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N80解體新書

PC-8001の仕様とN80の構造について
last modified: Aug, 22, 2007

PC-8001アーキテクチャー

構成

PC-8001はCPUにZ80互換のNEC製uPD780C 4MHz、CMTコントローラ（カセットテープ）、USART(i8251)、CRTC(uPD3301)、DMAC(i8257)、カレンダー(uPD1990)などから構成されています。

メモリマップ

$0000 $5FFF

ROM(24KB)

N-BASIC

$6000 $7FFF
未使用

$8000 $E5FF
RAM

$E600 $EBFF N-DISK BASIC

$EA00 $F125 SYSワーク#1

$F126 $F2FF 未使用

$F300 $FEB7 VRAM

$FEB8 $FF3C SYSワーク#2

$FF3D $FFFF BOOT時スタック

N80ではRAMを最大限搭載した32KBのマシンとして動作します。

主要I/Oマップ

PORT

TYPE

I/O

b7

b6

b5

b4

b3

b2

b1

b0

備考

00H

KEYBOARD
SCAN

I

７

６

５

４

３

２

１

0
テンキー

01H

I

RT

．

，

＝

＋

＊

９

８
テンキー

02H

I

Ｇ

Ｆ

Ｅ

Ｄ

Ｃ

Ｂ

Ａ

＠
　

03H

I

Ｏ

Ｎ

Ｍ

Ｌ

Ｋ

Ｊ

Ｉ

Ｈ
　

04H

I

Ｗ

Ｖ

Ｕ

Ｔ

Ｓ

Ｒ

Ｑ

Ｐ
　

05H

I

＝

＾

]

￥

[

Ｚ

Ｙ

Ｘ
　

06H

I

7'

6&

5%

4$

3#

2"

1!

０
　

07H

I

＿

？

＞

＜

；

：

9)

8(
　

08H

I

CT

SF

ｶﾅ

GR

DL

←

↑

HM
　

09H

I

EC

SP

F5

F4

F3

F2

F1

ST
　

10H

CALENDER

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
カレンダー／プリンターデータ

20H

USART(8251)

I/O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
8251データ

21H

I/O

STOP

EO

PN

LEN

CLK
8251 MODE

－

IR

RS

ER

BK

TE

DR

RE
8251 COMMAND

DS － FE OE PE TE RR TR 8251 STATUS

30H

CONTROL
PORT#1

O

－

－

CB2/1

MT

CI

CL

WD
　

　

０

０

　
CMT600

０

１
CMT 300

１

０
SIO非同期

１

１
使用禁止

　

＊

　
MOTOR ON/OFF

　

＊

　
~COLOR

　

＊
80/~40

40H

CONTROL
PORT#2

I

－

－

VR

DI

EX

CD

AK

BY
　

　

＊

　
VRTC

　

＊

　
DATA IN (TIMER IC)

　

＊

　
~EXTON

　

＊

　
CDIN

　

＊

　
~ACK (PRINTER)

　

＊
BUSY (PRINTER)

O

－

－

－

BP

DS

CK

TB

ST
　

　

＊

　
BEEP

　

＊

　
CLDS

　

＊

　
CLK (TIMER IC)

　

＊

　
CSTB (TIMER IC)

　

＊
~PSTB (PRINTER)

50H

CRTC

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
CRTCデータ出力

51H

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
CRTCコントロール出力

64H

DMAC

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
DMAC Ch.2 アドレスセット出力

65H

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
DMAC Ch.2 ターミナルカウンタ

68H

I/O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
DMAC モード設定／ステータス

パラレルポート

本体パラレルポートは34pinのカードエッジ

┌───────────────────────────┐
│　33 31 29 27 25 23 21 19 17 15 13 11　9　7　5　3　1　│
│－〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓-〓－│
│　34 32 30 28 26 24 22 20 18 16 14 12 10　8　6　4　2　│
└───────────────────────────┘
　　　　G　　　　　　　B　　D7 D6 D5 D4 D3 D2 D1 D0　S

B：BUSY(IN)、S：STROBE(OUT)、G：GND、D0～D7：データ(OUT)

作業には上記のようなエッジコネクタ／パラレルポート間ケーブルを作成してPC-8001と互換機を接続しました。

CRTC表示アトリビュート

TYPE

b7

b6

b5

b4

b3

b2

b1

b0

備考

モノクロ

TG

－

下

上

－

反

点

消
T/G = "0":文字／"1":簡易グラフィック

カラー

緑

赤

青

TG

１

－

－

－
色指定

－

－

下

上

０

反

点

消
機能指定

上：上線（オーバーライン）、下：下線（アンダーライン）、反：反転、点：点滅(ブリンク)、消：消去

HAL研究所 PCG-8100アーキテクチャー

構成

キャラクタージェネレータ部とi8253タイマーより構成されている。キャラクタージェネレータは本体フォントのASCIIコード(128～255)までの128文字分のフォントに対して操作でき、キャラクタージェネレータ用に1KB（128文字×8byte）のRAMが搭載されている（フォントデータ１文字分は8byte）。音声はi8253のch.0がPCGのスピーカーに接続され効果音を出力する（他のch.1、ch.2は未使用）。i8253には4MHzのCLKが入力されている。

主要I/Oポート

PORT

TYPE

I/O

b7

b6

b5

b4

b3

b2

b1

b0

備考

00H

キャラクタ
ジェネレータ

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
キャラクターデータ

01H

O

A7

A6

A5

A4

A3

A2

A1

A0
データアドレス下位

02H

O

－

－

MC

CL

SP

－

A9

A8
データアドレス上位、制御

　

＊

　
0:MOVE port0の内容を内部RAMに転送
1:COPY 本体FONT ROMの内容を内部RAMに転送

　

＊

　
データ転送クロック(STROBE) "1"→"0"

　

＊

　
スピーカーOn/Off (0:Off/1:On)

0CH

i8253

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
　8253 ch.0

0DH

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
　8253 ch.1

0EH

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
　8253 ch.2

0FH

O

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊

＊
　8253 モード設定レジスタ
（ワード転送、方形波、バイナリーで36Hを設定）

N-BASICフォーマット

メモリ中のN-BASICの格納形式について
$EB54にN-BASICプログラム格納メモリのスタート番地が入っており、32KB RAMの場合はスタート番地は$8021である。以下の形式でN-BASICプログラム本体が格納されている。

ADDR

NEXT

LINE

BASIC

EOL

$8021
29

80

LO

HI

中間言語

00

$8029
72

80

LO

HI

中間言語

00

$8072
00

00

00

00

　

　

ADDRはメモリアドレスで実際のBASIC本体はNEXTからEOLまでである。NEXTには次行のアドレス、LINEには行番号、BASICには中間言語形式でBASIC行が格納されている。EOLは行末で00Hが入る。最終行はNEXT、LINEが00Hとなる。

CMTフォーマット

概要

外部記憶装置として高価なフロッピーディスクよりもオーディオ用のカセットテープがよく使われていました。デジタルデータを音声に変調して録音することで記憶させていたのですが、ここではそのフォーマットについて記載しておきます。尚、N80で利用されるCMT形式のファイルも、このCMTフォーマットで記録されたテープの内容そのままをファイル化したものです。

マシン語データ

モニタからセーブ、ロードされるテープのフォーマットです。

ヘッダー

データブロック#1

～

データブロック#N

終了

3A

HI

LO

CK

3A

LN

データ

CK

3A

LN

データ

CK

3A

00

00

CKはチェックサムです
HI、LOにはデータを読み込むアドレスが上位、下位で格納されています
LNにはデータ長が格納されています。
データブロックはデータ長が０になるまで連続します。

BASICデータ

BASICからセーブ、ロードされるテープのフォーマットです。

ヘッダー(D3×9)

ファイル名（6文字）

本体

終了（00×9)

D3

D3

D3

D3

D3

D3

D3

D3

D3

**

**

**

**

**

**

00

00

00

00

00

00

00

00

ファイル名は６文字で足りない分は00H
本体はメモリ中の中間言語の形式で格納される

N80形式ファイルフォーマット

概要

N80形式ファイルとはN80エミュレータで使用されるイメージファイルで拡張子はN80(*.N80)です。N80形式はある瞬間のRAMの状態をそのままに僅かな補助情報を加えてダンプ出力したファイルです。これは実機にてテープからゲームなどをロードした直後にRAMの内容をほぼそのままパラレルポートより互換機に転送していたのに由来するファイル形式で、実機側のマシン状態情報は持っていません。初期の頃はPC-8001のみで作業をしていたので、このようなアバウトな仕様になっています（メモリに余裕のあるPC-8801では主にCMT形式で抽出するようになりましたが…）。従って、このN80形式のファイルは電源投入後の状態（桁数やカラー／モノクロ）のままで作業する必要があります。

パラレル転送プログラム

実機のパラレル転送プログラムは未使用の領域$FF3Dから格納されており、スタート番地は$FF40です。実機にてゲームをcloadやモニタのLコマンドにてロードした後に$FF40から転送プログラムを実行すると、その時点でのSPの値が$FF3Eに格納されRAMの領域$8000～$FF3Fがパラレルポート経由で互換機へと転送されます：

ADDR| +0 +1 +2 +3 +4 +5 +6 +7　 +8 +9 +A +B +C +D +E +F ----+-------------------------------------------------- FF30: ** ** ** ** ** ** ** ** - ** ** ** ** ** C9 00 00 FF40: ED 73 3E FF 21 00 80 DB - 40 E6 01 28 FA 7E D3 10 FF50: AF D3 40 DB 40 E6 01 20 - FA 3E 01 D3 40 23 7C FE FF60: FF 20 E4 7D FE 40 20 DF - 2A 34 FF C9 ** ** ** **

; ;　　　　　　　　　PC-8001 側転送ルーチン ;　　　　　　　 ------------------------------ ;　　　　　　　　　AREA: $FF3D-$FF6B ;　　　　　　　　　開始: $FF40 ;　　　　　　　　　機能: $8000-$FF3F を転送する ; FF3D　C9　　　　　　　　RET　　　　　　　　　　 ; ｴﾐｭﾚｰﾀPC位置 FF3E　00 00　　　　　　 DW　　　0000h　　　　　 ; save SP buffer FF40　ED 73 3E FF　　　 LD　　　(FF3Eh),SP　　　; 現在の SP 待避 FF44　21 00 80　　　　　LD　　　HL,8000h　　　　; 転送開始番地 FF47　DB 40　　 wait1:　IN　　　A,(40h)　　　　 ; BUSY="H" を確認 FF49　E6 01　　　　　　 AND　　 01h　　　　　　 ;(相手方受信可能通知） FF4B　28 FA　　　　　　 JR　　　Z,wait1 FF4D　7E　　　　　　　　LD　　　A,(HL)　　　　　; データ出力 FF4E　D3 10　　　　　　 OUT　　 (10h),A FF50　AF　　　　　　　　XOR　　 A　　　　　　　 ; データ出力通知(PSTB="L") FF51　D3 40　　　　　　 OUT　　 (40h),A FF53　DB 40　　 wait2:　IN　　　A,(40h)　　　　 ; BUSY="L" を確認 FF55　E6 01　　　　　　 AND　　 01h　　　　　　 ;(相手方受信完了通知) FF57　20 FA　　　　　　 JR　　　NZ,wait2 FF59　3E 01　　　　　　 LD　　　A,01h　　　　　 ; 転送終了告知(PSTB="H") FF5B　D3 40　　　　　　 OUT　　 (40h),A FF5D　23　　　　　　　　INC　　 HL　　　　　　　; 転送番地更新 FF5E　7C　　　　　　　　LD　　　A,H　　　　　　 ; 転送終了番地チェック FF5F　FE FF　　　　　　 CP　　　FFh FF61　20 E4　　　　　　 JR　　　NZ,wait1 FF63　7D　　　　　　　　LD　　　A,L FF64　FE 40　　　　　　 CP　　　40h FF66　20 DF　　　　　　 JR　　　NZ,wait1 FF68　2A 34 FF　　　　　LD　　　HL,(FF34h)　　　; BASIC に戻る(^B) FF6B　C9　　　　　　　　RET

これをそのままバイナリファイルとして保存したものがN80形式です。N80ではN80形式のファイルをエミュレータのRAMに読み込み$FF3Eに格納されたSPの値をエミュレータのSPレジスタにセットし、PCを$FF3Dに設定します。$FF3DはZ80のコード"RET"となっていますから、実機にて転送を行った時点の状態から復帰するような動きが再現されます(各レジスタの値は不定ですが、特に問題なかったのでｗ）。
即ち、N80ファイル形式とはメモリの$8000～$FF3Fまでがダンプされ、$FF3D(ファイル中でのオフセットは$7F3D）にはRET命令、$FF3E(同オフセット$7F3E)にはSPの値が格納されている単純なイメージファイルだということです。

制限事項

未使用の領域を利用して小さな転送プログラムを潜り込ませるという方法の為、この領域を利用するようなプログラムではこの手は使えません。またオートスタートするようなプログラムでもうまく転送出来ない場合があります。

あとがき

さいごに

N80を作成する時に調査した資料を元に編集しました。

免責事項

ここで公開されている情報はあくまで私個人が調査した結果などであり、必ずしも正確とは限りません。

e-mail:管理者

$0000	$5FFF	ROM(24KB)	N-BASIC
$6000	$7FFF	未使用
$8000	$E5FF	RAM
$E600	$EBFF		N-DISK BASIC
$EA00	$F125		SYSワーク#1
$F126	$F2FF		未使用
$F300	$FEB7		VRAM
$FEB8	$FF3C		SYSワーク#2
$FF3D	$FFFF		BOOT時スタック

PORT	TYPE	I/O	b7	b6	b5	b4	b3	b2	b1	b0	備考
00H	KEYBOARD SCAN	I	７	６	５	４	３	２	１	0	テンキー
01H		I	RT	．	，	＝	＋	＊	９	８	テンキー
02H		I	Ｇ	Ｆ	Ｅ	Ｄ	Ｃ	Ｂ	Ａ	＠
03H		I	Ｏ	Ｎ	Ｍ	Ｌ	Ｋ	Ｊ	Ｉ	Ｈ
04H		I	Ｗ	Ｖ	Ｕ	Ｔ	Ｓ	Ｒ	Ｑ	Ｐ
05H		I	＝	＾	]	￥	[	Ｚ	Ｙ	Ｘ
06H		I	7'	6&	5%	4$	3#	2"	1!	０
07H		I	＿	？	＞	＜	；	：	9)	8(
08H		I	CT	SF	ｶﾅ	GR	DL	←	↑	HM
09H		I	EC	SP	F5	F4	F3	F2	F1	ST
10H	CALENDER	O	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	カレンダー／プリンターデータ
20H	USART(8251)	I/O	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	8251データ
21H		I/O	STOP		EO	PN	LEN		CLK		8251 MODE
			－	IR	RS	ER	BK	TE	DR	RE	8251 COMMAND
			DS	－	FE	OE	PE	TE	RR	TR	8251 STATUS
30H	CONTROL PORT#1	O	－	－	CB2/1		MT	CI	CL	WD
					０	０					CMT600
					０	１					CMT 300
					１	０					SIO非同期
					１	１					使用禁止
							＊				MOTOR ON/OFF
									＊		~COLOR
										＊	80/~40
40H	CONTROL PORT#2	I	－	－	VR	DI	EX	CD	AK	BY
					＊						VRTC
						＊					DATA IN (TIMER IC)
							＊				~EXTON
								＊			CDIN
									＊		~ACK (PRINTER)
										＊	BUSY (PRINTER)
		O	－	－	－	BP	DS	CK	TB	ST
						＊					BEEP
							＊				CLDS
								＊			CLK (TIMER IC)
									＊		CSTB (TIMER IC)
										＊	~PSTB (PRINTER)
50H	CRTC	O	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	CRTCデータ出力
51H	CRTC	O	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	CRTCコントロール出力
64H	DMAC	O	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	DMAC Ch.2 アドレスセット出力
65H		O	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	DMAC Ch.2 ターミナルカウンタ
68H		I/O	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	＊	DMAC モード設定／ステータス

TYPE	b7	b6	b5	b4	b3	b2	b1	b0	備考
モノクロ	TG	－	下	上	－	反	点	消	T/G = "0":文字／"1":簡易グラフィック
カラー	緑	赤	青	TG	１	－	－	－	色指定
カラー	－	－	下	上	０	反	点	消	機能指定

ADDR	NEXT		LINE		BASIC	EOL
$8021	29	80	LO	HI	中間言語	00
$8029	72	80	LO	HI	中間言語	00
$8072	00	00	00	00