幡豆郡における異常・不当な人事に対し貴重な勝利!

 現職校長の証人喚問と、細井先生中学校へ復帰を実現!!

2003、2、4(火)額田と幡豆の人事を考える会

 幡豆郡に勤める細井先生は、不当人事後2年を経て中学校への復帰を果たしました。これ自体係争中のことであり異例なことです。そして、この人事を行った榊原校長の証人喚問実現ということを含め、この人事闘争は画期的な勝利となりました。それは、立場の弱い一教員の勇気ある声が起こしたものです。

T、細井先生の人事闘争経過とこの人事の不当性 (2000年3月)

 この人事について、内示から異動、そして、不服申し立てまでの経過を記します。

3月21日(火)内示 本人に対し幡豆小へ異動の突然の内示。校長は「幡豆小へ異動が決まった。」と伝える。本人は、「不当な人事である」ことを言う。

 3月22日(水)西三河教育事務所に「不当人事であり、撤回の旨」を申し入れ。

 3月23日(木)三河教労、横須賀小校長へ事情調査。

 3月24日(金)愛知県教育委員会へ申し入れ。愛知県人事委員会へ「措置要求書」を提出。

 3月27日(月)西三河教育事務所へ再度の申し入れ。

 4月 3日(月)辞令伝達

この人事は、下記の点からも全く不当なものでした。

 @適正手続き違反・校長の「文書書き換え」という重大事態が発覚

・11月上旬頃、管外転出希望(岡崎)を出す。

「岡崎へ希望を出すなら、郡内へも出す」と郡内異動を書かせる。

    細井:もし、岡崎に戻れないのなら、小学校に勤めているのは(英語教師として)心象が良くないから、郡内の中学校でも異動の希望を出します。

    校長:それなら、佐久島中でもいいか。

    細井:それは、だめです。到底通えません。吉良中か幡豆中です。

・榊原校長は、「私は、細井教諭の申し出は、至極当然で、希望がかなえられるよう努めなければと思いました。」「祖父が高齢かつ病気気味であるということ、ご両親も岡崎市で勤務することを希望していることをうかがっています。」(榊原校長陳述書)と、細井先生の状況を知りつつ、その希望を無視したのです。(後に、校長は文書を改変)

  ・11月30日、岡崎の面接 岡崎市教育長「英語の教師のあんたがなぜ小学校に。」

  ・12月5日、異動希望調査表を出す。

  ・2月9日に校長面接があるが、校長よりの話は何もない。

  ・3月21日 全職員を個別に呼んで、内示を伝える。

   校長:2学級減だから、幡豆小に決まりました。

   細井:不当人事ですね。吉良中からここへ来るときにも、不当な人事があった。

 A本人の専門性を阻害

  ・本人は、英語の教育に希望を持っている。しかし、一色中(5)−吉良中(2)−横須賀小(3)[4年−4年−特殊学級へ]と、専門性を無視した人事が続けられてきた。特に、特殊学級の担任については、4月早々の担任発表の時突然申し渡されるという状況であった。

    今回の幡豆小では、TTで算数を2年2クラス、3年2クラス(合計週20時間)、4年2クラスの他、TTで英語を3.4.5.6年10クラス(各週で5クラスの5時間]を持っている。英語教育は、外人講師(AET)と担任、そして、本人の3人で授業を行っており、「本人の希望」とは程遠い実態。

 B通勤時間が規定の90分をオーバー・愛知県教職員人事異動要項に違反

  ・実際に、勤務開始時刻に間に合うように行くと、待ち時間も含め99分かかる。

・教育事務所鈴木主査の指摘した電車では勤務開始(8時25分)には間に合わない。鈴木主事は、「これから、近道を探せばいい。」というような無責任な言い方をしたが、事前に調べた気配はなく、通勤時間がオーバーするということを気にも留めていなかった。

C処分は、憲法・教育基本法にてらして、違法・不当なものである。

  @本人の意向を無視した処分は、適正手続き違反であり、不当である。

  ・県教委と愛教労との交渉の折りの確認では、「本人の意向を尊重することは、大前提であり、異動方針にはかいてないが尊重されるべきもの。」と確認。

  ・平成4年の県人事異動方針の前書きに「このことについて、県教育委員会において、別紙のとおり決定されましたので、遺漏のないようよろしくお取り計らい願います。なお、校長の意見の申し出に当たっては、本人に対して意向確認を行うなどにより、その希望事項が反映されるように配慮願います。」(4教職 弟329号 平成4年11月18日愛知県教育委員会教育長)と本人の意向尊重がうたってあった。

  ・同じ三河の中でも、豊田、岡崎・豊橋市教委などでは、「希望と納得」の人事を前提に進めている。

 

U、取り組みの経過の中で、幡豆における異常な人事が明らかに

1、榊原信義氏(現一色中学校校長)の証人喚問を決定!

 2001年12月21日(金)行われた公開口頭審理において、愛知県教育委員会側から、榊原信義氏と鈴木一雄氏の証人申請が提出されたのです。そして、2002年3月15日の公開口頭審理には榊原信義氏の証人喚問が行われました。そして、順当に進めば、鈴木一雄氏の証人喚問も行われる予定でした。これは、勇気をもって告発した細井先生と、幡豆郡の人事を改善しようとする教職員の取り組みが県教委を追いつめ、先の2名を証人として出さざるを得ないという状況に追いこんだ結果です。

2、現職校長、現職教育事務所主査の証人喚問は初めて!

 2000年3月の細井先生に対する人事は、英語の教師を小学校に異動させた数年前の人事をさらに上回る異常なものでした。まさに、細井先生に教職をあきらめさせるかのような異常な意図をもってなされたものでした。細井先生が、この人事に異議申し立てを行われたのは当然のことでした。そして、当時の横須賀小学校校長としてその発端を知る榊原校長が証人として喚問されることとなったのです。現職の校長が公開口頭審理の場に証人として呼び出されるのは、実に初めてのことでした

3、他市では「人事は、希望と納得で」のルール確立へ

三河部においては、一部有力校長等による恣意的な人事がまかり通ってきました。それは、「黒蓋(くろぶた=秘密)人事」とも言われてきました。そのために、多くの教職員は泣き寝入りを強いられてきました。それは、また「学閥優先」の「一方的な申し渡し」という人事の形態を持っていました。幡豆郡における人事は、そのような教職員いじめの典型となっています。

その状況が、この間の各地における提訴(異議申し立て)によって変わりつつあります。多くの教育委員会が「希望と納得」と言わざるを得なくなっているのです。また、1月と2月に行われる「校長面接」(人事に関る校長連絡会)の内容を受け、異動対象となっている教職員に周知徹底することも教育委員会が言明せざるを得なくなっているのです。したがって、教職員は、12月の「異動希望調査」、1月と2月の校長面接結果の打診、3月早々の事前打診、そして、3月19日前後の内示と、人事に対して希望を述べ、その都度人事の進展具合を知るというルールが確立しつつあるのです。しかし、幡豆郡では異常な事態が。

4、幡豆郡における異常な人事の存在

 @ 教育委員会(または教育事務所)が招集すべき人事に関する校長面接(校長連絡会)を任意団体の長に過ぎない校長会長が招集!?

校長面接(校長連絡会)の通知」文書は、人事に関ることであり、本来教育委員会(本来、西三河教育事務所)が招集するものです。にもかかわらず、幡豆郡においては、招集者は校長会長という異常なものでした。ここに、幡豆郡においては、人事が校長会(学閥)によって恣意的に行われているという事実が明らかになっています。

A 教育長が、人事に異議を申し立てたことを攻撃するという異常な行為を!

  そして、2001年6月18日、幡豆町高須正義教育長は、細井先生を呼び出し、細井先生が今回の不当な人事に対し当然の不服申し立てをおこなったことに対し、「裁判に力を入れて、教師としての本分をおろそかにすると本末転倒だぞ」と圧力を。これは、細井先生の提訴そのものを攻撃するということで、公職にある者としては許されない行為です。

 B 恣意的・報復的人事の存在を、幡豆町教育長が発言!

また、「私は、細井君の悪い噂も聞いている。人事には理由があって結果がある。今、君が幡豆小にいるのは理由があるんだ。」とも言いました。これは、細井先生に対する人事が「恣意によるものである」ことを教育長自らが表明したものであり、報復人事の存在もうかがわせる重大発言です。

 

V、幡豆郡における異常な人事は依然続いています。今後も監視と改善の取り組みを継続します。

私たちは、「人事異動要項」に違反し、不当な人事を行った当事者である鈴木証人の喚問こそ、幡豆の異常な人事を明らかにする証人であると考えていました。

1、鈴木証人は、人事異動要項を明らかに逸脱した人事を行ったことが明らかになりつつあること。

2、通勤時間を考慮に入れず人事を行ったことが暴露されつつあること。

3、異常な人事の発覚を恐れて後から「勤務開始時刻の変更」や、細井教諭を「ALT(英語補助教員)担当にした」というつじつま合わせまで行ったこと。

4、「校長会長が(人事のための)校長連絡会を招集する」というように、幡豆郡の人事が校長会主導で行われており、しばしば有力校長の圧力で人事が行われるという異常な事態にあること。

5、そのため、今回の人事のような恣意的な人事・報復人事が行われること。

などなど、幡豆の人事の異常さは他に類を見ないほどのものです。その異常な人事を行った張本人を喚問することはできませんでした。「中学校へ不本意な異動、そして、退職」「希望無視の人事で泣く泣く異動した。」「あまりに悔しくて、校長の家に抗議に行った。しかし、その異動は変更できなかった。」など、幡豆郡における異常な人事は後を絶ちません。今回、一人の教師の勇気ある行動で、希望に基づく人事を実現させました。しかし、幡豆郡における希望と納得の人事の実現は、今後の課題となっています。私たちは、教職員の希望と納得の人事を実現させるために、今後も引き続き取り組みを強化していきます。明日の子どもらと教職員のために。