幸田町教育委員会会議傍聴録

 幸田町教育委員会会議を傍聴して

 「学力テスト問題について話し合います。」という連絡がありましたので、「どんな議論が行われるのだろう。」と傍聴しました。
 2007年12月3日(月)のことでした。
 以下は、その時のメモです。この論議が行われた時間は、9:13頃より報告があり、質疑に入ったのが9:25頃でした。そして、決議を取ったのが、10:00頃でした。実質、35分の「論議」でした。

 幸田町教育委員会第9回定例会傍聴記

                      2007,12,3 メモより

○ 2007年12月3日(月)午前9:00〜10:00 幸田町役場4階408会議室

○ 第1号議案 平成20年度全国学力・学友調査への参加について(9:13より)

委員長:では、第1号議案について提案をお願いします。

1 事務局の説明(主事)

 提案資料に基づいて説明。主に、文部科学省が行った「変更点」の説明。「継続的検証のサイクルを確立」「分かるのは学力の特定の一部」「序列化をしないよう」「学力状況を把握し、どのように改善し、指導に役立てるか。」「課題は複数年参加することで成果と課題が明確になる。」そして、繰り返し「学力としての一部分、一側面にすぎない。」などの言葉が聞こえる。

 

2 質疑(9:25より)

・しばらく沈黙

A・私は初めてなので、昨年度はどうだったのか。ふだん学校でもテストをやっている。成績を評価している。入学試験もある。こういうのは、測定である。

  それとは違い、成績の診断をする。勉強についての診断をする。そういうものがある。

  今のテストは(今回の学力テストをさす)成績のための試験ではない。このテストで、その子の将来を差別してはならないと理解している。今年度だけでいいという意見もあるが、複数年行うことで高い成果が得られる。「Aはできるが、Bはできない」分かっている人もいるが、細かくどういう分野でわかるか。実態を掴む、そういう作業が必要だ。また、「学力は計れない。」という考え方があるが、この学力テストは、その子の全部を掴むものではない。今の力をみるものだ。別の試験もあるが、現在の力を計るということで、必要である。もし、学力というものが計れないというのであれば、主観的になる。こういうテストも必要。客観的に長い間調べてきたもので、進歩がある。こういう試験では、追跡調査が行われることがあるが、学校のやることではない。そのようには、使われないと思っている。

 

B・確認ですが、私は昨年のこの論議には出ていない。反対の理由を確認したい。先ほどの文部科学省の文書の「追加」は、批判を受けて追加したと思う。@効果は期待できない。Aある程度分かっている。B序列化、競争ということですね。

 

C・高橋委員が言われたように、(それは)反対される方々の意見です。

 

D・賛成の立場から。以前から基礎学力よりも応用力があるのは、あまり考えられない。テストを通して改善が可能。注意するところは、どういう改善が行われるのか。文章の羅列で、文部科学省からその案が出ていないのではないか。80%というが、その80%あるのを、どう改善するか。子どもに回答が渡っていないですね。

 

E・はい。渡っていません。

 

F・そういう状況であって、だいぶたって返ってきて、結果を子どもはどう受け取っているか。反省しているのか。分かるような措置はできているのか。今、返却されたので、どうだったのか。(私は見ていないので。)分かりませんが、序列化を心配する。テスト対策にならないようにしたい。国語では書くことをどのように授業に生かそうとしているのか。…広告から主題をとか。…そういうところだけに授業がいって、内容を読みとることはできているので、具体的には、はっきり言えないが、幸田町では、少人数の成果は上がっているのか。習熟度別と学力との関係はわかるのか。全体に賛成ではあるが。

 

G・4点あったと思います。

@改善は大切。結果をどう役立てているか。文部科学省は改善に出ると思うが、県は2月に「改善のためのプラン」(10点)を示すと。2月ですので、私はまだ見ていませんが、

 A手作業による分析を行ってきた。以前しましましたが。12月に県は「分析プログラムを示すという。中身はわからない。小6・中3の傾向は掴んでいる。担任や校長から、話を耳にしている。改善に生かしたい。

 B「子どもが結果をどう受け止めているか」ですが、感想を聞いておくと良かった。聞いていないのです。4月の問題は保管している。参考にする。「返さないから」ということで、親から苦情はなかった。返すだけではなく、担任から助言するよう依頼した。返却に時間をとって学校がある。個票に基づいて、問題にもどりながら、返した。半年も経っているので、もっともだと思いつつ、配りました。

 C姑息な本来の教育的目的からはずれないようという指摘。公正な正しい結果が出るよう強調。細かいところで、どのような取り組みが行われたか。

 D少人数授業や習熟度別学級の成果が現われたかですが、算数については、成果が現われた。しかし、習熟度別授業については、まだ相関関係をだしていない。文部科学省も相関関係はなかったと。

 

H・@保護者の問い合わせは。A授業時間は、どうなっているのか。

 

I・@保護者からの問い合わせはない。A授業時間は増やせられない。総合で幅を持たせている。

 

J・希望事項ですが、応用力がない。PISAでも出ている。2位から6位に落ちた。授業というか、勉強のやり方の違いがあるのか。日本人の学習の仕方、勉強の仕方の問題。生活態度などから徹底的に調べて欲しい。「分かった・分からない」の問題。また、「理解した」ということをしっかりしないと、「計算の仕方だけ覚えた」ということになりかねない。かるい理解で進めていないか。そういう面で反省し、改善をしてほしい。

 

K・ただ今の○○委員は、高校の経験で言われたように思う。小学校では、ストラテジーなど、授業を取り組み、改善している。ただ答を出せばよいという傾向ではないのです。私は、そう思っている。正解が求められれば良いというものではないと。

 

3,議案の裁決

委員長・他に、ありませんか。

   ・これで質疑を打切ります。

   ・それぞれ討論を行います。賛成意見は…「なし。」

                反対意見は…「なし。」

・討論を終結します。

   ・挙手にて採決します。…全員挙手。

   ・原案通り、可決しました。

   ・では、これにて、休憩に入ります。(10分間休憩)

  終了時は、10:00。

 

○(感想)

・検討時間はおよそ30分。それなりの真面目な論議であったが、しかし、果たせるかな。全員賛成の立場からの発言であり、微妙な捉え方の違いはあっても、それが本質的なところにまでいかない。また、問題の取り違えや、「理解が不足」という箇所もあった。個々の点では、「子どもは、どのように結果を受け止めていたのか。」という質問があり、「姑息な本来の教育的目的からはずれない」ようにしたいなどという意見もあるが、そもそも「なぜこのテストを行うのか。」という大前提についての理解がない。あやふやなのだ。「半年も経って返ってきて」という気持ちもあるようだ。「子どもらにその結果をどう受け止めよというのだろう。」疑問も。しかし、全体に論議不十分。「誠実さ」は、狭いところでしか発揮されていないようだ。

不甲斐ないことだ。教育の自治は実質存在していないのだ。犬山に比べて全く不十分。

 なお、今回はわざわざ教育委員会から連絡をいただき、傍聴が実現しました。その配慮に感謝致します。
職場では、この間「学テ」実施の民間業者であるベネッセから小冊子が届いています。「児童全戸配布」ができる量のようです。
 今のところ、まだ配布はしていませんが、その冊子を見ると、ベネッセの宣伝用冊子のようです。
 私たちは、子どもと教育に責任を持つ身です。「一業者の手先ではない」と改めて自覚したいと思います。