蒲郡市の教育問題について

 三河部で、子どもらを長時間拘束し、管理と命令でしばる「部活優先」の弊害が指摘されて久しいのですが、一向に改善される様子はありません。それだけでなく、「部活優先」「集団行動優先」など、管理的な雰囲気は、かつてなく強まっていると思います。
 三河教労は、部活が優先され、子どもらや教職員に大きな負担を強いている蒲郡市の教育に対して、申し入れをおこないました。

2005年5月6日

蒲郡市長  金原久雄様

蒲郡市教育委員会教育委員長  吉見敬子様

蒲郡市教育委員会教育長   平岩尚文様

三河教職員労働組合

執行委員長 畦地 治

 

教育問題・勤務条件改善についての要求書

子どもの幸せと教職員の労働条件の改善を願い、勤務条件、教育に関する問題の要求を下記にまとめました。誠意ある回答をお願いするとともに、私ども三河教職員労働組合との交渉の場を設定されるよう要求します。

1 勤務時間について

蒲郡市の学校では、昼に15分、授業後に30分の休憩時間が設定されています。しかし、休憩時間には、児童・生徒への対応や電話の応対、次の日の授業の準備、テストの採点、成績の処理、書類の作成、宿題のチェック、委員会や係活動の指導等のためにとても休憩をとれる状態にはなっていません。そうした事態は、県教委も県校長会も認めるところです(20021217日、及び2003225日の交渉での確認事項)。

ところが、各学校ではそうした事態があるにもかかわらず、休憩時間を取れるように保障する体制になっておらず、各学校長もそうした面での努力をしているようには思われません。よく「休憩時間にやっていることは、自主的にやっていることであって、勤務を命令しているわけではない。」という言い方をされる学校長がいますが、それは、やらなければならない仕事があるからやっているのであって、趣味で自主的にやっているのとはわけが違います。こうした明示された命令ではないが、どうしても必要であるためにやらねばならない仕事、いわゆる「黙示の命令の仕事」が休憩時間に膨大に行われています。そうした勤務実態について、蒲郡市教委としてはどのように捉えてみえるのでしょうか。

@       休憩時間が原則通り、「一斉に・自由に」取られているのか、実態を把握されていますか。もし把握されているのであれば、データをもとに休憩時間の実態をどのように考えてみえるのか、聞かせていただきたい。

A       もしそうしたデータがないのであれば、早急に休憩時間について実態の調査のためのアンケートを全職場・全職員対象に行うこと。

B       休憩時間を適正に確保するための具体的措置をどのように考えてみえますか。それにそって、各学校をどのように指導されているのかお聞かせください。

C       持ち帰り残業・サービス残業は本来あってはならないことですが、そうした事態を解消するための具体的措置をどのように考えてみえますか。それにそって、各学校をどのように指導されているのかお聞かせください。

D       「義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置条例」(昭和46年)第6条の「原則として時間外勤務は、命じないものとする。」という第1項と、いわゆる「限定4項目」と「臨時又は緊急にやむを得ない必要があるときに限る」という規制を設けた第2項の内容を正確に捉え、厳正に各学校現場に適用し、違反の有る場合は厳しく指導すること。(場合によっては、労働基準法違反で告発の対象になることに留意)

E       休憩時間についてその主旨と、休憩時間中の児童への対応や保護者への対応は管理職が行うことを、各小中学校の校長が児童や保護者に周知徹底するよう指導すること。また、蒲郡市教委は広報やCATVなどを通して広く蒲郡市民に小中学校の職員の休憩時間についてその主旨を知らせ、休憩時間中の対応は管理職が行うことに対する理解を得ること。

F       「部活動」の指導のために、勤務時間後も、また土・日曜日も教職員が児童・生徒の指導に忙殺されており、それが当然のようになっています。長時間勤務をさらに耐え難いものにしている「部活動」を厳しく制限し、異常な長時間勤務を改善すること。

 

2 厚生労働省通達について

厚生労働省は200146日「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」という通達を出しています。また、2003523日には、これをさらに具現化するために「賃金不払残業総合対策要綱」及び「賃金不払残業の解消を図るために講ずべき措置等に関する指針」が労働基準局より出されました。これは、サービス残業を解消していくためのものであり、「1、勤務時間について」で述べたこととも深く関連することです。

この通達については、20011030日の参議院文教委員会で、矢野初等中等教育局長が「この通達は公立学校の教職員にも基本的に適用になる」と述べています。また、2002124日及び2003130日に初等中等教育局所管事項説明会において、各都道府県教委の担当者に通達の主旨と内容が説明され、勤務時間管理を適切に行うよう指導されました。愛知県教委からも担当者が参加し、2回の指導を受けました。

ところが、これまで一度もこの厚生労働省通達について各学校では話が出ておりません。勤務時間について大変重要な通達であるので、次のように要求します。

@       厚生労働省通達について、現在どのようになっているのか県教委に確認を取り、三河教労に連絡すること。

A       厚生労働省通達を即刻各職場に下ろし、その主旨を周知徹底させて、実行に移すこと。

B       厚生労働省通達を職員室内の見やすい場所に常時掲示し、いつでも確認できるように、各学校を指導すること。

 

3 研修について

私たち教員は、毎日の教科指導で、すべての児童生徒に指導内容を正しく理解させることが求められています。学級経営面でも、学級の中で様々な指導上の課題が生じます。ことに今日では、いじめ、不登校など、様々な教育困難が生まれています。

しかも、これらの児童生徒の課題は千差万別です。教師が子どもの提起する課題を正面から受け止め、自主的、自覚的に研修に努めない限り、すべての児童生徒にゆきとどいた教育を保障することはできません。

こうした教育公務員の職責遂行のあり方は、地方公務員法第39条に基づく画一的な行政研修では応えきれないため、教育公務員特例法第19条第1項で、「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない。」として、自主研修を法律上で保障する立法措置がとられました。

しかし、蒲郡市の学校では、ほとんどの職員が研修を取得しているように見えません。また、長期休業中において、動向表などに「研修」の項目のない学校もあると聞いております。さらに、一部の校長にいたっては、研修の内容や場所について、多くの制約を設けています。このような状態は、教特法第20条に定められた「研修を受ける機会が与えられなければならない」という規定に違反します。

市教委としては、教員の研修権を保障し、むしろそれを奨励し、取得しやすい条件を整備するよう申し入れます。

 @ 市教委は、蒲郡市の教員の研修取得実態を把握されていますか。もし把握しているのであれば、データをもとに研修取得の実態を市教委としてはどのように考えてみえるのか、聞かせていただきたい。

 A もしそうしたデータがないのであれば、早急に研修取得について実態の調査のためのアンケートを全職場・全職員対象に行うよう申し入れます。

C       「研修」は「職責を遂行するために努めなくてならない」ものであり、教職員が自主的・積極的に研修を取るように奨励するよう申し入れます。

D       研修が取りやすいような条件整備をすること。

(ア)  研修を取得しにくくしている要因として、承認の際に内容などをしつこく訊ねる校長がいます。研修承認簿の提出のみで取得できるよう指導すること。

(イ)  また、その他の要因として、研修報告書を詳細に記入することを求める校長もいます。公簿ではない「研修報告書」は廃止するか、簡略な記入ですむように指導すること。

E       長期休業中の承認研修について、「半日」「1日」は認められていますが、時間単位の研修は認められていません。時間単位の研修が認められない根拠はいったい何でしょうか。根拠がなければ、時間単位の研修を認めること。

 

4 人事について

   人事異動については、本人の希望と納得を尊重し、不意打ち人事をしないこと。そのために以下のように改善されるよう要求します。

 @ 教職員の希望を尊重し納得のもとに人事を行うために、教職員への打診を事前におこなうこと。そして、「希望の尊重・事前の打診・内内示の実施」を原則とすること。

A 「交流計画」によるなどとする一方的な人事をやめること。

B 人事において本来その権限を有するはずのない校長会などの不正常な関与を排し、学閥偏重の人事を排除すること。

C 内示で転勤のあった教職員については、転勤予定の学校において校務分掌などの要求を伝える場を保障すること。

 

5.少人数学級・少人数指導について

   現在学級の編成は、児童一人一人の力を十分に伸ばすために、少人数指導から少人数学級へという流れになってきています。蒲郡市では少人数学級に対する取り組みがまだまだ不十分だと考えます。少人数学級の適用学年を拡充されることを求めます。また、原則的には少人数学級を実現することを求めるものですが、現状では少人数授業も行われているので、その持っている問題点をできる限りなくしていくために次のような点を要求します。

@       小学校低学年全てにおいて、また、中学校3年生においても、少人数学級を実現すること。

A       教員の事務研究時間(「空き時間」ともいわれている時間)を今まで以上に保障し、少人数担当の打ち合わせ時間を保障すること。また、担任には他学年の少人数指導を担当させないこと。

B       いわゆる能力別学級編成は止めること。

C       少人数指導ができるよう、教室を確保すること。

D       各校の少人数担当者が集まって情報交換や研修をする機会を設けること。

 

6 安全で安心して働ける学校づくりのために

   労働安全衛生法は、各種の職場の安全の確保、健康の保持増進、快適な職場環境の形成の促進をめざして1972年に制定され、さらにそれを具体化するため公務員関係では、国・県・市の各段階において労働安全衛生規則または安全衛生管理規程が制定されています。ところで、私たち県費負担教職員は県の規程にも蒲郡市職員安全衛生管理規程にも対象として位置づけられていないという極めて不安定な立場に置かれています。職員の公務災害または通勤災害については救済の制度がありますが、実際に適用を受けようとすると複雑な手続きが必要であったりして大変です。私たちはそれを申請するような重大な事故を未然に防止するような仕組みと活動を普段から整えておくことこそ重要だと考えます。そのような意味で次のことを要求します。

@       蒲郡市職員安全衛生管理規程の中に県費負担教職員を対象として位置づけるか、または新たに小中学校教職員を対象とする安全衛生管理に関する要綱を制定すること。

A       今年度、各市においては学校経営案の学校運営機構・教職員表には、衛生推進者・衛生管理者・安全衛生管理委員会・推進委員会などが位置づけられた学校が昨年度よりも増加してきている。教育委員会としては制定した要綱をもとに各学校の組織が適正に運営されるよう指導すること。

B       学校によっては学校経営案の学校運営機構・教職員表に労働安全管理体制を明記していなかったり、明記されていてもその役割に見合った活動が行われていなかったりという実態があります。市内各学校の担当者を集め、要綱にもとづいて研修会を開催すること。

 

 以上、申し入れるものです。

○ 組合の申し入れに対して、蒲郡市教委が誠実に対応されるよう期待するものです。

 

                        2005,7,27(水)三河教職員労働組合

三河教職員労働組合は、6月15日に蒲郡市役所にて、蒲郡市教委と交渉(蒲郡市教委は「話し合い」と主張)を行いました。参加者は、市教委から課長と主幹。組合からは委員長、書記長など4人が参加しました。話し合いは4時から5時過ぎまで活発に行われました。

蒲郡市教委の勤務時間にかんする回答と討論

 まず、蒲郡市教委の回答は、以下の通りでした。

 「勤務時間についてはここに書いてあることは大体いいと思いますが、市教委としましては教職員の職責を果たす。それとともに適切に勤務の割り振りを行い、健康面でも配慮するように折にふれて話をしている。行事等の割り振りにつきましては、昨年度校長会の方で責任者を中心にしながら話があり各学校で作っている。休憩時間を一斉に自由にということですが、これにつきましては、教職員という職務の特質があるものですから、一斉に取れない場合がある。自由にということにつきましても、居所を明らかにするという意味で、学校長に承認をいただいて外出していただくようお願いをしています。アンケートについては、しっかり把握をしていません。学校事情もあるということで、学校にお任せをしています。サービス残業・持ち帰り残業という言葉がここにあるわけですが、効率的な事務処理ができるように様々な手だてを工夫させていただいている。IT化をはかるとか、共有化をはかるとか。校務分掌の適正化、平均化をお願いをしている。それから、会議の効率化をはかるという意味で、常識の範囲で延長する場合は時間を延長し、もちろん振り替えを行うという形で進めさせていただいている。仕事の持ち帰り・残業につきましては、個人のスピード、やり方があると思うものですから、一概にどこまでが勤務か明確ではないと思いますので、途中で話をしている場合もありますし、ずっと継続されている場合もありますし、命令という形ではおこなっていないと思います。超過勤務につきましては、4項目に限るということで、ここに書いてあるような形で出しているはずです。休憩時間を周知徹底してほしいということがあるわけですが、これについては社会通念上非常に難しい。たとえば、子どものことについて話があったときに一番知った人が対応する方が後々禍根を残さないであるとか、そうでないと学校不信であるとか、担任不信につながって、結局後が苦しくなるのではないかと思いますので、分かっている人が対応するということでお願いをしています。」…これにもとづいて、討論が行われました。

組合  勤務時間が守られているということについては、学校訪問などで確認されているんですか。

市教委 学校長に伺う程度ですね。

組合  先ほど「教職員の勤務の特殊性」という言葉がありましたが、なかなか一斉には取りづらいと、我々もそう思っていますが、そういう認識ですね。

市教委 難しい面があるということですね。自由ということについては極力制約は少なくしなきゃいかんと思いますが、外出などはちょっとまずいところもあるなと。

組合  言葉を換えると、昼の休憩などはとれないと我々は思うが。子どもが怪我をしたりとかあるが。

市教委 取りにくいということはある。ただ、昼の15分の休憩は取れるという面はかなりある。日常的にはかなりとっているのではないか。

組合  蒲郡ではとれていますか。たとえば、どういう風にとっていますか。

市教委 かなり取っていますよ。私、現場の経験がありますが。

市教委 職員室でお話をしておったり、それは個人の過ごし方の自由ですよね。タバコを吸っていたりとか。

組合  それは、我々の立場でいうと、「手待ち労働時間」というふうにいっています。分かりやすく言うと消防士さんが仮眠を取っている時間。これは判例で勤務だと。いつでも出動できる体制にあると。仮眠を取っていたが、休んでいた訳ではないと。いつでも対応できると。「手待ち労働時間」と言う。子どもたちが怪我をするとか、「一緒に遊んで。」と言ってきたとか。「教えてください。」と言ってきたとか。いくらでもありますよね。そんな時は「お茶をのんでいるから。」とはいえない。お茶を飲んでいるから休憩とか一般的な言葉の「休憩」はそうなんだけれども、(教員の)勤務で「休憩」は違うと。

市教委 それも休憩の一部じゃないかと、私は思っていますが。

組合  山へ登って「ちょっと休憩する」とは違う。「労働基準法でいう休憩」とはちょっと違う。いかがですか。

市教委 私は、それも休憩の一つじゃないかと思いますが。

組合  原理原則でいいますと、休憩は職場を離れて取っても良い。(給与の対象外)だけど、昼の休憩時間に職員が一斉に引き上げたら、子どもらは危険な状態になる。だから、常識的に私たちは職場を離れない。これは、仕事の関係で離れられないんですよね。

市教委 そうですね。

組合  そういう状態を休憩と言っていいのかなと。杉江さんは休憩の一つだとおっしゃったけれども、私たちの認識は、原則的に言っても「休憩がとれていない。」と考える。だから、取りにくい状況だなと。

市教委 取りにくい状態という認識はありますね。

組合  その認識が一致できれば、改善策はあると思う。じゃあ、どうしたらよいかと。

組合  先ほど、「社会通念上」というふうに言われたんですが、どういう「通念上」ということなのか。

市教委 たとえば、担任の子どものことについて父兄から相談があったとしますよね。それを担任が対応するか。管理職が対応するか。その場に応じてですけど、担任がまず対応する方が事情が良く分かっているから、対応がし易いだろうし…。

組合  たとえば、(妻が教員で)夫が民間に勤めてみえる方が、「いつも仕事を持って帰ってくる。どうなっているのか。」と。「教員は、いったいどういう勤務をしているのか。」と。「テストのマル付け、通知票の所見書き、これは学校でできないのか。」と。よく私たちは校長先生にいわれるんですよ。「教員は一般社会から見ると勤務がいい加減だ。もっときびしくやらないかん。」と。そういう言い方で杉江さんは言われたのかと。

市教委 今、言われる社会通念上という考えですが。びしっと勤務時間が終わる会社も、そうじゃない会社もありますよね。それを考えた時に「教員は甘い」という論議もあるわけですよね。だから両面あると思うんですよ。

組合  教員は大変厳しいという認識もありますね。

市教委 きちっと切れないということで、厳しいという言い方もありますし、他の企業だと当然だけど、教員はしていないという見方のありますよね。

組合  どちらでお使いになったんですか。

市教委 子どものことをほかっておいて休憩は十分とれない場合がある。子どもをほかっておいていいのかという批判があるという意味で、社会通念上という意味です。

組合  もう一つ付け加えておけばいいと思いますが、教員が自分の子どもを寝かしつけてから仕事をしているという現実もあるという点で大変厳しいという現実がある。

市教委 もちろん、そうですね。私も経験がありますし。

組合  教員の病気の頻度もひどくなっている。

市教委 勤務が大変であるという認識は、私も自分でも分かっています。

○蒲郡市の教育現場も勤務状況が厳しくなっています。休憩や休息がほとんどとれず、年休の取得も校長が理由を聞くなど不正常であることも。「休憩はとれていますよ。」という市教委の認識に問題があることを感じました。また、「一般社会は厳しい」という言い方で「教員は甘い」と断定する言い方はフェアではなく、教員が置かれている厳しい状況を認識し、積極的に改善をはかるべきです。

※「15分の休憩はとれている。30分の休憩は取るのが難しい。」と市教委は言っていますが、討論の経過をご覧ください。

 

○ 教育現場は異常な部活加熱が。市教委は改善策を示せ!

 また、部活についても活発な質疑が行われました。以下は、市教委の回答です。

 「週休2日制が始まって以降、日曜日には蒲郡は大会がある時を除いて実施していません。今みたいに、午後がかなりできる時には朝練をやめている学校もある。学校によっては週の中の何曜日をやめるとか、申し合わせをして止めている学校もある。そんな申し合わせをしながら、先生方も子どもらも休むことができるような工夫を進めている。」これに対して質疑が行われました。

組合  部活動ですが、土曜日についてはどうなっているか。

市教委 土曜日については、特に制限はありません。学校の先生の指導意図によってやっていただいています。

組合  学校5日制は学校にゆとりを持たせるために導入された。土曜日も部活を行っているのでは6日制と変わらないのでは。

市教委 先ほど言いましたが、日曜日をやめたわけですから、ここはもうやめようと。土曜日は一応部活もやってよいということです。

組合  「日曜日やめよう」というのは、それは教育委員会サイドが言ったのですか。

市教委 校長会の申し合わせで、日曜日については活動をやめようじゃないかと。休みにする。練習をしないと。特に大会がある時を除いて休みにしようと。大会はやります。子どもは出たいですから。

組合  豊田市では校長会が「部活に対する申し合わせ事項」を文書にして出しているんですが、「月・木はやらない」とか、「朝練はやらない」とか。そういうものは校長会にはあるんですか。

市教委 文書はないね。申し合わせだね。

組合  それは、毎年毎年確認されているんですか。

市教委 折に触れて、良く出ますよ。毎年確認ということではなくて。時々、校長会の中で話が出ます。

組合  朝練をやめている学校は何校ですか。

市教委 2校です。曜日のどこかをやめているという学校もあるということを聞いている。

組合  日曜日は全くやっていないということですね。

市教委 全くやっていません。大会がない限り。難しいことがある。顧問の立場でぜひこのチームを勝たせたいということがあれば、部活であって土・日は家庭に返すという考え方もありますし。大会間近だとか、大会がたくさん出てきたものですから、そういう状況の中で結構過熱した部分もある。だから、むしろ校長会としてはその部分を止めたいという思いもあって、たとえば朝練をなくすとか、という方向で動いている。

組合  校長会の考えはわかったんですが、市教委としてはどうなんですか。

市教委 市教委として、こうしなさいということは言っていないですね。

組合  校長会としては行き過ぎを止めたいというのはよく分かった。市教委としてはそういう認識はないのか。

市教委 その認識というのは。

組合  今、「過熱気味だ」と。

市教委 (過熱気味という)状況みたい。

市教委 基本的に日曜日の部活をなくしていくということは、私たちも賛成なんです。

組合  教育委員会も部活について過熱の傾向がみられるという認識はもっているんですね。

市教委 まあ、そうです。

組合  大事なことですね。

市教委 ただ蒲郡は、県下ではすごい過熱というほどではないと思います。

組合  「部活は勤務ではない」ということでやられていますね。

市教委 そうですね。

組合  そうすると、部活中の事故とかの対応はどうなるんでしょう。4:30以降の部活での事故は。

市教委 教育活動の一環ということになれば、振興センターの対象になっていますね。

組合  子どもはね。職員は公務災害扱いになるか。

市教委 それは、なんとかするしかないですね。

組合  それは調べていただきたい。部活は勤務ではないが、ケガをした職員には公務災害を適用するとか。そうすれば、職員には安心だが。部活中での事故の例はないですか。

市教委 しっかり把握していません。

組合  勤務の振り替えを行っているということでしたが、学校ごとに勤務の振り替え簿は置かれていて活用されていると。

市教委 校長会の研修部のほうから提案されて、昨年度のことです。

組合  2泊3日の修学旅行など、どのくらい割り振りされていますか。

市教委 それは、学校によってと思います。それぞれの対応が違うものですから。

組合  市教委としては見本みたいなものは出してないですか。

市教委 市教委としてはしていません。校長会から見本をいただいて、それでいいということでやっている。

組合  どの学校も振り替え簿を使っているんですか。

市教委 全市統一ではないですが。見本を示したものですから、それに従った形でということです。

○部活については、校長会が「日曜日はやめよう」という認識を示している状況はあるようですが、現場の消極的な対応を感じます。教育現場では部活加熱の異常な状況に歯止めがかかっていないことは明らかです。そして、市教委は「過熱気味」という認識はあるようですが、「加熱傾向の改善をしよう」という独自の対応は感じられません。部活をあおる校長の存在や、部活で短期間に「成果」をあげようと考える傾向は依然あり、現場教員の「10年前よりますます加熱している」というのが実態です。

○ 道路の危険物調査について、教育活動の拡大解釈と逸脱!

組合  安心して働けるという点で、どこの学校かわかりませんが、最近ガードレールに危険物がつけてあったということがありましてね。これを、子どもに調査させたということを聞いた。蒲郡市でそういうことがあったということを聞いています。蒲郡のどこかの学校で子どもたちを使って道路の危険物を調査させた学校があるようですね。

市教委 思い違いではないですか。「子どもたちも」というのが正確ではないですか。

組合  子どもたちと教員が一緒にですよ。

市教委 そういう意味ではなくて、教員は教員でパトロールして報告がかなりありました。それから「子どもたちが通学の途中で気がついたら教えてくれ」と言った学校はあります。

組合  こちらに届いている情報では学校の動きのような雰囲気でしたね。

市教委 「通学の途中で気がついたら教えてくれ」ということで、当然のような気がするけど。

組合  市教委の学校への指示は、そうなんですか。

市教委 教職員自身もそうしてほしい。児童生徒も登下校の途中で気がついたらそうしてほしい。当然だと思うんですけどね。

組合  そうならいいんですけどね。実態はね。

市教委 わざわざ探しにいったんですか。それは、ないんではないですか。正確に掴まえてからお願いしますね。

組合  だから聞いたんです。市教委としては児童生徒・教職員一緒に調べてほしいなどという通知は出してないですね。

市教委 出してないです。出したのは、道路管理課から依頼があったものですから、各学校で気をつけて先生方が見てくれないか。それから、子どもたちも登下校中に気がついたら、知らせてくれというものです。

組合  文書でおろしたんですか。

市教委 校長会で、口頭で各学校で調べてほしいと。土・日がありますから、金曜日(6月3日)に校長会があったものですから、土・日に子どもらに何かあったらダメだぞと、今日(学校へ)帰ったらすぐに職員に調べてくれ、と。

組合  校長会は昼間ですよね。午前中に行って、校長さんは帰ってすぐに。

市教委 だからね。その日にすぐに何件か報告がありましたよ。その日は、職員が回っていましたよね。

組合  職員は調べてくれ、と。そういうことはやったわけですね。それでは校長さんの中には勘違いされた方があるのですかね。教員が子どもらを連れて行って、「今からちらばって調べてくれ。」と。

市教委 そんなことはないと思います。

組合  課長さんと主幹さんのおっしゃったこととは微妙に違う。主幹さんは「あったら報告してほしい。」と。主幹さんは「調べてほしい」と言ったというような気がする。

市教委 教育長さんが言われたことは、今言ったようなことです。

組合  だから、「調べてほしい。」と、主幹さんは言ったような気がする。「教職員が調べてほしい。」と。「教職員は調べてほしい」と指示を出しているわけね。校長会で。

市教委 だから、その日の午後にはだいぶ上がってきています。

組合  どうやって調べるかは、学校の判断なんだ。

市教委 そう、学校長の判断です。

組合  たとえば、教員が連れて行くというような形で、「お前達調べろよ。」などというようなことは絶対してないですね。

市教委 それはしてないと思います。

組合  そんな調べ方はおかしい。そんなことを教職員に調べさせるということ自体がおかしい。教員の仕事ではないですよ。

市教委 道路管理課も調べていますよ。私も調べたけど、車で走りながらでは無理です。

組合  だから、それは教員の仕事ではないと言いたいんです。

市教委 教員の仕事ではないですよね。確かに。ただ、その日子どもが帰るわけですから、子どもの安全を確保するという点では。

組合  それは、教員が職務として調べているのか。

市教委 職務ではない。

組合  校長さんが、「やってくれ」と言われれば、職務ですよね。

市教委 調べに行ったのは管理職中心だと思いますよ。

組合  校長が「調べてくれ」と言ったら職務ですよね。この調査は、勤務時間内に行われているのか。

市教委 勤務時間内ですね。子どもの安全を確保するということですね。

組合  これは、職務として教員に課されているんですね。

市教委 いや。課されたか、自分でやられたか、知りませんよ。これは。

組合  でも、教育長さんが「調べてください」と言ったら、それは命令ですよね。

市教委 命令と解釈されるのか。子どもの安全をということで。

組合  事実関係の確認をしているんですよ。教育長さんがやれと言われたんですよねと。

市教委 それは、教員の職務ではないとお考えなんですね。職務ではないんですか。

組合  それは職務ですか。学校教育法に教諭の職務は何と書いてありますか。「教諭は教育を司る」とあるでしょう。

市教委 そうです。

組合  ならば、どうして、ガードレールの危険物を調べることが「児童の教育を司ること」に、つまり職務になるんですか。職務に対して拡大解釈があるのではないか。答えてください。

市教委 調べるというのは、どこを調べるというと通常は学区ですよね。学区を回るということですよね。

組合 それならば、勤務時間内に校長が、「先生方、申し訳ないがこの時間に回ってください。」と。「もし、オーバーした場合には勤務の振り替えしますから。安全面に気をつけて動いてくださいよ。」と言って、やるのが当然ですよね。

市教委 そうですね。

組合  そこには、計画性がいるのではないですか。金曜日の午前中の校長会で、教育長が要望して、「教育長が、あれだけいうんだから。」と、学校へ戻って、管理職だけで行ったとしても問題だと思う。職員会で合意形成して、行くことになれば行きますよ。

市教委 私が言っているのと同じですよね。

組合  違います。無理があるんですよ。金曜日の午前中で提案されて、すぐ午後に行けというのは。

市教委 「見に行きなさい」と言ったのではなく、「一緒に見に行ってくれますか。」という合意のもとに行ったのではないですか。

組合  それだけならいいんだけど、子どもを計画的に動かしたということは。

市教委 それは、知らないですよ。

組合  そちらが調べてないんだ。ぜひ調べてください。結果として、子どもを教師の指導のもとで動かしている学校があるようですよ。これは、大変危険なことで逸脱であり、許してはならない。

組合  ちょっと気になっているのが校長が「ちょっとつきあってくれんか。」という話が。

市教委 「つきあってくれんか。」「一緒に調べてくれんか。」ということですね。

組合  職務命令になるでしょ。

市教委 そうですね。もちろん。そして、本人が同意したらですよね。

組合  職務命令は同意ではない。命令だ。

市教委 命令ではなくて、一緒に回ってくれないか。」ということだから。同意があれば一緒に回っていいじゃないですか。

組合  同意があってもなくても、反したら職務命令違反でしょう。

   (この後、職務命令の問題でやりとりがあり…)

組合  今のことで言いますと、職員が職務として動いているのか。「教師だったら、その位やっていいだろう」ということで動いているのか。子どもを使って調べているという事例があるようですが、これはぜひやめさせていただきたい。

市教委 それは、把握してない。私たちが言っているのは子どもが下校するから、それまでに安全を確保するために、教職員については見回ってくれないか、ということを依頼したということですよね。それから、子どもは行き帰りに発見したら先生に言うように、と。これは、当然だと思いますが。

組合  その辺で、行き違いが生じたんでしょうね。

市教委 解釈の違いがあったんでしょうかね。

組合  教員の側が「それじゃあ、お前達調べるぞ。」と。

市教委 それは、あったかなかったか把握していません。

組合  通学団の指導というのは、年間計画の中でやっているのであって、登下校指導などは計画的にやっている。その中で、安全管理もやっている。そこで発見されていないのに、急に金曜日に言われてすぐその日に調べるなんて。無茶じゃあないですか。

市教委 金曜日に調べろとは言ってない。

組合  だって、土日があぶないからと言ったではないですか。金曜日に言って、金曜日に調べるしかないじゃないですか。土・日が危ないなんて言っているんだから。土・日を待ってはいかんというようなことを言われた。

市教委 金曜日のうちに発見しなさいというのと、休みがあるから今日回ります、回ってほしいというのとは違う。土・日にもし子どもたちがけがをしたら危ないので、できれば今日回ってほしいということと金曜日中に全部回りなさい、全部発見しなさいというのは違うでしょう。(以下、略)

※ 最後に論議が交錯しましたが、「安全のために見回れ」ということで、子ども・教職員が調べに回った事実がありました。教育長の一言で、その日の午後には子どもを使い、教職員も学区の危険箇所(車の通行の多い危険な箇所も)を調べて回ったのです。

 

           話し合いから「教師だったら、子どもの安全のためにはやって当然」ということで、本来教員の仕事ではないものまで安易に行わせるという雰囲気が伺われます。今回の道路の危険物調査は「子どもの安全のため」ということで突然行われた危険を伴う逸脱だと考えます。そこからは、「子どものため」という理屈で、本来の教育活動をどんどん拡大解釈していく現場の校長の姿勢を感じました。今後、「勤務の振り替え簿」を活用した勤務の改善や、部活加熱に対しても子どもと教育の観点から意見を言い、改善を行うべき時だと感じます。

           今回は、市教委・組合がテープおこしを行い、双方の発言をしっかり点検することができました。教育現場の忙しさはますますきびいしものになっている時、蒲郡市に働く教職員のみなさんのお役に立てばと考えます。

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蒲郡市教委の回答と交渉
愛教労が県教委・県校長会と「10項目の確認」

勤務時間について県教育委員会・県校長会との確認事項

                         愛知県教職員労働組合協議会

1,労使協議事項として、市町村教委・校長は、誠意を持って交渉にあたること。

2,校長は、勤務の割り振りにあたって、所属職員との合意形成に努力しなければならない。

3,45分の休憩時間は、一斉付与が原則である。

4,休憩時間は、自己の時間として自由に利用できる時間である。

5,児童・生徒が在校している間は、本来の休憩・休息は取りにくい状況にある。

6,午前午後各15分の休息時間について、校長はその確保のために最大限の努力をする必要がある。

7,45分の休憩時間が与えられることなしに、8時間を超えて勤務を命ずることは違法である。

8,45分の休憩時間を割り振られた時間通りに与えることができなかった場合は、その日のうちに与えなければならない。

9,「教員には、4%の教職調整額が出ているから超過勤務は当然」という認識は誤りである。

10,一日の勤務時間が8時間を超えた場合は、速やかに別の日の勤務との間で振り替えを行い、一週間あたり40時間を超えてはならない。