私の好きな

<とり>

入選投稿短歌・その他

 

番号  短歌  作者  
 駒とめて袖うち払ふかげもなし佐野のわたりの雪の夕暮れ  藤原定家 
 ながらえばまたこのごろやしのばれむ憂しと見し世ぞ今は恋しき  藤原清輔 
 心なき身にもあはれはしられけりしぎ立つ沢の秋の夕暮れ  西行 
 ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲  佐佐木信綱
 秋風やいくさ初まり港なるただの船さえ見て悲しけれ  与謝野晶子
 むらさきの日傘すぼめてあがり来し君をし見れば襟あしの汗  川田順
 ひとりする行をたのしとおもいつつだいご山路のけわしきをふむ  吉井勇
 大らかに耳遠きこと人に告ぐあるがままなる老い生くるべく  山田正代
 追い回す孫ら帰りて妻の膝に老いたる犬はいびきかき眠る  将積茂
10  今年また小さくなりたる父母が卵のように並びて座る  安川道子
11   なめくじと同じくらいはまどいたし 行きつもどりつ跡残しつつ  入江みち
12   のびやかな手脚をさらす孫娘八月の古都ならびて歩む  湯朝俊道
13   「別れた」とぽつりと告げし子のための食事は普段通りに作る  西村愛美 
     
 菜園に借りし荒れ地の開墾に幼子付き来て小さき鍬振う  服部俊介  
 雨止みて工事現場を巡回す重たき靴をよいしょと上げて  服部俊介 
妻の髪洗いてやりし浴室のリホーム終に成らず逝かしむ     服部俊介
 

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