西三河地方教育事務協議会殿          2003年6月1日(

 西三河教育事務所  所長殿         三河教職員労働組合     

 幸田町教育委員会教育長 殿           執行委員長 畦地 治

                                     

  「教育条件の整備充実」という教育行政本来の学校訪問を行うよう

 

   西三河地方教育事務協議会および幸田町教育委員会に申し入れます。

 

 毎年、西三河地方教育事務協議会の「学校訪問」に際して、質問・要求書を提出してきましたが、今まで回答を得ていません。今年度の「学校訪問」においても、いくつかの要求を提出し、本来の学校訪問の実現を目ざして鋭意努力・改善されるよう申し入れるものです。ぜひご回答いただくよう、あらためて申しあげるものです。

 1996年出された愛知県教育委員会教育長4月16日通知「学校運営の改善について(通知)」に照らしても、また5日制施行以後の学校をめぐる状況をみても、「学校運営の改善」は急務であり、早急に改善のための指導を行われるよう要求するものです。

 

                記

1、現在の学校訪問は、『教育基本法』第10条(教育行政)の項に定められた教育行政「教育の目的を遂行  するに必要な諸条件整備の確立」にあること、教育という仕事の特殊性から「教育の内容に介入すべきも のではなく、教育の外にあって、教育を守り育てるための諸条件を整える」ことから逸脱していると考え ます。学校訪問を「教育条件の整備確立」のために行われるよう要求します。そして、教育内容・授業内容への 介入を一切行われないよう申し入れます。

 

2、学校訪問の実施にあたっては、あくまで学校の主体性を尊重し、訪問の期日、日程、協議事項等を決めるべき だと考えます。この点、7月や12月というの学期末の忙しい時期などに日程が組まれることがあります。改善 されるよう要求します。

 

3、訪問時において、一方的な「指導講評」ではなく、現場の声を聞く姿勢を堅持し、教職員が教育諸条件の充実 整備のための意見・要望を表明する場を設けるべきだと考えます。そして、困難を抱える教育現場の状況を把握 し、教育条件の整備改善の参考になるよう訪問の内容を改善するよう要求します。

  今回の訪問に際しては、教育条件整備のために、下記の点について要求を提出するものです。

 〔教育条件整備のための要求〕

 @ 教師の健康、教育条件向上のために、現在、三河部で行われている「管理職」増設(四役、六役ともいわれ  る)と、その「管理職層」が早期に学級担任を外れ、授業時数配分が極めて少ないことは違法であり学校の困  難を助長しており、早急に改善するよう指導すること。
  A「校務」、「校務補佐(または、第二校務)」、教科指導員等の増設をやめ、教頭・教務についても、授業  時数と業務の適正な配分を行うこと。

 B 子ども、教師の人権確立のために、休憩・休息時間の確保、環境整備が行われるよう要求します。体罰・暴  力の否定はもちろんのこと、その温床となっている全般的な人権侵害について調査し、教育機関が率先して改  善するよう指導すること。

   特に、放課・休憩時間の確保、給食時間の確保、部活強制の禁止、子どもの人権を無視・軽視するような校  則の撤廃など、子どもの権利を擁護するよう指導すること。
  C 焦眉の30人学級(35人学級)についての試算を行い、実現のための取り組みを行うこと。なお、現在  行われている「少人数授業」は、「少人数学級」とは似ても似つかぬものであり、返って教育現場の困難を助  長しています。特に、実質25人学級が可能な幸田町においては、「少人数授業」は混乱を生じるだけのもの  です。姑息な「少人数授業」でごまかすのではなく、早期に30人学級の実現を要求します。

 

4、訪問に際して、事前の準備に多くの労力をさくようなことは、学校訪問の本来の趣旨

 に違うことであり、事前の準備はしないように徹底すべきです。特に、訪問に伴ってPTA作業、厚手の「訪問要項」作成、校内美化作業、校内点検などが行われる学校があります。改善の指導をされるよう要求します。

 特に、大清掃、ワックスがけ、当日の過剰な「接待」など特別の準備を行わせるような事態をなくし、現場に負担をかけることのないよう指導すること。そのために、西三河教育事務所自ら「いかなる準備もしない」よう通知を出し徹底されるよう要求します。

 

5、点検は、本来「公簿」のみであり、「準公簿」というような名目で週案や経営案等の提出を要求することをや めるよう要求します。点検は「公簿」のみに限定し、曖昧になっている「公簿」の範囲について、本来のものに 限定するよう要求します。

  

6、訪問において、授業を割り当てたり、公開授業や特設授業を行わせたりすることをやめるよう要求します。また、指導案の形式の指定や座席表の準備などはやめるよう要求します。

 

7、現在の「学校訪問」が、校長等管理職の「実力発揮」「指導力点検」の場となっている現状は、貴教育事務所 の責任にもよると考えられます。「学校訪問」において、学校に負担をかけるような一切の言動・姿勢をとられ ることのないよう要求します。

 

 この間、「学校訪問」の内容が、現場に負担をかけないという点で、いくつか改善されました。昼食について、外食などとらず給食を食べるようにしたこと。不評であった「指導レポート」の提出をやめたこと、などです。 改善すべきものは、率先して改善されるよう要求するものです。

しかし、依然として過剰な「接待」や「準備」が見られます。現場に負担をかけず、教職員が子どものために全力を尽くせるよう配慮し、「教育諸条件の整備確立」という教育行政の本来の責務を全うするという点からのご努力、ご検討を再再再度要望し、申し入れを行います。また、この点からの「貴教育事務所の取り組み」について、ぜひ報告を行うよう求めるものです。

以上、失礼を顧みず質問させていただきます。よろしく検討され、ご回答願えるよう申し入れるものです。