２６　水口屋　�C見寺　坐漁荘　　　静岡

14km　　　　　　　2004/05/29

西行・一休など　　　　その他

　雨の予報だったので、箱根古道歩きを変更し、静岡興津坐漁荘、清見寺、清水の次郎長を歩きに出かけた。

　終日、快晴だった。珍しく天気予報が外れた。今の時期は難しいようだ。

　JRの「休日乗り放題きっぷ」２６００円で出かけた。新幹線は使えないが、東海道線の豊橋から熱海まで、身延線と御殿場線は全線。土日休日１日使用可。往復の電車の中は、本が読める。

　９時半、興津着。開館時間は、１０時なので、東海道を外れた細い道を行く。

　「一碧楼水口屋（いっぺきろうみなぐちや）」に、１５分前に到着。今日は、何か行事があるらしく、すでに沢山の人がいた。開いていたので、記帳して入館。

　江戸時代は、脇本陣。明治に入って旅館に変わり、宮家、政治家、文化人らに愛用され繁盛した。戦後、昭和６０年旅館廃業。

　今は、「水口屋ギャラリー」として、商売の記録、こけし人形など展示している。そうそうたる人物達の宿帳があった。

　巨鼇山（こごうざん）清見寺お参り。 臨済宗の禅寺。お寺内部、庭は、いつも早すぎて、戸が閉まっていて、拝見出来なかった。今日は拝見。

　門は３つある。

遠景。

　昔は鉄道、東海道、街道沿い家屋の向こうは海だった。埋め立てが進み向こうは立派な港湾施設である。

　仏殿

　鐘楼　謡曲「三井寺」の鐘である。

　シテは三井寺で、鐘の音を耳にして「面白の鐘の音やな。わが古里にては清見寺の鐘こそ常は聞き馴れしに」と喋る。

　シテは母親で、子供をさらわれ、子供捜しに出るが、「三井寺へ行け」とお告げがあり、三井寺へ行く。そして聞くのが、この鐘の音。自分も衝きに行くが咎められる。この時すでに狂ってしまっている。

　子供は、頼み来て、三井寺を住んでいたが、今日、８月１５日、和尚に連れられ月見に出て狂った母に会い、親子再会を果たして、故郷に帰る筋である。

　方丈と鐘楼

　 方丈には、徳川家康手習いの間あり。

　書院も拝見。天皇お成りの間があった。

向井政重 の墓

　武田水軍の将。向井氏は伊勢の海賊衆で、信玄に仕え、持船城を守った。海戦のないまま、天正七年九月十八日、牧野康成に攻め込まれ養子政勝とともに討死した。

　後生車：　現世において犯した諸々の悪業を、この車を回しながら後生の善処を願う車。１０回、回してきた。

　五百羅漢石像

　釈尊滅後、遺教結集に来会した5百人の羅漢（修行を積んだ坊さんのことらしい）。

　この像は江戸時代に仏教の興隆を願って造ったらしいが、作者不明だそうだ。

　島崎藤村「桜の実の熟する時」の最後に、この五百羅漢が出てくる。

　句碑「秋晴れや三保の松原一文字」

　石碑に名があったが、忘れた。政治家だったような気がする。

　「清見寺の鐘聲」　　高山樗牛の碑文。

　鐘の音はわがおもひを追うて幾たびかひゞきぬ。

　うるはしきかな、山や水や、僞りなく、そねみなく、憎みなく、爭ひなし。人は生死のちまたに迷ひ、世は興亡のわだちを廻る。山や、水や、かはるところなきなり。おもへば恥かしきわが身かな。こゝに恨みある身の病を養へばとて、千年の齡、もとより保つべくもあらず、やがて哀れは夢のたゞちに消えて知る人もなき枯骨となりはてなむず。われは薄倖兒、數ならぬ身の世にながらへてまた何の爲すところぞ。さるに、をしむまじき命のなほ捨てがてに、ここに漂浪の旦暮をかさぬるこそ、おろかにもまた哀れならずや。
　鐘の音はまたいくたびかひゞきわたりぬ。わがおもひいよいよ深うなりつ。

　ここ清見寺にも咸臨丸碑があった。写真撮影を忘れた。

　江戸幕府の咸臨丸は明治になりここ清水港に入った時、官軍に攻められて、多数の死者を出した。皆、新政府を憚って死者を外ってあったが、清水の次郎長は丁重に葬った。清水にその墓、「壮士の墓」がある。

　臥龍梅　徳川家康が植えたと言う。

　歌碑　「龍臥して法の教えを聞くほどに梅花のひらく身となりにけり」　　　与謝野晶子

　「いほ原の清見の崎の三保の浦のゆたけき見つつ物思いもなし」　万葉集

　「�C見寺ゆく手にうつる花の色のいくほどもなく紅葉しにけり」　　豊臣秀吉

　「�C見がか波ものどかにはるる日は関より近き三保の松原」　　兼好法師

　「�C見がた沖の岩こす白波に光をかはす秋の夜のつき」　　西行法師

　「せきの戸はささぬ御代にも�C見潟心ぞとまる三保の松原」　　足利義教

　「�C見がた雲にも関のあるならば月をそめよ三保の松原」　　武田信玄

　「西東あわれさ同じ秋の風」　　芭蕉

　「春風や三保の松原清見寺」　　上島鬼貫（かみじまおにつら）

　「雨につけ嵐につけて三保が浦小松が上をおひこそやれ」　　昭憲皇太后（しょうけんこうたいごう）

　「この眺め明かりて寂し引き潮の海苔の田遠く�C見寺身ゆ　　北原白秋

　「清見寺海を仰ぎてうろくづも救はれぬべき身と思ふらん」　　与謝野晶子

　坐漁荘　明治の元老、西園寺公望の別荘　「興津詣で」と言う言葉があった。

　坐漁荘のあった場所に坐漁荘が復元された。建設費２億円掛かったそうだ。ぴかぴかの新品だった。数寄屋造りの家、柱は杉、天井、床の間、欄間など凝った物だった。敷地３００坪延建坪９０坪。

　庭が仕上がっていた。ここからの海を見た写真が展示してあった。

　昭和３０年代まで、直ぐそこが海だった。

　「 無為といふこと千金や春の宵」　　 富安風生

　右の碑は解読出来なかった。

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