小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2010/08/15

信州の峠道 大平街道 2010/8月

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木曽見茶屋〜飯田(後編)

たっぷり休憩し、14:00ごろに出発、大平峠に向かいます。
脚力残量警告灯(脳内)は消灯したようです。でも油断はできません。消耗はしているのですから。はやる気持ちを抑えつつ、ゆっくりと上っていくと、とうとう着きました。
また来たのです、この峠に。


また来ましたよ


何度来てもいいところです

静かで落ち着いた、一種神秘的な佇まいが相変わらず素晴らしい。
そう思うのはサイクリストだけなのかもしれません。四輪は例外なく止まること無く走り抜け、5台ほど見かけたオートバイもそう。1台だけいったん停まりましたが、30秒も経たないまま また走り始め、下っていきました。
私ももしZZR250で来ていたら、停まることはなかったかもしれません。

さあ、峠を下ります。慎重に。前日までの天気の影響か、路面はわりとセミウェットの割合が多くなっているようです。たまにヘビーウェットも。先を急ぐ必要は全くありません。飛ばすことなく下っていき、大平宿に到着しました。


飯田側の下り


大平宿

今回もゆっくり散策しました。
今年は体験宿泊の家族連れ、しかも比較的若い世代が多いことに驚きました。オートキャンプ場に比べて設備も無い、車の乗り入れもできない、など不便なことばかりなのに。でも落ち着きますね、ここは。騒ぐようなところでもないですし、沢の音を聞きながら過ごすのも、かえって贅沢なのかもしれません。

飯田峠へ向かいます。
脚力残量警告灯どころか、木曽見茶屋での山菜そばが吸収され、エネルギーとなって充電もできたかのようです。
案ずることなど何もありません。周囲の景色を楽しみつつ、峠へと上っていきます。
やがて道標を見つけ、「やあ、来たよ」と思わず語りかけてしまうのでした。


今年も来ました


とても落ち着きます

時折通りかかる車やオートバイが次々と通り過ぎていく、こじんまりとした、特徴の無い峠です。
でもこの飾らない、静かな佇まいが何ともいえません。
のんびりとおにぎりを食べ、じっくりと腰を落ち着けると、この何もない峠が まるで自分の部屋であるかのような、いえ、この空間に私自身が溶け込んでいくかのような、実に居心地の良い場所に感じます。
やむことのない、穏やかなそよ風のせいかもしれません。どこからか聞こえてくる沢の音のせいかもしれません。
それだけではありません。そよ風に吹かれた木々の葉がこすれ合う音、蜂だかアブだかの羽音、数々の山鳥の鳴き声、何かが吠えるような声。野生の猿かもしれません。
何も無いけれど、他に誰もいないけれど、実に豊かな時間が過ぎていきます。

少し寒くなってきました。気がつくと、もう4時過ぎ。ここで1時間弱も過ごしていたのです。もっと、ずっとここにいたい気持ちはありますが、そういうわけにもいきません。
「また来るね」 そう言い残して峠を下り始めました。

こちらはさらに路面コンディションが良くない。半分近くがセミウェット。枯れ葉や枯れ枝がところどころ散乱し、まれにヘビーウェット。道幅も狭い。オートバイで来ていたら、険道の、あまり通りたくない道の部類に入ることでしょう。
慎重に下っていきます。今回は十分体力も残っていて、集中力が切れることもありません。安全面からも、ある程度の体力は必要ですね。

じきに猿庫の泉への入り口に着きました。
前回はパスした泉。今回は行くしかないでしょう。

覚悟はしていましたけど、すぐに激坂区間が始まりました。まだ体力は残っていたはずなのに、急速に消耗していきます。忘れていたはずの脚力残量警告灯(脳内)が点滅し始めました。
まずい、このままでは終わってしまう。この激坂に耐えられるのもあと数分か。残された時間は少ない。頑張れ、オレ。などと1人で奮闘しているうちに到着しました。


泉への登り口


静かなところです

自転車はここまで。ここからさらに丸太の階段を上っていきます。
たどりついた泉の水をひと口。
冷たすぎず、柔らかい水が疲れた体に優しく沁みわたります。

しかし入り口に案内表示がありながら、ここまでの狭道と激坂。それにこの階段。生半可な観光客を拒んでいるかのような、このアプローチが、かえって泉の質を保つことにつながっているのかもしれません。


泉でゆっくりした後、飯田市街地へ下り、飯田駅へ到着。


市街を散策


おみやげも忘れずに



プハ〜


マトン焼肉定食

今回も飯田で宿泊です。ビールがウマい!! マトンも外せないです!


翌日飯田駅で輪行し、特急で帰りました。


わりと混んでいました


名鉄車内


今回は幸いにも比較的余裕をもって走ることができました。
次回は2日目に天竜峡に行ったり、清内路峠を越えて南木曾へ戻ってもいいかも、と気が大きくなった私の妄想は膨らむのでした。
                    (おしまい)