竣工:平成11年7月

 設計屋として今までチョット思い出せないぐらいの数の住宅手掛けてきましたけど、いざ自分の家ともなりますと格別な

感慨がありましたね。タノシカッタ!そして何よりの収穫は自分自身で家を建てたことにより『お施主』つまりお客様である

アナタの立場を経験してそのお気持ちがもっともっと理解できるようになったことです。

(完成からはや15年経過してます。工法や建材等がどんどん進歩しています。ここに記されていることすでに時代遅れな面も

あります。)

木造住宅であることを楽しみたい。そんな想いで設計を始めたわけですが、上を見ればきりがない自分の足もとを見れば予算がない・・・

「私の設計はすべてロ−コストです」てなこと言ってカッコつけるまでもなく、ロ−コストでやらなきゃ出来そうもない。そんなスタ−トでし。
大工さんが最も晴れがましく見える日です。

建前、(上棟、棟上、言い方はいろいろあるようです。

早朝から現場は活気に満ちています。)
運動神経が切れていて、尚かつ高所恐怖症の私から

見ると、只ただ尊敬!
高い梁の上を自由自在。 大工さんが何年か前に、

男の子の将来なりたい職業NO1になったけどなんとなく

わかるようなカッコよさです。
夕刻には建物の全容が現れてきました。
上棟式には御幣(ごへい)を奉り供物を供え、工事の

安全と家の繁栄を祈ります。

この後、御幣は屋根裏に奉られ末永く家の護りとなります。


それにしても、上棟式での餅投げホントに減りました。

ウチもやりませんでしたけど・・・
柱、筋交い、梁、火打ち梁それぞれの補強金物です。

上記と同じく


ういった部分が隠れて見えなくなってしまう部分です。

必ずチェックします。
一部床下の防湿目的に炭(調湿炭)を敷き詰めました。

ちなみにこの炭、

奥三河は段戸山の麓でやかれたものです。
床下断熱材の敷き込みです。床材と断熱材の間に

隙間があっては効果が薄れます。丁寧に、ていねいに・・・
リビングの電気蓄熱式床暖房の工事です。

この他に電気パネル式、温水式などありますが、

工法が簡略化され、以前と比較してずいぶん普及して

きているようです。
床をご覧下さい、ブル−のシ−トと合板が敷き詰めて

あるでしょ。これはすでに工事が終わっている床を保護

する為の処置です。このように建物を傷や汚れからまもる

ことを建築の世界では
『養生』といいます。
工場で出来たパ−ツを組み立てたり張り付けたり・・・

最近はそんな住宅がほとんどですが、極力手造りに

こだわりました。

木材は高級な材料を使わなくても充分に視覚的な

柔らかさや温もりを感じることができます。
天井にクロスを貼ってるところです。今まで何度も見てきて

ますが、職人さんのクロス貼る手際の良さ、カットするときの

正確さ、ブキッチョな私はいつもみとれてしまうのです。

トテモ、マネデキン・・・
左官さんの仕事です。家の廻りを仕上げるようになると工事

も終盤です。建物完成間近!
建具屋さんです。見た目はきれいでも画一的な既製品の

ユニットドアは避けて、あくまで手造りです。

ひとつ、ひとつ寸法を取り調節して取り付けます。

表面の仕上げ材は質素なシナベニヤだけど

 
「職人さんの腕前を味わう」これゼイタクのひとつ
完成後、引っ越し間もない頃の玄関です。土間においてある

式台にご注目を、
おそれ多くも『東濃檜』ですぞ!

しかも分厚いムク材で節無し・・・いいでしょ

じつはこれ、展示会で展示されてた大黒柱の

サンプルです。閉会間際に欲しそな顔して見て

たら某森林組合の人がタダでくれました。

喜んでかついで持ち帰り大工さんにふたつに

割って作って貰いました。

吹き抜けのリビングル−ムです。

吹き抜けを作るときどうしても気になることのひとつが、

上部の窓をどうやって開けるか、窓拭きはどうするかです。

デザインにだけ走ると後々たいへんです。そこでキャット

ウォ−クをつけました。×印の手摺りの付いてる部分です。

こうすると行き来は自由で開け閉めも掃除も楽、しかも普通

のサッシでOKです。キャットウォ−クなんて誰が名付けたか

知りませんが、ウチの場合本当に猫が走り回っています。
我が家のリビングは南に面してはいるけど、小さな庭もある

けど、その先、高さ約3mのコンクリ−トの擁壁が

立ちはだかってまして、眺めが悪い!

 そこで東側のダイニングの窓を大きく掃き出しにしました。

そこから1m先は他人様の土地・・・緑、緑の山です。小鳥も

いっぱいやって来るし、癒されますなあ−。そこでチャッカリ

自分ちの庭ということで・・・

(こういうのも一種の借景ミタイナ?)
我が家の壁は和室とその他一部を除いて殆どシナベニヤ

貼りです。安価なベニヤ板と言えどもその表面は本物の


『木』
には違いない

ちゃんと木目もあるし・・
(ちょっと開き直り?) 

敢えて塗装による着色はせずワックス掛けのみでしたが、

3年も経ちますとけっこう良い色になってきまして味が

出てきました。
2階洋室です。吹き抜けとの間仕切り壁には思い切って

大開口を設け建具はやめて和紙のスクリ−ンにしました。

(上の写真左上参照)


上下階のつながりを何となく

ワンル−ムぽくしてみようかと・・・
ちょと自慢したい茶室です。ロ−コストでもちゃんと作法に

もとずく本格派?

 ここの四畳半が意外と落ち着くのです。
ホントに安価な材料使いましたが、手間だけはやはり掛かり

ました。よくぞここまでやってくれた!

こういった贅沢感を味わえるのは、作ってくれた人の苦労を

知ってこそです。
ウチの奥さんがお茶とかお華とかやってまして、

「だからお茶室造ったんだよ」って言おうとしたら

アアタが設計して見たかったんでしょ」って先制パンチ

くらいました。イテッ!
猫専用の穴(出入口)です。家の中に3ヶ所設けました。

猫は自分で戸は開けますけど、

ゼッタイ閉めませんもんねえ・・・

猫と暮らす家のPR用にとカメラ向けたら、ちゃんとポ−ズ

とってくれました。(猫の手貸してくれた)

玄関ポ−チです。雨の日を基本に考えて2人位が楽に傘を

開いたり閉じたりして濡れずに出入りできるのが理想かなと

おもいます。それから個人的な考えですがポ−チが広いと

家がカッコよく見えるのです。
最後に屋内の照明ですが是非とも電球か、電球色の

蛍光灯をお薦めします。

白色灯(昼光色)は明るいかも知れませんがイマイチ。 

写真見て下さい、オレンジ色の優しい光、電球色ですよ。

 我が家の工事関係の写真と完成時の写真を解説混じりで並べてみました。けっこう省いたんですがそれでもたくさん

あります。ダラダラ続くので飽きてしまうかも・・・

        お急ぎの方ココ跳ばして下さい
 

最後まで見て頂きありがとうございます。

事務所+自宅(猫と暮らす家)

完成当時の写真です。

                                                                         

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