3 東京 隅田川 浅草寺 浅草神社 粧太夫の献碑 六地蔵灯篭 小野小町石塔 保元寺 采女塚 妙亀塚 都鳥歌碑 白髭橋 隅田川神社 梅若塚(木母寺) 梅若塚 白髭神社 言問橋 業平橋

1993/10/30 作成 2003/06/08

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 雨の日だったが、浅草から隅田川の水上バスに乗り、1回りしてきた。
 浅草寺お参り。六地蔵の近くに「六地蔵灯籠」があるとのことで、探したが見つけられなかった。今、インターネットで調べると、お堂に収まった灯籠があるようだ。
 浅草神社お参り。境内の粧太夫(よそおいたゆう)の献碑を尋ねる。「蕋雲(ずいうん)女史書の人麿歌碑」の名前で説明書きがあった。蕋雲女史は吉原の遊女で、美人で、書、歌も達者で、国学者亀田鵬斉の 門に学んで、蕋雲女史の号を受けたと言う。謡曲「草子洗 小町(そうしあらいこまち)」に出てくる、柿本人麻呂の「ほのぼのと明石の浦の朝霧に島隠れ行く舟をしぞ思う」を万葉仮名で書いてある歌碑。
1998.9.4 六地蔵灯篭を見つけた。鎌田正清奉献六地蔵灯篭だ。謡曲「朝長」にもあるが、尾張の野間内海に、長田を源義朝とともに頼っていったが、やみやみと討たれてしまった。
1998.9.4 小野小町石塔も見つけた。六地蔵灯篭の奥に「西仏板碑(さいぶついたび)」とあるのが、それだった。昔は「小野小町石塔」とも称すとあったが、今はない。

 西仏という人が、妻子の後世安楽を願って建立した。年代は判らないが鎌倉末から室町初期と言う。3mはあったと思われるが、折れてしまった。今は、高さ217.9cm、幅48cm、厚み4.7cmと言う。材質は秩父の青石。

 斎藤実盛供養塔が保元寺にあるので寄ってみたが、戸が閉めてあり、入れなかった。
 青木実氏の 「謡蹟めぐり」では、浅草に采女塚がある、との事で、台東区清川1丁目の出山寺をお参り。台東区教育委員会の説明あり。

 石碑の上部に横書きで「采女塚」とあり、下部に仮名交じりの文で、由来を書いてある。江戸の始め、吉原の遊女「采女」に心寄せた若い僧が師に注意され自殺してしまった。采女は悲しんで鏡が池に身を投げ死んでしまった。遺品の中に「名をそれとしらずともしれさる沢のあとをかがみが池にしづめば」の歌を見つけた。采女は、謡曲「采女」の猿沢池で投身自殺した采女のことを知っていた訳だ。蕋雲女史共に教養のある遊女だった。鏡が池は埋め立てられ、すでにない。

 妙亀(みょうき)塚公園の妙亀塚 お参り。謡曲「隅田川」のシテは子が死んだと知った後、妙亀尼と称し、ここで供養をしていたが、ついに、鏡が池に身を投げた。死んだ子の名が梅若丸。対岸墨田区に、梅若塚がある。多分、遊女采女もこのことを知っていたんだろう。
 荒川区南千住の石浜神社お参り。都鳥の歌碑がある。業平の歌「なにし負はばいざ言問わん都鳥 わが思う人はありやなしや」 
 此の近くに橋場(はしば)の渡しがあった。160mの幅があった。白髭の渡しとも言った。今は白髭橋。
 白髭橋を渡り、墨田区堤通りの水神さん(隅田川神社)お参り。狛犬のいる場所に亀が居た。頼朝旗上げのとき、暴風雨を納めてくれた。日本武尊の東征では、尊が相模より房総へ渡る時、暴風雨に見舞われ、海を鎮めるため“いけにえ” となって海中に没した弟橘媛(おとたちばなひめ)の遺品が流れ着いたのを葬った所だそうだ。大きなお祭りもあるようだし、隅田川花火大会の主催者は必ず大会の前に訪れることになっているとか。昔からの地元の神様、水神さん。
  この隣に、木母寺(もくぼじ)。お参りする。梅若塚はガラス張りの建物の中にあった。 謡曲「隅田川」は、我が子の行方を尋ねさまよう母の悲劇をテーマにしたもの。探し求めた我が子は既に亡く、その墓前で子の霊の声だけ聞くのみ。「あれは我が子か」「母にてましますかと」「互いに手に手を取り交わせば又消え消えとなり行けば、いよいよ思いはます鏡・・・」とある。謡曲は、子の霊が消えてしまう所で終わっている。
 梅若塚は、 昔、公園になっている所にあった。木母寺と一緒に今の木母寺に移転した。草の中に盛った土があったように見えた。梅若塚と刻んだ石碑があった。
 東向島の白髭神社お参り。朝鮮渡来の神を祭った神社。今では、祭神は「猿田彦(さるたひこ)の神」となっている。猿田彦は、天孫降臨の神話の中で、天孫・瓊瓊杵(ににぎ)の道案内をした神。そのため、猿田彦は、旅行の道中安全や、また、客を店に案内してくれるということで、商売繁盛にご利益がある神として信仰されている。

 謡曲「白髭」がある。舞台は、近江の白髭神社。奇瑞を示し御代を祝うすじ。白髭は朝鮮の国名、新羅の訛ったものとか、猿田彦は、渡来人の神「佐田の大神」に由来するとも言う。何処へ行っても、渡来人の後が濃厚に残っている。渡来人も、我々の先祖である。

 言問橋、業平橋 を渡ってきた。
 秋の花 むらさきしきぶ
 

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