2002年8月8日 
刈谷市教育委員会                               教育長 近藤 博司様                                                              三河教職員労働組合 
       執行委員長 畦地 治 
 
      刈谷市の教育問題・労働条件改善
            についての要求書
 
 子どもたちの幸せと教職員の労働条件の改善を願い、下記のように要求をまとめました。以下の事項について、早急に改善の手だてをとられるように要求します。
 また、私ども組合との意見交換の場を設定されるよう要求します。
 
                記
 1 勤務時間について
 @ 勤務終期の休憩時間にくいこむ諸会議、業務をなくすこと。また、交通立ち番など時間外勤務があった場合は、勤務の割り振りを適正に行うように校長を指導すること。
 A 次年度以降の勤務時間の設定に当たっては、以下の点に留意し、現場の意見を反映させて決定すること。
  ア 子どもが学校にいる間は、休憩が実質とれないという教員の勤務の特殊性を考慮すること。
  イ 労働基準法に基づき、休憩は一斉に、しかもその使途は自由に与えること。
  ウ 拘束時間は8時間以内であること。
 B 泊を伴う行事のように、正規の勤務時間を超えて計画される行事については、下記の点に留意するよう校長を指導すること。
  ア 「疲労回復措置」や「適切な配慮」ではなく、法律に則って「勤務の割り振り」を行うこと。
  イ とりあえず、名古屋・尾張なみに、1日につき4時間を最低基準とし、翌日を休みにすること。
  ウ 最低限でも、平成8年6月にだされた三河校長会の「泊を伴う学校行事を実施した場合の適切な配慮について」の基本方針にある1日につき2時間(翌日は勤務開始時間から2時間の軽減措置、勤務終了前2時間の軽減措置、2泊3日の場合はプラス4週間以内に1時間の軽減措置を2回)を確実に行うよう校長を指導すること。
2 少人数授業について
  教員の定数を抜本的に改善しない少人数授業の実施により、現場で様々な問題が現れている。実態を調査し、改善に努めること。
 @ 教員の事務・研究時間(空き時間)が減少し、その結果が教員の勤務の過密化・長時間化によりいっそう拍車をかけている。昨年度に比べてどれだけ事務・研究時間(空き時間)が減少したか調査すること。
 A 担任に他学年の少人数授業を持たせないように校長を指導すること。
 B 習熟度別の名による能力別編成の少人数授業は児童・生徒の心を傷つけ、差別意識を助長させる恐れがある。学級を解体する場合には、十分に配慮するように校長を指導すること。
 C 少人数授業との関係で、中学校における選択の授業が学年教員総動員のような形でコースを設定し行われ、その結果授業時間数が増え、中学校における長時間過密労働に拍車をかけている。この異常な事態を是正するよう校長を指導すること。
3 30人学級について
  少人数授業よりも、学習も生活も少人数でゆきとどいた教育ができる30人学級の早期実現に向けて、関係諸機関に働きかけること。         
 @ 刈谷市における来年度の30人を超える学級の数を調査し、どれくらいの予算で30人学級が実施できるか研究すること。                  
 A 30人学級が実現するまでは、少人数授業対応の講師を市費で雇用すること。とくに小学校低学年を優先させること。                   
4 教員の研修権について
  教員の研修については、教育公務員特例法第19条・20条をふまえ、「教員は、授業に支障のない限り、本属長の承認をうけて、勤務場所を離れて研修を行うことができる」の趣旨に沿った適正な運用がはかられるよう校長を指導すること。
 @ 教員の研修の必要性、及びその自主性を尊重する立場から、長期休業中の自宅研修を保障すること。なお、法的根拠のない研修計画及び研修報告書の提出はその作成に多くの時間がさかれ、本来の研修を妨げる恐れがあるのでとりやめ、研修承認簿のみとすること。
5 学校訪問について
  学校現場に過重な負担を与えている現状をかんがみ、下記のようにその内容を変更すること。
 @ 日程を半日にすること
 A 内容を教育条件の整備についての要求を聞く場とすること
 B 事前に特別な準備をしないように指導すること
6 部活動について
 @ 早朝、長時間の部活動など児童生徒・教職員にとって過重な負担となる部活動のあり方を見直すこと
 A 日曜日の部活動はやめるよう徹底すること
 B 部活動については、子どもも教師も希望制とすること
7 文化振興会・教育振興会について
  市教委が「一般の業者」と明言した文化振興会・県教育振興会の発行物について、下記のように変更して不公平がまかり通らないようにすること。
  @ 一般の業者と同じ扱いとし、学校の校務分掌に係を設置しないこと
  A 上記組織刊行物の採用を、他の副教材と同じように4月に検討、決定すること。
  B 振興会出版物の編集会議への参加を出張扱いとしないこと。
  C 公費負担の副教材は、一定の予算の中でどの出版社のどの教材を選ぶかは、各校に一任するなど、予算を有効に利用できるようにすること。
8 人事異動について
  人事異動については、本人の希望と納得を尊重し、不意打ち人事をしないこと。そのために、下記のようにすること。
  @ 人事異動に関する調査票は市教委が作成するとともに、教職員の異動希望を校長からきちんときくこと
  A 校長が、内示前に打診をていねいに行い、事前の打診が全くされない「不意打ち人事」をなくし、本人の納得に基づいた人事異動を行うように校長を指導すること。
  B 「小中交流」を名目とする人事は、事前の本人の納得がない場合は行わないこと。
9 教頭・教務・「校務」「副校務」について
 @ 教頭・教務・「校務」・「副校務」は学級対応分教師として、それにふさわしい授業時間数を持つように指導すること。とくに、少人数授業により、多くの教師が事務・研究時間(空き時間)が減った中で、上記の教員の授業時間数について調査すること。
 A 他市になくその位置づけが明確でない「副校務」については、廃止すること。
10 図書館司書を全学校に配置すること。
11 市事務職員を常勤にもどし、県事務職員や教員が現在行っている市会計の仕事を分担できるようにすること。