ボールドウィンの製作日記 (上が新しく、下が古くなっています。)
2005年 5月下旬 ピストン バルブエキセンフォーク クロスヘッド シリンダー後ろ蓋加工 シリンダー前蓋加工
ピストンはコッペルと同様に6mmステンレス丸棒にねじを切り、丸鉄板もねじを切りねじ込んだ。
バルブエキセンフォークもコッペルと同様の方法で作った。
クロスヘッドも従来の方法で作った。
シリンダー後ろ蓋です。
シリンダー前蓋です。 2枚の鉄板をロー付けしました。
どの工作も形が違うだけでやってることはコッペルと同じです。 これ以上簡単にはできそうになく、進化が止まっています。
この屋根のカーブを見てください。 さすがは本職の技術ですね。
動輪鋳物の調達に時間がかかっているため、 この製作日記は本来の工作の順番ではありません。 このため作っていても宙に浮いた感じでしっくりきません。 あっちもこっちも完全に完成する部品ができないのです。 組上げて調整してねじ穴を開けたりするため、こうした箇所が残ってしまいます。
このまま長期間置いておくとどのように調整するのかを忘れてしまうのでメモすることにしました。
2005年 5月 中旬 続エンジンの一部 キャブ屋根
エンジン上部の蒸気室及び蓋の取り付け、フレームへの取り付け穴、給排蒸気通路の穴開けを行った。 またシリンダー前側の蓋をとりつけた。 前蓋は二重になっていて、見える部分はカバーで、その中に圧力を受ける蓋がついています。
キャブ屋根の曲げはいつも泣かされるやっかいな作業である。 BBは木の板の上に屋根板を置いて、丸鋼を少しずつ動かしてあててハンマーでたたいて曲げた。 端は側溝の隙間に差し込んで平鋼をあててハンマーでたたいて折った。 できあがった屋根をよく見ると、たくさんのスジが見えて苦労の後は見えるが決してきれいではない。
今回は協力していただけるプロの友人に曲げをお願いした。 さすがである。 板は見る間にきれいに曲がっていき、キャブの上部にすぽっと収まった。 I さん。ありがとうございました。
このきれいなカーブの屋根を写真で見ていただきたいところですが、 デジカメのメモリーカードを子供たちがオーディオプレイヤーに使ってしまったため写真が撮れません。 あしからず。
2005年 5月 上旬3 エンジンの一部
直方体のデンスバーにシリンダーの穴をあけてもらっていた。 しばらくそのままになってしまっていたがようやく工作にとりかかった。
このエンジンの形はいかにもボールドウィンらしい。 しかし工作には手間がかかる。 肉削ぎをやってからフライスで削り、 さらにグラインダーで削った。 そして蒸気通路を開けた。 これらに丸1日かかった。
これはシリンダーの前蓋です。 右のものが水道用品としてホームセンターに売られており、 これに鉄板で蓋をし、銀ローとはんだで隙間を埋めた。
2005年 5月 上旬2 続キャブ ギヤエキセントリック
一日キャブを作っていたがあまり進んだような気がしない。 もう形になっているためだ。 今日の工作は次のとおりでした。
フレーム側に固定される床板のフレームへの固定。 後部フレームの真四角性はこの床板の固定で決まることになる。
そしてこの床板の側面下部の水切りのアングルをつけた。 また乗り込み用のステップもつけた。
分解前提のこのキャブは床板が2枚あります。上側の床板は取り外すキャブに固定されていて、 下側の床板はフレームに固定されています。
取り外すキャブにも床板があった方が、運搬中にひずみにくくて良いとコッペルの結果から考えました。 上下の床板の接合は4本のねじです。
キャブ本体のリベット用の穴を開け始めました。 所謂やっつけ仕事です。 BBのテンダーに劣らないほどの数です。 背面の板がようやく終わり、 側面はこれからです。
ギアのエキセントリックはできていましたが、写真を載せるのを忘れていました。
M4ナットに変更しました。
2005年 5月 上旬 煙室前板 キャブ
煙室前板に番号標と蝶番がつきました。 周辺のナットはもう少し大きい方が良さそうです。 今はM3ナットがついています。
キャブがここまでできました。 黄銅アングルとねじで組み立てました。 ねじ穴位置決めのため、組んでは ばらしの繰り返しでまる1日かかりました。
このキャブは取り外しが前提で設計しました。 うまくいくといいのですが・・・。
2005年 4月 下旬3 フレーム 板バネ 番号標
フレームがつながりました。
板バネができました。
正面の番号標です。 実物はペンキで描かれていましたが、このように作ってみました。
2005年 4月 下旬2 軸箱 トレーリングアーム 軸動ポンプエキセン 軸箱押さえ 煙室前板
軸箱です。 いつもの作り方です。
従台車のトレーリングアームです。 見えている鉄板は高さ調整です。
色を塗りました。
軸動給水ポンプ用のエキセントリックです。
軸箱押さえです。
煙室前板です。 蝶番はこれからです。
2005年 4月 下旬 フレーム
2ヶ月の間更新ができませんでした。 私の体調を心配してくださった方も見えました。 ご心配をおかけ致しました。 おかげさまで私は元気です。
更新ができなかったのは何を隠そう、 ネタがなかったのです。
レーザーカットの部品ができました。 私にとってこれは宝箱です。 見ているだけでワクワクしてきます。
まず煙室台を作りました。
ホーンステイを除いて前側のフレームがほぼできました。
図面を書いてから時間がだいぶ経ったので組み方を忘れてしまっていました。 図面を何度も見返して作りました。
2005年 2月 上旬 続番外編 ・・・ 機関車運搬車両の変更2
半分入れて90度まわします。
格闘の結果は写真のとおりです。 結局 煙突、キャブ、砂箱、安全弁をはずしてようやく載せることができました。
石炭袋と石炭缶は機関車を迂回して奥に入れ、小物を入れているペール缶(18リットルの丸い缶)は機関車の左側に納めます。 煙管掃除ブラシもトランクに積みます。 運転台車と取り外したキャブは室内に納めます。
とりあえず乗用台車は載せずにやってみようと思います。
2005年 1月 下旬 番外編 ・・・ 機関車運搬車両の変更
17年間で28万kmもの距離を乗った愛車のワゴンが排ガス規制のため乗れなくなってしまった。 思えばこの車はライブを持てた時のためにと思って決めたもので、やがてはこの車に合わせて機関車を設計した。 また、子供の成長とともにたくさんの思い出をこの車と一緒に作ってきた。
最後の日には家族みんなで車をバックに写真を撮り、お酒を車にかけ、事故無しと大きな故障無しで走ってくれたことに感謝して全員で見送った。
さてこれから乗る車は10年もののサニーである。 これにどうにかしてコッペルを載せなくてはならない。 トランクにはとても入りそうになく、後部座席をターゲットに考えた。 座席の上に台を取り付けて載せる方法だ。 しかし座席のシートがじゃまになる。 そこで後部座席のシートと背もたれを取り外した。 これで台の工作が格段に楽になる。 ところがドアが開く角度が70度くらいなのでうまく載せられない。
ドアの開き制限バーを外したが蝶番にも止めがついていて載せにくいのは変わらなかった。 しかも運転会ごとにシートのつけ外しをしなくてはならない。
後部座席をとりあえずあきらめて、トランクに載せる方法を検討した。 丸半日格闘したがどうしても入らなかった。 しかし運べる車はこれしかない。 どうにかしなければならないのだ。
このコッペルはこうした最悪の事を考えて分解できるようにしていた。 これを生かさなければならなくなってしまった。 トランクに載せるための大きな障害は機関車の高さである。 高さを低くするには煙突とキャブを外せばよい。
煙突は力で上に引き抜けばよい。 再セットするにはつっこんでペチコートを下から押し込む。 キャブは10本程のねじを外す必要があるがやむを得ない。そして上に持ち上げれば外せる。 他にじゃまになりそうなのは安全弁である。 これは初期給水の時に外すので始めから外しておけばよい。 今日は日没タイムアウトとなったので実際に載せてみるのは来週になってしまった。
乗用台車はどうしようか。 後部座席に載せるには10cm位短くする必要がある。 別に専用の台車を作ろうかと迷う。 運転台車は小さいので補助席でどうにでもなるだろう。 小道具と石炭はトランクの空いた所に載せようと思う。
このコッペルが載らなければボールドウィンは到底載らない。 どうにかしなければならない。
2005年 1月 下旬 動輪鋳物依頼 ボイラージャケット購入 シリンダーボーリング依頼
いきなり上旬から下旬になってしまった。
動輪木型はプレートと呼ばれる厚い合板に貼り付けておいた。 この合板はエフワンという規格の砂型製作機(?)にあわせた。 これを作ってビッグボーイの動輪鋳物をお願いした鋳物屋さんにアポを入れたら、何とその機械を1週間前に手放したため、もうやれないとの返事だった。
う〜ん。 またしてもか。 落ち込んでいても仕方ないので3度目のタウンページでのローラー作戦を実施した。 その結果なんとか受けてくださる鋳物屋さんを見つけて依頼に行った。
私が住んでいる近辺ではどんどんライブ製作の環境が悪化している。 鋳物屋さん探しにほぼ2週間を要した。 (平日は仕事があって電話できないし、土日は鋳物屋さんがお休みで電話が通じないため時間がかかる。)
ボイラージャケットができてきた。 内径150mm、長さ620mm、板厚1.6mm、SS400の単純な円筒である。
シリンダーのボーリングも依頼した。
2005年 1月 上旬 レーザーカット依頼 煙室扉 動輪木型一部 車軸切断
年末年始を使って描いたCADデータと手書き図面を持ってレーザーカット工場に依頼に行きました。
煙室扉は写真のようにコッペルと同じ作り方です。 100円の中華ナベの底を丸く切りました。 かなり小さい感じがします。
木型は外輪とボスとウェイトとスポークを別々に作り、板の上で固定して相互に接着剤で組み立てました。 隙間をパテで埋め、最後にサンドペーパーできれいにする予定です。
動輪のベアリングです。 ニードルローラーベアリングです。
動輪・従輪の車軸と従輪のベアリングです。 動輪車軸は直径16mmの磨き丸鋼で、従輪は12mmです。 従輪のベアリングはピローブロックです。
バルブスピンドルパッキン押さえとピストンロッドパッキン押さえも、コッペルと同様に穴あきアンカーボルトを使用します。
スチームドームや砂箱下部の段付きカーブは作るのが大変です。 左の写真はステンレス製のコップでイメージはぴったりなのですが寸法があいませんでした。
仕方ないので右の写真の丸鋼を削ることにしました。 重くなりそうです。
シリンダー用のデンスバー(汎用鋳物材)です。
煙突の材料です。 じょうごとゴミ缶とペンキ缶です。 缶は100円でありましたが、じょうごが高かった。
シリンダー前蓋、砂箱上部、スチームドーム上部の丸い部分の材料です。 水道パイプの目隠し部品と台所用のステンレス製容器を使うことにしました。 きれいなカーブが製作意欲をかき立てます。
2004年 12月 中旬 設計4
久しぶりにCADを使った。 機関車のパーツの図面を描くのにたくさんの機能は必要ない。 5000円ほどの本についていた実行版ソフトで図面を描いた。 ファイル形式はレーザーカット工場にあわせてDXFにした。 でも年内にはお願いに行けそうもない。
休みの日に家の中にいると家族が不思議がっている。 というか、いつも車庫で工作していて部屋にいないので面食らっているようだ。 生活のリズムが狂うとも言い出した。 これは考えようによってはしめたものである。 しっかりリズムを狂わせておいて工作に行きやすいようにしておこう。
設計の概要は次のようになりました。
ボイラーは通常の形とし、横広がりでもなく燃焼室も無しにしました。 火室面積の少なさは従台車を後退させて稼ぎました。 真横から見なければ従台車がスケールより後ろにあるとは気がつかないだろうと思いました。
従台車の復元装置等は省略してバネ式にしました。
オイルポンプはキャブの先端に置いて、軸動エキセンからワイヤーで駆動することにしました。
灰箱の高さはどうしてもとれず4cm程しかない。 灰落としの回数が増えるだろう。
実物はフレームが先端から後端までとおっていないが、模型では不都合なのでボイラーを囲むようにしてとおした。
ドーム付け根のSカーブ状の箇所は太い丸鋼を削ることにしました。
煙突は大きな漏斗やブリキの缶を組み合わせて作ることにしました。
リアータンク部は黄銅アングルで鉄板をつないでしこしこ作ることにしました。
焚き口下端はキャブ床上5mm程度になった。
前端部のフレームが細く弱いのはどうしようもない。 脱線時にエンジンを傷めないようにアンダーガードをつけることにした。 外観には影響しないと思うが見苦しかったら他の方法を考えることにした。
スチーブンソン式バルブギアはワルシャートよりも数値的に追いにくいと思いました。 また、たくさんの資料を見たためかえって迷ったところもでましたが、勉強にはなりました。 親切に教えていただきましたH様にはあらためてお礼申し上げます。
この機関車のシリンダードレインコックは普通では見えません。 無いのかなと思っていたが実物を見て驚いた。何とフレーム側の少し高い位置についているのだ。 一番低い位置からではないのでおそらく少しは排出残りがあるだろう。 しかしなぜこの位置なのかよくわからない。 推察では脱線時の破損を避けるためではないかと思うが確証は無い。
煙室扉はまたしても中華鍋の底を使うことにした。 安くて(100円均一にあった。)軽くて早い。
2004年 12月 中旬 設計3
ようやく設計を終えた。 懸案のバルブギア関係部品の厚みも、描いては消しの繰り返しで妥協点を見つけた。 苦しかったのは機関車の構造もさることながら、自分の目が悪くなっていて図面が書きにくくなっていたことだ。 方眼紙は特にピントが合いにくい。 めがねを取ったりかけたりの繰り返しで何とも情けなかった。
あとはレーザー用の図面をCADで書くことだが、少し休憩することにしよう。
2004年 12月 上旬 設計2
夜な夜な うんうん言いながらほとんどの素設計を終えた。 ほとんどというのは残りがあるということで、それは難しいところにきまっている。 それはバルブギアである。 といっても弁線図はできたので部品の図面を描くことはできる。 では何が問題かというとバルブギアのロッド類やアーム類の厚みが問題になった。
片側エンジンにエキセンが2つ、両側で4つ。 中央に軸動ポンプのエキセンが入る。 まあそこの部分はなんとかなるだろう。 しかし加減リンクのところが問題だ。 イコライザーピン、ロッカーアーム、エキセンアームの加減リンクへの取り付け部、加減リンクを支えるヒンジと吊りアーム。これらが干渉せずにフレームの間にはいらなければならない。 軸動ポンプをやめれば楽に入るが、軸動ポンプなしでは運転がつらい。 現在ここの作り方を模索している最中です。 ちなみに実物の給水は2つのインジェクターで行っていたそうです。
2004年 11月 下旬 設計
この機関車は本当に難しい。 あちこちに無理をしていると思われる箇所がある。 というか模型化には無理になる箇所が多くある。
前にも記した困難のほかにオイルポンプをつける場所が無い。と 灰箱高さがとれない。 が加わった。 主要な構造のほとんどすべてが困難である。 これに比べコッペルは設計しやすく作り易くおそらく運転しやすいだろう。
このことは実物でもそうだろうと思ったが、現実は違っていた。 コッペルよりも高価だが優秀さを買われてボールドウィンは購入されたのだ。 その優秀さとは森林鉄道特有の悪い軌道条件に合うこととメンテナンス性のようだ。 このメンテナンスは主に車輪の再旋削のようである。 まさに 「へ〜」 である。
スチーブンソン式弁装置の設計手順がようやく見えてきました。 長かったトンネルでした。
2004年 11月 中旬 設計の開始 ・・・ 車輪
これからしばらくは設計になるので写真を貼り付けるわけにいかず、文章だけになってしまいます。
まずスケールですが、ゲージスケールはもちろん1/6ですが、機構上のネックはどうやらボイラー火床面積の小ささのようです。 シリンダー容積に比べ火床面積が小さいのです。 せめてコッペルと同じ面積になるように全体のスケールを大きくしたら1/5.3となりました。 しかしそうするとエンジンの前後の丸いカバーやドームに使おうと購入していたコップなどが使えなくなり、 最悪削り出しになる可能性が高くなり、迷いました。
結局、縮尺は1/6とし火床面積は横にふくらませて稼ぐことにしました。 また燃焼室を設け蒸気の主な発生箇所である火室天板の面積を増やすことにしました。
動輪直径は踏面で120mm。 従輪直径は94mm。 厚みはいずれも17mmとしました。 フランジ高さは4mmです。 このことから約2mmの削り代をとり木型用の材料は動輪が132×132×21mm。 従輪用が106×106×21mmとなりました。 この寸法以上の板をホームセンターに探しに行きます。
2004年 11月 上旬
ホームページの見出しに 「この機関車は今までの機関車にはないおもしろいことが詰まっています。」 と書きました。 何がおもしろいかというと、やったことがないことが詰まっているのです。 これらを解決し工作の目途を立てるのがおもしろいのです。
例えばバルブギアがスチーブンソンであり、作ったことがない。
エンジンの給気管がエンジンブロックの中にあり、平岡さんのペンシルバニアBスイッチャーと同じような難しい工作になる。 エンジンブロック自体が複雑な形をしている。
フレームが前から後ろまで通っていないため強度的に弱い。
ドームと煙突の工作が難しそうである。
リアータンクの板金工作が難しそうである。
運転時はリアータンクの中央部は取り外さなければならないだろう。 つまりそのような工作が必要となる。
スケールでは火室が小さく圧力維持が難しそうである。
焚き口が低く焚きにくい。
前端部のフレームが細く弱い。
軸動給水ポンプをつける場所がなさそうである。 配管ルートもとりにくい。
ざっとこんなところです。 これらを解決していくのがおもしろく、また同時に苦しみでもあります。 なしえた時の達成感のために作っているようなものです。
「あえて苦難の道を選ぶのは、求道者と趣味人である。」 という金言集の言葉が身にしみます。 (まてよ趣味人というのはもともと求道者なのではないのかな。)
2004年 11月 3日 ボールドウィンに会いにいきました。
何といいましょうか。 おもちゃみたいで楽しい機関車です。
たくさん写真を撮ってきました。 係の方に大変親切にしていただきました。