はじめに
私は、もう30年以上前に買ったタミヤのプラモデル「1/24 パンサー」を今でも持っています。それだけでなく、可動できるのです。なんと、その後追加した「ラジコン」によって。そのラジコンは、「日の出」とかいう会社のもので、ボタン一つを「3回押すとー前」。動いたら、次に「押すと右」。「左は、トン・ツーと押す」というような特定の信号を送るものなのです。これが、まだ可動するのです。
今回は、それよりは後になりますが、20年近く前に買った京商の「プログレス」というラジコンカーを紹介したいと思います。このラジコンカーには驚かされたり、苦労させられたり。実に思い出の多いものなのです。
プログレスー満足な走りを体験することなく
このプログレスは、当時としても大変めずらしい4WSという操舵方法を持っていました。その4WSに惹かれて買ったのですが、最も重要な点で欠陥を持っていました。それは、ギヤ部の問題でした。ですから、完成して走らせたのは、いいのですが、途中で「エンジンストール」のような現象になり、そのころは原因も分からず、分解しては組み立て、の繰り返しでした。そして、「今度は、うまくいくぞ。」と思いきや、またしてもすぐに、力がなくなってしまうのでした。
ですから、この車を十分走らせたことはなかったのです。そして、分解したまま、他のプラモデルと一緒に棚の奥にしまいこんでしまったのです。しかし、ある日(もう10年余がたっていましたが。)何の気なく、これを出して、「これも、もうだめだな。」と思って、ギヤ部を見ていると、何と、ようやく原因が分かったのです。いや、その時は分かったと思ったのです。
トラブルの原因
それは、確かにギヤ部にありました。このプログレスのギヤ部は、モーターからギヤに力を伝え、そのギヤに「固定」されたシャフトが前後輪に力を伝えると言う仕組みを持っていました。この力は大変なものです。それを、「ギヤとその中心に刺してあるシャフトを通して伝える」ことに、ようやく疑問がわいたのです。「このシャフトは、私が組み立ての時にギヤの中心に刺したものだ。それも、木つちでコンコンと。」「これが、空転しているのでは。」と思ったのです。
案の定でした。ギヤまで伝わった力は、シャフトにしっかり伝わらず、「空転」しているのです。「原因がわかったら、解決の方法はあるはずだ。」と、模型点に行ったのですが、ちょうど良いギヤやシャフトが一体のものなんかはなく、京商本社に連絡してみたのですが、「すでに作られていません。」とにべもない返事でした。
修理開始
それなら、わたしが何とかしよう、と、その日から試行錯誤が始まりました。ギヤとシャフトが空転しないためには、ギヤの回転する力を支えるシャフトの形状を変えたらいいのでは。つまり、「四角」にしたら。しかし、シャフトは、四角にはならない。細かい溝が彫り込んであるだけです。(この溝が、結局用をなしていないのですが。)
ある日、シャフトを楕円にしたら、と。そして、金槌で、シャフトをたたき、楕円にして、ギヤに差し込んでみました。そして、組み立てて、起動させてみました。そうしたら、最初は良かったのですが、やはり、数秒で「空転」が始まったのです。これではだめだ。次に考えたのは、シャフトを削り、丸いシャフトの一部を平らにし、ギヤの穴の方に金属片を差し込んで、「空転」を止めるというものでした。
ほんの少しの間、素晴らしい動きが
これで、走らせたら、プログレスは、信じられない動きを見せました。それは、私を感動させました。ほんの数十秒でしたが、思い通りに急ハンドルをこなし、出足も制動も、申し分なかったのです。しかし、今回もバックを入れ、急制動をかけたら、それで、回転音はすれど、動かなくなりました。今までと同じでした。動力をギヤとシャフトが支えきれないのです。分解して見たら、金属片は一部飛び出し、丸く変形していました。「空回り」を押さえたのはほんの少しの間だったのです。
「プログレス」の箱
「4・wdS」の表示があります。その後、実際にホンダのプレリュードなどで具体化されましたが、その走りは興味あるものでした。
プログレス
部品は、ほとんど変わっていません。タイヤも何も。
ただし、モーターは、その後買った京商のルマンをつけました。ハイトルクの力強いモーターです。
プログレス
後ろから見ると、4WSと4WDの特徴が少しわかると思います。
モーターは、京商のルマン。
カバーが取ってありますが、私を長い間苦しめたギヤ部が見えます。
ギヤ部の分解図(下)と写真(上)
最大の問題は、この部分にありました。下の「分解図」では、センターギヤ(74)とカウンターギヤ(75)は、それぞれセンターシャフト(78)とカウンターシャフト(79)と結合するようになっています。図では、シャフトのギヤとかむ箇所がかまぼこ形にけずられていますが、実際は、シャフトの周りに細いみぞが細かく刻まれているだけでした。(図と実際が違う。)修理後のギヤ部(これでは、わかりませんね。また、分解してみます。)
ギヤ部の修理
原因が分かれば、こちらのものです。早速、修理を始めました。
まずは、適合するギヤやシャフトを模型点で探しましたが、ありませんでした。そして、既述したように、京商に電話しましたが、「もう作ってないから、わかりません。」とのこと。
「何十年経っても、対応できる」ということは、素晴らしいことですし、必要なことだと思うのですが。さすがに20年近く前のものでは、何にもないのでしょう。ですから、あるもので「直して」みようと思いました。
しばらくは、いろいろ対策を考えるだけにしました。直接ギヤやシャフトの工作に取りかかって、失敗した時のことがこわいからです。
決めたのは、しばらく思考錯誤してからでした。やはりシャフトの一部を削り、ギヤ部からネジを切り込み、そのネジで空転を抑えようとしたのです。
ギヤ部の拡大写真
(続く)
「ものを作るのは、人間本来の楽しみだと思います。
組み立てては、分解し、分解しては組み立てて…。それが、楽しいのです。」
ル・マンモーター
このモーターは、ル・マン・プロの「ハイ・トルク」で、相当の力を持つモーターです。
これをつけたからには、何が何でも「ギヤ部をなおしてやろう」という気になりました。
そして、第1度目の「すばらしい走り」(たった数秒でおわりましたが)を目の当たりにしたからには、「絶対直す」と決めたのです。
ついでにいいますと、このモーターも店の隅っこで、ほこりをかぶっていたのです。(どうも、忘れられた物に縁があるようですね。)
日之出の受信機とサーボ
はじめに言いました「日之出受信機(向こう)とサーボです。今、これをきれいにしています。
可動が確実になるように。 (まだ時間がかかります。)
私の持っているトマホークです。まだ現役で、ほとんど買った当時のままです。バッテリーとモーターは変えましたが。モーターをル・マン360PTにしたら、一層アンダーステアになり、ほとんど直進という走行です。運動場で走らせると、その速いこと。しかし、ちょっとしたことで、スピンばかりです。思い通りにならない車ほどかわいいといいますね。この点、保守的なのか、「けっちい」のか、20年前のものでもそのまま使おうという気になるのです。
この紹介は、また何時か。
ニッサン フェアレディ
模 型
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この矢印の二つのギヤが空転した。
※それは、前輪の「ワンウェイタッチ」つまり、前進時は駆動し、逆回転では空転するという方法がくせ者。ブレーキをかけた時は前輪は全くグリップせず、後輪だけに負担がかかり、ギヤ部が耐えきれないのでしょう。