平泉と気仙沼市 2012年4月
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決行するまで、悩みに悩みました。ボランティアでもなく、復興事業の仕事でもなく、ただの観光目的で一個人が東北の三陸地方を訪れてもいいのだろうか?
行かないという選択肢もあったのかもしれません。でも、愚か者の私は新聞やTV、ネット上の情報ではなく、自ら現地へ足を運び、自分自身の目で確認したかったという思いが強かったのでした。それは、被災地への関心を失わないためであると同時に、私の父が東北出身だったことから、心理的な距離が少ないことも影響していたのかもしれません。
この旅行記は、観光目的で東北の一地域を訪れた、一個人の視点で書かれています。東北地方の現状を正確に表しているわけでもありませんし、物の見方・考え方も偏っていることをご了承ください。また、被災地域での復興も進んでいます。ここに掲載した情報はあくまで2012年4月末のものです。
平泉
春の連休に入った4月末、いきなり沿岸部に向かうのではなく、まず平泉へ向かいました。かれこれ10年以上前に東北を旅したときに印象深かった中尊寺へ行きたかったのです。
愛知県から東北地方は少々遠く感じます。バスと電車を乗り継ぎ、混みあう東京駅から東北新幹線やまびこに乗りました。
一ノ関で新幹線を降り、東北本線盛岡行きへ乗り換えて平泉駅に到着すると、午後の日差しが照りつけていました。ちょうど桜が満開で、GWなせいか、観光客が大勢でした。やや気温の低い日々が続いていた東北にも、本格的な春の訪れです。
昨年の震災など無かったかのように錯覚してしまうほどの、賑やかな雰囲気でした。比較的被害の少なかった内陸部とはいえ、ここまで観光客を迎える準備をするには、並大抵のことではなかったことでしょう。駅前で観光用の巡回バスに乗り、中尊寺で下車。たくさんの観光客で溢れていました。
以前訪れたときと、何ら変わってない中尊寺。私は伽藍よりも敷地内の杉やモミの木々に惹かれるほうですけれど、その、変わらない姿に改めて安堵しました。
本格的な暖かさとなったこの日、楽しそうに虫が飛び交い、鳥たちがさえずっています。人々もまだ暖かさになれてないのか、穏やかに行動していました。中尊寺にとって、いつものGW、いつもの賑わい。平和でした。でもこの平和は当たり前のものではありません。ここが東北の人たちにとって、心のよりどころのひとつであることを再認識したのでした。
毛越寺までは、巡回バスに乗らず、歩くことにしました。道沿いの桜を眺めながら、暖かい日差しの中を静かに歩くのもいいものです。花粉で目が痛痒いのがつらかったですが。
日が傾いてきたせいか、毛越寺は比較的空いていて、静かでした。じっくりと散策し、観自在王院跡と舞鶴が池も堪能できました。この日は毛越寺近くの、素朴で格安な旅館に投宿。
刺身に岩手牛、ウナギまで。何よりコメが旨かったです。食べ過ぎて苦しい...
夜は蛙の合唱を聞きながら、眠りにつきました。
(気仙沼〜大谷海岸へつづく)