私たちが死んでも

 

             母  エセル・ローゼンバーグ

あなたたちはわかるでしょう、ねえ坊やたち、きっとわかるでしょう

どうして私たちが歌をうたいのこし

本を読み終えず、仕事もしとげずに

土くれの下にねむるのか

 

なげかないでおくれ、ねえ坊やたち、もう嘆かないでおくれ

どうして嘘やそしりが作りあげられ

どうして私たちが涙をながし、苦しみをうけたのか

みんなわかってくれるでしょう

 

太陽はほほえむでしょう、ねえ坊やたち、きっとほほえむでしょう

私たちのお墓の上に緑の草が生え

殺し合いはなくなり、世界は仲良く平和にみちて

喜びの声をあげるでしょう

 

働いて建てておくれ、ねえ坊やたち、きっと建てておくれ

愛と喜びと、人間の尊さと

あなたたちのために、ねえ坊やたち、あなたたちのために

守り抜いた信念の記念碑を。

 

 1953年6月19日午後8時、アメリカファシズムの最初の犠牲者としてローゼンバーグ夫妻は電気椅子で処刑された。これは、子どもらに宛てて書かれた手紙です。

          『愛は死をこえて  ローゼンバーグ夫妻の手紙』より