信州の峠道 大平街道ふたたび 2010/8月
南木曽〜木曽見茶屋(前編) >木曽見茶屋〜飯田(後編)へ
1年前の大平街道、体力不足が思い切り響いて苦いデビューとなりました。
しかし峠の、あの佇まいが忘れられず、夏を迎えると性懲りもなく また行きたくなってしまうのです。ただし、今年は猛暑の影響で夏バテ気味。ここ1ヵ月ほど ときどきローラー台(3本ローラー)に乗っているとはいえ、大丈夫だろうか?
そんな先のことを心配してどうするというのでしょう。行きたかったら行く。なあに一度通った道だ、何とでもなるでしょう。今年もサイクリストの夏を楽しもう。
南木曽〜木曽見茶屋(前編)
前回同様、輪行です。“旅” の始まりですよ。
今回は乗り換えの中津川駅で しっかり うどんを食べました。汁の塩気がありがたい。これでおそらくあと2〜3時間程度は持つことでしょう。
中央本線車内
他に選択肢は無いのです
食べれるときに食べておかないと
南木曽駅からスタート!
南木曽駅に10:30ごろ到着、自転車を組み立て、近くのスーパーで飲料とおにぎりを購入して出発したのが11:00すぎ。おおまかには前回と同じです。違うのは昼食を焦らなくてもいいこと。あの中津川駅でのうどん、ひょっとしたら成否を分けるポイントなのかもしれません。
国道19号線を下り、国道256号線へと折れると上りが始まります。
幸いにも天候は薄曇り。心なしか気温も低め。何たって愛知県が暑すぎですから、そう感じるのも無理もないことでしょう。
妻籠を過ぎ、勾配がキツくなってきました。快晴ではなくとも汗が吹き出し、呼吸が荒れてきます。
木曽路ランドに到着し、ここでいったん休憩。カロリーメイトを補給しました。
前回はここで既にバテていたっけ
あららぎへ
前回同様、あららぎ温泉の看板から側道へ入り、尾越〜中折〜と集落の中を走っていきます。相変わらず のどかな、ゆったりとした時間が流れていました。
のどかな空気に満ちています
たしか前回はバテバテだったところ
時刻は12:00。急いだわけじゃないのに、前回よりも約1時間早いペース。
しかし油断は禁物。まだ先は長いのです。
広瀬を抜け、大山へ入ります。ここから国道256号に出てみると、軽食もとれる喫茶店がありました。なあ〜んだ、こんなところに喫茶店があったなんて。前回ここで食事をしていたら ずいぶん助かったに違いありません。でも前回はここを見つけられず、そして今回はあまり腹も減っていなければ、たいしてバテてもいない。まぁ、こんなもんです。いいんですよ、また次回ここを利用すれば。
そのまま国道を進み、とうとうメインステージである大平街道に入り、上り始めました。
いよいよ街道入口
この深い木立がいいです
確かにラクではないものの、でもバテているわけでもなく、ゆっくりと、少しずつ上っていきます。なぜ前回と違うのだろう? 自転車が違うから? だいたい道がわかっているから? うどんを食べたから? 日ごろ ときどきローラー台に乗っていたから? 先を急いでないから? “これ” という理由はわかりませんが、おそらく全部が良い方向に噛み合ったのでしょう。
引き返す?
─とんでもない、この静かで自然がいっぱいの街道をもっとじっくり楽しみたい。
タクシー?
─何だそりゃ。少なくとも今の私には関係ない。
押す?
─別に押してもいいけれど、フリーハブのラチェット音ですら今は不粋に感じる。
深い山の木立を楽しみ、鳥のさえずりを楽しみ、路傍の小さな花も、路上の落ち葉や枯れ枝も楽しむ ─今、私はこの木曽の山とシンクロしているのです。肉体は自転車に乗り、ペダルを漕いでいるのですけど、なぜか意識は己に留まっていないかのような、充実していると言えばいいのか、澄んでいると言えばいいのか、そんな不思議な時間でした。見方によっては何だかアブナイ人みたいですけどね。
途中、一回だけボトルの飲料を飲み、塩甘栗を食べたほかは一度も止まらずに進んでいくと木曽見茶屋まであと1kmの表示。まだ体力には余裕があるような気がしていましたが、ここで私の脚力残量警告灯(脳内)が点灯しました。これだけの上りですもの、そりゃ消耗しますよね。
13:30前には木曽見茶屋に到着。月見山菜そばを食べたのでした。
この塩分が助かります
茶屋前からの眺め
ここで休憩していた、中津川在住のサイクリストと少しだけ話しました。
この時期もいいけれど、秋も素晴らしいそうです。そうか、秋にも来ようかな。
寒いのと、日が短いのとが難点だけれど、来てみる価値はありそうです。
(木曽見茶屋〜飯田(後編)へつづく)