<使用上のご注意 : だから 本気で読まないで〜>



Asian knot


「なんだ、これはっ!?」

もう何度目かになるジャック・インをして、マトリクスに侵入したネオは、目の前に広がる風景に思わず声を上げた。
月明かりをはじき返すプレートを何枚も乗せた、背の低い木造家屋が続く町並み。
道行く人も、皆、見慣れない衣服を着ている。
そして不思議な髪型・・・。
記憶のどこかにある風景ではあるが、なにか違うような気がする。
「どう・・・なってしまったんだ?」
呆然と呟いたネオは、覚えのある気配を感じて素早く振り向いた。
「お困りかね?アンダーソンくん」
深い、絡みつくような声。
「ま・・・」
また、あんたか・・・と言おうとして、ネオは言葉につまってしまった。
「どうかしたかね?呆けたような顔をしているぞ」
「や…あ、あんたは・・・あんただよな?」
「もちろん。わたしだ」
声も表情も覚えのあるものなのに、風体が違う。
世界が丸ごと違うものになってしまったような感じだった。
「アンダーソン君?」
ぐるぐると思考のループに入り込んでいたネオの耳元で、興味深そうな、笑みを含んだ声が囁かれる。
「スミス・・・」
「何かね?」
「何だ、あんたの格好は?」
「そういう君だって、同じだろう?」
「え?」
スミスの言葉に、慌てて自分の身体を見直した。
「うわ・・・・!」
着ているものの丈にはあまり変化はなかったが、デザインがまったく違う。
恐る恐る頭に手をやると、何かの塊に指が触れた。
「これは・・・」
「何を悩んでいる?アンダーソン君。わかっているのだろう。君には」
「どういう事だ?」
強い語気のままの勢いで、ネオは前に立つスミスの腕を掴んだ。
「あんたは知っているのか!」
ネオの勢いにもスミスは動じる気配はない。ただ、いつもの笑みを口の端に浮かべていた。
「スミス!」
「この世界は、何だ?」
「・・・・!」
抑揚のあまりない低い声が言い、指がネオの頬に触れる。
「マシンの生み出したこの世界では、自分自身へのイメージが外見に現れる。君の本体も、同じ顔をしているのだろう?」
「それは・・・」
この世界はプログラム・コードのグリーンのストリームだけ。
それは、見ようと思えば容易にネオの目には見えた。
なのに今、頬をなぞる指を温かく感じていた。
思いのほか、細く長いきれいな指だった。
「君が、この世界に与えている影響は、かなり大きいようだ」
サングラスの奥の目が、興味深そうに細められたのが見えた。
「俺のせいだと?」
「あるいは。君の力は予測不可能だ」
「お褒め頂いて」
そう言うが早いか、ネオはスミスのサングラスを奪い去った。
「・・・人間の行動というのは」
「予測不可能だろう?」
以前にも間近で見たことのある、澄んだ色の瞳に笑いかける。
「あんたのそれは、誰のどういうイメージの顕れなんだろうな」
「ノーコメントだ」
スミスは抑揚の無い声で呟きながら、手で顔を覆う。
その手が離れた時には、またサングラスが瞳を隠していた。
「今回は帰る」
「それが賢明だ。君は、もう少し自分を知るべきだ。アンダーソン君」
「余裕だな、スミス。しかし、しがないプログラマーのトマス・アンダーソンには、こんな事はできんさ」
「どうかな?」

スミスの笑みの気配を背中に感じながら、ネオはその場を離れた。
自分自身の世界に帰るために。



- end -




ネオが見たのはこんな世界(心の準備はいいですか〜?)





なんか内容とのギャップがスゲ〜〜!(笑)
いや、マトご一行来日の時、大阪行き決定に
『ベタな京都観光で太秦撮影所に行って、チョンマゲのかつら被って
チャンバラごっこ〜♪』
てな話を友人としてまして・・・・・

咲織さま。こんなのでごめんよ〜(^^;)

<03,06,03>