105 自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンターでの「神経科学神話を越えて」シンポジウム 自然科学研究機構生理学研究所 国立大学法人総合研究大学院大学 愛知 3km 2010/12/18 |
自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンターでの「神経科学神話を越えて」シンポジウムに参加してきた。
高校生、一般市民も参加していたが、研究者、科学者が、やはり、多かった。 「疑似科学」が問題となっていました。社会と科学が発達してしまい、、いろいろ、問題となっているようです。 3時間半、飽きずに聞くことが出来ました。
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国際シンポジウムポスト・イベント シンポジウム「神経科学神話を超えて」 12月18日 会場 岡崎コンファレンスセンター:大会議室 13時30分:生理研所長挨拶:岡田 泰伸 南部 篤(生理学研究所・総合研究大学院大学) シンポジウムの趣旨説明 この20年、脳科学が大きく進歩したことで、例えばヒトの意思決定機構などの脳機能についての理解が深まり、あるいは神経難病の病態や、その治療法について大きな進展が見られました。 このような方向で今後も脳科学は進歩していくでしょうが、それに加えて社会の仕組みの理解など、より範囲が広いものに向かいつつあります。 一方、このような脳科学の進歩が社会に及ぼす影響についても考慮していく必要があります。 とくに脳科学の安易な応用(脳科学神話)の危険性については、十分、注意する必要があるでしょう。 脳科学が社会に及ぼすインパクトに関して、社会はどう捉えたら良いのか、また脳研究者はどう考えたらよいのか(どう考えているのか)についてシンポジウムを企画しました。 神経科学の研究者・院生ばかりでなく、高校生を含む広く一般の人に参加頂ければと思います。
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各講師の約15分の講演 *池内 了 (総合研究大学院大学 物理学) 疑似科学としての神経科学神話 複雑系に関わる事項には、結果が不確定であるにも拘わらず、要素還元主義(*1)の発想で簡単に結論を下して、いかにも判ったような言説が多く見られる。それによって思考停止に陥ったり、都市伝説化してしまったりしている。 とりわけ、人間は典型的な複雑系であり、中でも脳は様々な要素が相互作用しているという意味で、人間に埋め込まれた複雑系の極致であり、不確実な知見しか得られていないことが多い。 ところが、脳科学・神経科学にかかわる著書が3000冊以上も出版され、疑似科学に類する者も多い。これに対して、どう対処すべきなのか考えてみたい。 *定藤規弘 (生理学研究所・総合研究大学院大学) 脳科学情報の読み解き方 脳科学に対する社会の関心が高まる昨今、「雑音」にも「信号」にもなりうる脳科学情報の扱い方を、送り手と受け手の立場から考えてみたい。 見巧者により役者は育つ。 *藤田一郎 (大阪大学大学院) 脳ブームの迷信:虚構の指摘になぜ勇気が必要とされるのか? 1990年代後半から脳に関する書籍やテレビを頻繁に目にするようになり、また、ボケ防止や「脳力」開発を謳う商品、生活指南本が溢れている。その中には、根拠のない風説や、まやかしの商品が多く含まれている。 その欺瞞や虚構を検証批判することには、多大な労力と勇気が必要とされ、さまざまのコストとリスクを背負わなくてはならない。 少しだけ理屈ぼったくなること。証拠のない話は信頼するな。証拠があるだろうと勝手に解釈するな。理屈が合っているか考える。別の考えがあるか考える。 *河野 哲也 (立教大学 哲学) 心は脳のなかだけにあるのではない:脳科学と心理主義の危険 従来、脳科学では心と脳を同一視するが、最近は、「拡張した心」というそれを否定する別の考え方が興隆している。 「拡張した心」は、1990年中頃から、心の哲学、認知科学、ロボット工学などで盛んに唱えられてきた。 「拡張した心」の考え方に立てば、人間の心の活動のほとんどは、脳と身体のみならず、それらが相互作用する道具、自然環境、社会制度、人間関係といった広域システムにおいて成立している。個人の脳は、そのトータルなシステムの不可欠だとは言え、一部分をなしているに過ぎない。 このような立場に立たない場合は、社会的問題を個人の心の問題として処理しようとする心理主義を脳科学が推し進めることになると思う。 *米本昌平 (東京大学・総合研究大学院大学 科学史の先生) 神経科学研究と科学的認識論 現代の生命科学は、神経科学を含めて、谷底の巨大な闘技場に押し込められたまま、ともかく個別のルールで、それぞれが格闘しているのに近いのではないか。 観覧席からは、急速に膨張する科学データの集塊からなる、無数の島宇宙が増え続けている光景を見晴るかすことが出来る。 現在は、科学史上、統一した自然観や生命観を追求しようとする意欲が、もっとも衰退した時ではないか。 腰を据えて、現行の方法論について総棚卸しをし、それらが前提とするはずの生命観を明確にし、これらの研究活動が拠って立つ認識論の検証にエネルギーを注ぐ時ではないかと考える。 以上、パネラーらの考え方を要約してみた。独り善がりの箇所は、ご容赦下さい。 |
15時20分:休憩 15時30分:総合討論 激論はなく、やや気が抜けた観があった。3日間の検討は、どんなだったかと思われた。 17時00分:終了 |
大学共同利用機関法人・自然科学研究機構・生理学研究所
大学共同利用機関法人自然科学研究機構生理学研究所は唯一の人体基礎生理学研究・教育のための大学共同利用機関であり、人体の生命活動−特に脳と人体の働き−の総合的な解明とそのための国際的研究者の育成を究極の目標としている。 即ち、生理学研究所は「ヒトのからだと脳の働きを大学と共同で研究し、そのための研究者を育成している研究所」です。研究を通じて、人々が健康に生活するための科学的指針を与え、そして病気の発症メカニズムの解明のための基礎となる科学的情報を与えることを目指している。 なお、大学共同利用機関は、世界に誇る我が国独自の「研究者コミュニティによって運営される研究機関」であり、全国の研究者に共同利用・共同研究の場を提供する中核拠点として組織された。 大学共同利用機関である自然科学研究機構の5研究機関(研究所)は、それぞれの分野において特徴的な共同利用・共同研究を行っている。 |
(*1)要素還元主義とは
複雑な事象を理解しようとするとき、その事象をいくつかの単純な要素に分割し、それぞれの単純な要素を理解することで元の複雑な事象を理解しようという考え方です。 現在では複雑な事象をそのまま捉えて全体として理解することが、非常に重要視されている。
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総合研究大学院大学 創設の趣旨・目的 近年、従来の学問分野の枠を越えた独創的、国際的な学術研究の推進や、科学の新しい流れを創造する先導的学問分野の開拓の重要性が強く要請されている。 このような要請に対応する研究者を養成するため、学問諸分野で先端的な研究を行い、国内外の研究者の共同研究の推進に中心的な役割を果たしている<大学共同利用機関>の最先端を行く高度で優れた研究環境を活用した、我が国最初の大学院大学として創設された。 学術研究の新しい流れに先導的に対応できる、幅広い視野を持った国際的で独創性豊かな研究者を養成する。また、従来の学問分野の枠を越えた独創的、国際的な学術研究の推進並びに先導的学問分野を開拓 する。 特徴 ・ 特色ある博士課程教育 ・ 高い専門性の育成 ・ 広い視野の要請 ・ 国際的通用性の確保 ・ 分野横断的・先導的学問分野の創出 研究科 ・ 文化科学研究科 ・ 物理科学研究科 ・ 高エネルギー加速器科学研究科 ・ 複合科学研究科 ・ 生命科学研究科 ・ 先導科学研究科 設立時期 1987年 場所 神奈川県葉山 在学生数 544名 教職員数 1222名 |
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