝 全校児童の前に立ち
校長先生から表彰されてしまったのです。 

あぁ〜 クラスでかろうじて留め置いた秘密が全世界(学校中)に
に知れわたるはめになっちまった。。
深く考えなかったワシの愚かさを幾度悔やんだ事か・・・。

後にも、先にも作文でほめてもらったのはこれ一回きり。
そして、数十年の時が経ち、花バッチャンの別名「亀ちゃん」は今も健在で多くの人に
使用されています。


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