◆通知◆ 特別支援教育の推進のための学校教育法等の一部改正について 2006/07/18

抜粋(赤字 by togchan)  第6 留意事項
(1)  特別支援学校の設置については、公立学校は設置条例において、私立学校は寄附行為において、当該学校が学校教育法上の特別支援学校として設置されている旨を明確に規定する必要があること。その上で、現に設置されている盲学校、聾学校又は養護学校を特定の障害種別に対応した教育を専ら行う特別支援学校とする場合には、「盲学校」、「聾学校」又は「養護学校」の名称を用いることも可能であること。
 なお、国立大学附属の特別支援学校については、追って国立大学法人法施行規則(平成十五年文部科学省令第五十七号)の改正を行うこととしている。
(2)  各特別支援学校においていずれの障害種別に対応した教育を行うこととするかについては、当該学校の設置者がそれぞれの地域の実情に応じて判断することとなること。
 その際には、
児童生徒等ができる限り地域の身近な特別支援学校に就学できるようにすること、同一の障害のある児童生徒等による一定規模の集団が学校教育の中で確保され、障害種別ごとの専門的指導により児童生徒等の能力を可能な限り発揮できるようにすること等を勘案しつつ、児童生徒等の障害の重複化への対応という今般の制度改正の趣旨を踏まえ、可能な限り複数の障害種別に対応した教育を行う方向で検討されることが望ましいこと。
(3)  特別支援学校の行う助言又は援助に関しては、第71条の3に「幼稚園、小学校、中学校、高等学校又は中等教育学校」が列記され、これらの要請に応じて助言又は援助を行うよう努めるものとする旨規定しているが、これらの機関のみならず、保育所をはじめとする保育施設(認定こども園(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第3条第1項又は第2項 の認定を受けた施設及び同条第3項の規定による公示がされた施設をいう。)を含む。)などの他の機関等に対しても同様に助言又は援助に努めることとされたいこと。
(4)  教育職員免許法附則第16項において、小学校、中学校、高等学校又は幼稚園の教諭の免許状を有する者は、当分の間、特別支援学校の教員免許状を有さなくとも、特別支援学校の相当する各部の教諭又は講師となることができる旨を規定しているが、各大学においては、特別支援教育のための教員養成の充実、各特別支援学校の設置者及び任命権者においては、採用時における特別支援学校の教員免許状保有者の確保及び現職教員の特別支援学校の教員免許状の取得を促進し、特別支援学校の教員免許状の保有状況の改善に努められたいこと。
(5)  今回の制度改正により、小中学校等における特別支援教育が明確に位置付けられたことを踏まえ、すべての教員の特別支援教育に関する理解を促進するため、各大学においては、教職課程における特別支援教育に関する内容の充実及び適切な単位認定、各学校の設置者及び任命権者においては、特別支援教育についての現職研修の充実及び教員採用における内容の適切な取扱いにより一層努められたいこと。なお、大学における教員養成について発達障害に関する内容を取扱うことを求めている「発達障害のある児童生徒等への支援について」(平成17年4月1日付17文科初第211号初等中等教育局長、高等教育局長、スポーツ・青少年局長通知)の記の第3の1も併せて参照されたいこと。
(6)  各地方公共団体においては、特別支援学校の適切な施設整備が推進されるよう、予算の確保及びその適切な執行に努めていただきたいこと。
(7)  以下の規定の適用に当たっては、各特別支援学校を、当該特別支援学校の学級数(重複障害学級については、当該重複する障害種別のうちより手厚い条件整備を要する障害種別の学級とみなす。)が最も多い障害種別に区分すること。
 この場合において、学級数が最も多い障害種別が複数となる場合は、これらのうちより手厚い条件整備を要する障害種別に区分することとし、これらの取扱いにより疑義のある場合には文部科学省に確認されたいこと。
義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律第8条第2項及び附則第3項
公立義務教育諸学校等の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律第11条第1項第4号及び第15条第2号
公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律第17条第4号及び同条第5号並びに第19条第2号
 なお、公立義務教育諸学校等の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律及び公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律に基づく教職員定数の標準は、教職員の配置の適正化を図り、教育水準の維持向上のために定められていることを踏まえ、各都道府県において適切に教職員配置がなされることが必要であること。





◆法令◆ 学校教育法等の一部を改正する法律の公布について 2006/06/21

 2006年6月15日に開催された衆議院本会議において、政府提案の「学校教育法等の一部を改正する法律案」が可決・成立し、21日に公布。
改正法は、昨年12月8日にとりまとめられた中央教育審議会答申(「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」の提言を踏まえ、現在の盲・聾(ろう)・養護学校の区分をなくし特別支援学校とし、特別支援学校の教員の免許状を改めるとともに、小中学校等において特別支援教育を推進するための規定を法律上に位置づけるもの。 なお、新たな制度は平成19年4月1日より施行



◆答申◆ 「特別支援教育を推進するための制度の在り方について」 2005/12/08
特別支援教育を推進するための制度の在り方について(答申)の概要

特別支援教育の理念と基本的な考え方
 障害のある幼児児童生徒の教育の基本的な考え方について、特別な場で教育を行う「特殊教育」から、一人一人のニーズに応じた適切な指導及び必要な支援を行う「特別支援教育」に発展的に転換。
盲・聾・養護学校制度の見直しについて
 幼児児童生徒の障害の重度・重複化に対応し、一人一人の教育的ニーズに応じて適切な指導及び必要な支援を行うことができるよう、盲・聾・養護学校を、障害種別を超えた学校制度(「特別支援学校(仮称)」)に転換。
 「特別支援学校(仮称)」の機能として、小・中学校等に対する支援を行う地域の特別支援教育のセンターとしての機能を明確に位置付ける。
小・中学校における制度的見直しについて
 通級による指導の指導時間数及び対象となる障害種を弾力化し、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥/多動性障害)を新たに対象とする。
 特殊学級と通常の学級における交流及び共同学習を促進するとともに、特殊学級担当教員の活用によるLD、ADHD等の児童生徒への支援を行うなど、特殊学級の弾力的な運用を進める。
 「特別支援教室(仮称)」の構想については、研究開発学校やモデル校などを活用し、特殊学級が有する機能の維持、教職員配置との関連や教員の専門性の向上等の課題に留意しつつ、その法令上の位置付けの明確化等について、上記の取組の実施状況も踏まえ、今後検討。
(注) 「特別支援教室(仮称)」とは、LD・ADHD・高機能自閉症等も含め障害のある児童生徒が通常の学級在籍した上で、一人一人の障害に応じた特別な指導を必要な時間のみ特別の場で行う形態。
教員免許制度の見直しについて
 盲・聾・養護学校の「特別支援学校」(仮称)への転換に伴い、学校の種別ごとに設けられている教員免許状を、障害の種類に対応した専門性を確保しつつ、LD・ADHD・高機能自閉症等を含めた総合的な専門性を担保する「特別支援学校教員免許状(仮称)」に転換。
 「当分の間、盲・聾・養護学校の教員は特殊教育免許の保有を要しない」としている経過措置を、時限を設けて廃止。

目次

はじめに
第1章   障害のある幼児児童生徒に対する教育の現状と課題
1. 現状と課題
2. 障害者施策を巡る国内外の動向
第2章   特別支援教育の理念と基本的な考え方
第3章   盲・聾・養護学校制度の見直しについて
1. 障害種別を超えた学校制度について
(1) 基本的な考え方
(2) 特別支援学校(仮称)の内容
2. 特別支援教育のセンター的機能について
(1) 基本的な考え方
(2) センター的機能の具体的内容
(3) センター的機能が有効に発揮されるための体制整備
第4章   小・中学校における制度的見直しについて
1. 基本的な考え方
2. LD・ADHD・高機能自閉症等の児童生徒に対する指導及び支援の必要性
3. 特殊学級等の見直し
(1) 特殊学級及び通級による指導の現状と課題
(2) 「特別支援教室(仮称)」の構想について
(3) 「特別支援教室(仮称)」の制度化に係る検討課題
(4) 「特別支援教室(仮称)」に向けた当面の方策
第5章   教員免許制度の見直しについて
1. 基本的な考え方
2. 特別支援学校教諭免許状(仮称)の在り方
(1) 特別支援学校教諭免許状(仮称)の対象範囲
(2) 障害種別ごとの専門性の確保の在り方
(3) 特別支援学校教諭免許状(仮称)の種類・内容
(4) 特別支援学校(仮称)教員の養成カリキュラムの在り方
3. 現職教員の特別支援学校教諭免許状(仮称)の取得促進
4. その他の課題
第6章   関連する諸課題について
1. 総合的な体制整備に関する課題について
2. 障害のある児童生徒の就学の在り方について
3. 特別支援教育の普及啓発について
4. 就学前及び後期中等教育等における特別支援教育の在り方について
5. 法令上の用語等の見直しについて
6. 国の役割について
参考資料
特別支援教育の対象の概念図(PDF:69KB)
盲・聾・養護学校の現状
特殊学級、通級による指導の現状
学習障害(LD)、注意欠陥/多動性障害(ADHD)及び高機能自閉症について
特別支援教育の推進体制整備について(平成17年度委嘱事業の概要)(PDF:423KB)
盲・聾・養護学校と小・中学校との間の転学状況(義務教育段階) −国・公・私−(平成15年度)(PDF:69KB)
小・中学校における認定就学者数の推移(各年5月1日現在)(PDF:72KB)
特別支援教育特別委員会の設置について
特別支援教育特別委員会委員名簿
特別支援教育を推進するための制度の在り方に関する審議の経過
答申の概要
(初等中等教育局特別支援教育課)



◆報告◆ 「今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)」 2003/03/28 

提言の概要

1 障害のある幼児児童生徒一人一人について個別の教育支援計画を作成すること。
2 盲学校・聾(ろう)学校・養護学校はもとより小学校・中学校に特別支援教育コーディネーター(仮称)を置くこと。
3 行政部局間の連携のための広域特別支援連携協議会(仮称)を都道府県に設置すること。
4 地域における障害のある子どもの教育のセンター的な役割を果たす学校としての盲学校・聾(ろう)学校・養護学校を特別支援学校(仮称)に転換すること。
5 小学校・中学校における特殊学級や通級の指導の制度を、通常の学級に在籍した上で必要な時間のみ「特別支援教室(仮称)」の場で特別の指導を受けることを可能とする制度に一本化すること。
概要>
今後の特別支援教育の在り方について(最終報告)のポイント
本文>
はじめに
 
第1章   特殊教育から特別支援教育へ
 
1. 特殊教育の果たしてきた役割
2. 障害のある児童生徒の教育をめぐる諸情勢の変化
第2章   今後の特別支援教育の在り方についての基本的な考え方
 
1. 特別支援教育における基本的視点
2. 質の高い教育的対応を支える人材
3. 関係機関の有機的な連携と協力
4. 「個別の教育支援計画」の必要性
5. 特別支援教育コーディネーター(仮称)の役割
6. 地域の総合的な教育的支援体制の構築と当該地域の核となる専門機関の必要性
第3章   特別支援教育を推進する上での盲・聾・養護学校の在り方について
 
1. 盲・聾・養護学校の制度
2. 障害種にとらわれない学校制度へ
3. 地域の特別支援教育のセンター的機能を有する学校へ
4. 「特別支援学校(仮称)」の役割
第4章   特別支援教育を推進する上での小・中学校の在り方について
 
1. 特殊教育に係る小・中学校の制度
2. LD、ADHD等の現状と対応
3. 学校内における特別支援教育体制の確立の必要性
第5章   特別支援教育体制の専門性の強化
 
1. 総合的な取組の必要性
2. 国立特殊教育総合研究所の在り方
3. 国立久里浜養護学校の在り方
参考資
1. 「個別の教育支援計画」について
2. 「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する全国実態調査」調査結果
3. ADHD及び高機能自閉症の定義と判断基準(試案)等
4. 学校数・児童生徒数等の概要
5. 特別支援教育体制に関するイメージ図
6. 特別支援教育の在り方に関する調査研究について

◆報告◆ 「21世紀の特殊教育の在り方について(最終報告)  2001/01
    〜 一人一人のニーズに応じた特別な支援の在り方について 〜 

はじめに
第1章  今後の特殊教育の在り方についての基本的な考え方
1  我が国の特殊教育の発展
2  今後の特殊教育の在り方についての基本的な考え方
第2章 就学指導の在り方の改善について
1  乳幼児期から学校卒業後まで一貫した相談支援体制の整備について
2  障害の程度に関する基準及び就学手続きの見直しについて
3  就学指導委員会の役割の充実について
第3章  特別な教育的支援を必要とする児童生徒への対応について
1  障害の状態等に応じた指導の充実方策
1-1  障害の重度・重複化や社会の変化に対応した指導の充実
1-2  学習障害児、注意欠陥/多動性障害(ADHD)児、高機能自閉症児等への教育的対応
1-3  最新の情報技術(IT)を活用した指導の充実
2  盲・聾・養護学校、特殊学級及び通級による指導の今後の在り方について
2-1  地域の特殊教育のセンターとしての盲・聾・養護学校の機能の充実
2-2  特殊学級、通級による指導の今後の在り方について
3  後期中等教育機関への受入れの促進と障害のある者の生涯学習の支援について
第4章 特殊教育の改善・充実のための条件整備について
1  盲・聾・養護学校や特殊学級等における学級編制及び教職員配置について
2  特殊教育関係教職員の専門性の向上
2-1  特殊教育教諭免許状の保有率の向上及び今後の免許状の在り方について
2-2  研修の充実
3  特殊教育を推進するための条件整備について
4  国立特殊教育総合研究所の充実