わたしが教師になったとき
宮澤賢治
私が教師になったとき
自分が真理から目をそむけて
子どもたちに本当のことが語れるか
私が教師になったとき
自分から未来から目をそむけて
子どもたちに明日のことが語れるか
私が先生になったとき
自分が理想をもたないで
子どもたちにどうして夢が語れるか
私が先生になったとき
自分がほこりを持たないで
子どもたちにどうして胸をはれと言えるのか
私が先生になったとき
自分がスクラムの外にいて
子どもたちに仲良くしろと言えるのか
私が先生になったとき
自分がたたかいの外にいて
子どもたちに勇気を出せといえるのか
これは、私が学生時代に聞いた「詩」です。しかし、当時から作者不詳でした。そして、これと違ったフレーズの詩がいくつかあったように思います。自らが教師となって早や何十年が経過し、自分なりに初志を貫けていることを有りがたいと思い、また途中で世俗的な出世の誘惑に歩む道を違えていった方々のことも思い出されます。私の思いは「最後まで子どもらとともに」。青春の思いを「思い出させて」くれる詩です。