小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2012/05/06

平泉と気仙沼市 2012年4月

  平泉 >気仙沼〜大谷海岸 >東北を訪れる方々へ

被災地を観光旅行することに対し、いろいろな意見があるとは思いますが、現地へ行って感じた、私なりの考えをご紹介します。

このページは、観光目的で東北の一地域を訪れた、一個人の視点で書かれています。東北地方の現状を正確に表しているわけでもありませんし、物の見方・考え方も偏っていることをご了承ください。また、被災地域での復興も進んでいます。ここに掲載した情報はあくまで2012年4月末のものです。

これから東北を訪れてみよう、という方々へ

今回訪れた地域は平泉と気仙沼の、わずか2か所ではありますけれど、太平洋沿岸部を除き、内陸部では観光客の受け入れ体制が十分整っていると感じました。 ご興味のある方々はどんどん出かけてください。 太平洋沿岸でも、気仙沼や釜石、石巻など、ある程度受け入れ体制ができつつあるところへは最新情報をご確認の上、どんどん行ってほしいと思います。 そして現地では仮設店舗などで、ばんばん商品を買ってください。金額の大小が重要なのではなく、できるだけ、あちこちのお店でいろんなものを買ってください。それも、なるべく地元産の水産加工品を。ひやかしだけならやめてください。これらの被災地域に必要なのは、賑わい、活気だと思うからです。人口流出を少しでも食い止めるためにも、これらの地域の活性化に貢献していきたいと思います。

ただし訪れるのは、当面、受け入れ体制が整ってきた観光地だけにするのが望ましい。そして、普通の観光客として振る舞うに限ります。一般的には、まだ観光客を受け入れるどころではないからです。私たちが簡単に考えるほど、許容範囲が広いわけではありません。

甚大な被害を受けた沿岸部を訪れる際は、細心の注意を払ってください。
被災地域は見せ物ではないし、観光地でもありません。通過する程度にとどめ、写真撮影するにしても、遠くから、軽く、さっさとスナップを撮るくらいが限度かと思います。
がれきや損壊した建築物、荒野と化した光景の写真を、報道カメラマン気取りで撮りまくるのは控えましょう。これらの敷地へ立ち入るのも非常識です。がれきの前で記念撮影なんぞ、もってのほか。
被害の跡地は、個人の所有地だったり、地域の方々の共有地。それにがれきだって、外から降ってきたものではなく、日用品や生活資材をはじめ、日常の痕跡が数多く含まれています。貴方が逆の立場だとして、貴方と過ごした日用品ががれきの一部となって積み上げられているものを、他人に撮影されたら、決して良い気持ちはしないはずです。
ましてや、仕事でもなく、住民の方々に頼まれてもないのに仮設住宅を訪れるなど、あってはならないことだと思います。

地域の方々に、震災の話を聞くのも避けましょう。あまりにも激しい出来事ですし、もう過去のことです。被災地の方々は、覚悟を決めて、前を向いています。その気持ちに寄り添うようにしたいものです。

どうしても当時の状況を知りたければ、画像のような報道関係の書籍が販売されてますので、この類の本でご確認ください。


被災地の復興には相当な長期化も考えられます。現地を訪れて関心が高まったら、また、直接現地へ足を運ぶ機会がなかなかつくれなくとも、通販やファンドで応援することで、被災地域の産業再興へつなげることができるはずです。

自転車で走ってみようとお考えの方々へ

太平洋沿岸を除けば、おそらく何の問題もありませんが、太平洋沿岸部だけは、残念ながら、インフラ的にも、現地の心情的にも、自転車ツーリストを受け入れる体制がまだ整ってないと思います。

まず、走る道は大きな幹線道路が無難です。それ以外はまだ十分に機能していない道路が多いと推測され、さらに目印となる建築物などが無いことがあるため、道に迷う可能性が高くなるからです。
次に、路面状況がけっして良くはありません。路肩には砂利だけでなく、石、泥、細かい木片や金属片が混ざって落ちています。ロードバイクでなくとも路肩を避けたくなることでしょう。幹線道路でそんなことをすれば、地域の交通や、復興物資の輸送、物流を妨げる要因になりかねません。
なので、歩道を走ってほしいと思います。もちろん、歩行者や他の自転車の安全を確保しつつ。歩道はもっと整備が進んでおらず、段差だけでなく砂利の箇所も多い。ロードバイクで沿岸部を走るという選択肢は、今のところ考えづらいです。
ロードバイクに太めのタイヤを履かせたり、クロスバイクなら、という諸兄もお見えでしょうが、私の経験上、高圧なタイヤの場合、小石を飛ばす可能性があります。狭い歩道で、絶対に小石を飛ばさないように走るのは、かなり難しい。タイヤの太いMTBでも、ブロックパターンのタイヤは小石をはね上げることがあり、歩行者には相当な配慮が必要になります。
飲料や食料の確保もひとつの課題でしょう。走る道沿いに必ず店があるとは限りません。店があっても、商品が潤沢とも限りません。十分な飲食物を携行する必要があります。

ほかに、輪行について。
沿岸部までの列車が非常に混み合う可能性があります。大きな輪行袋は他の乗客の迷惑になりかねません。大荷物を抱えた自転車ツーリストを暖かく迎える余地は、まだ無いような気がしました。
レンタサイクルも一つの手段ではありますが、走行性能の低い車種ばかりで、スポーツサイクルよりも、はるかに天候、気温、湿度、風向き等々に左右されます。防寒着などの装備も必要ですし、何より体調が重要です。


このように、現在自転車で走るには、数々の課題が山積しています。
被災地が日常を取り戻すまで、情感豊かな自転車での旅は控えるしかありませんが、沿岸部だけを避ければいいのです。内陸部や日本海側へは、どんどん出かけてください。


最後に、気仙沼駅の観光案内所の方の言葉をご紹介して締めくくろうと思います。
「私たち、頑張るから、今度はもっときれいになったところを見に来てくださいね」