小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2016/05/29

琵琶湖周遊2.5日 2016年4-5月

  1日目 >2日目

前年10月に自転車で交通事故に遭った際の怪我の回復が遅れていて、半年を過ぎても通院中の身。身体的にも気分的にもあまり遠くへ出かける状況ではないため、近くにしようと、人によっては1日で一周してしまう琵琶湖を、ゆっくりと3日かけて回る計画を立てました。ほぼ平地ですし、ゆったりのんびり楽勝サイクリングのはず。傷めている右手首の負担も大きくなく、体力的に不安な私でもゆとりすらあると考えていたのです。しかし現実は甘くなかった...

1日目 自宅→ 彦根→ マキノ

前日まで雨が続き、最低気温10℃と冷え込みました。雨が降っていないだけ恵まれたと考えるべきですけど、北西の風がかなり強く先行きが心配です。
最寄駅まで自走し、まず輪行作業します。事故で傷めた右手首の具合が心配で輪行の練習を兼ねて半月ほど前に豊川まで旧東海道を走った経験が奏功、作業を面倒に感じずにできました。妻も同様に自力で作業完了。
私たちの作業の様子を、60歳代と思しき男性がしばらく眺めていました。もしかしたら少し羨ましいとお感じなのかもしれません。カッコ良くないどころか手が汚れる作業ですけど、輪行することで自転車の行動範囲は格段に拡がります。きっと四輪車での移動や公共交通機関の旅行に比べて自由ですよ。ラクではなく大変なことが多いですけれど。

休日とはいえ、名古屋駅は朝から混雑していました。さすがGWです。乗り込んだ新幹線ひかりも乗車率は100%以上でしょうか。名古屋から米原は近い。ほっとする間もなく輪行袋を担いで乗り換え、ですが米原駅の新幹線改札が超混雑。往来が困難なほど通路が人で埋まり、怒声が飛び交っておりました。
どうにか在来線に乗車でき、彦根へ到着。ここからサイクリングスタートです。


彦根駅で自転車を組み立て


彦根城を見ながら進む

湖畔に出て、さざなみ街道を北へ。春の穏やかな日和なら申し分のない快適なサイクリングでしょうに、この日は発達した低気圧が通過した影響で寒気が入り込んだ上に激しい向かい風。後で調べると風速10m前後だったそうで... 体感気温5℃以下かつ体力を消耗する厳しい行程となってしまいました。おまけに琵琶湖が年に数度という大荒れ状態で、湖なのに波が激しく打ち寄せ、時折波しぶきを浴びる羽目に。他のサイクリストたちも困惑しているようでした。あまりの強風のため平均速度は実質5km/h少々というところでしょうが、へこたれませんよ。寒くても強風でも、ふだん週末に走っていますから。


大荒れの琵琶湖


道の駅で休憩

しかし米原付近に来ると雨も降りだしてテンションが下降気味に。まだ10km程度しか走っていませんが、道の駅で止まると一気に体が冷えていき、とても落ち着いた気分にはなれないのでした。
お昼の時間にどうにか長浜に到着。初め計画した時点では焼鯖そうめんか、しゃれたカフェでもいいなあと考えていましたがとんでもない。寒くてたまらず、温かい食べ物が必要です。


地元の食堂へ


鴨そば定食

あちこち探す元気もなく、目についた小さな食堂へ入りました。ここで食べた鴨そば定食が大正解。出汁が程よく上品で鴨肉もウマい。何より体が温まって元気が出ました。ありがたい。

この日はマキノまで行く予定。こんなペースでは明るいうちに着かないかもしれません。黒壁スクエアなど観光はすべてパスして走ることに集中します。湖畔はひどい強風で前へ進まないため、少しでも内陸部を行こうと県道44号を選択するも道に迷ったり、雨に降られたり。また、内陸とはいえ、途中遮るものが無く、湖上の強風がそのままの勢いで吹き付け、時速10kmも出ない状態のまま、それでも木之本へ向かうしかありませんでした。
道中コンビニなど全く無く、しかも止まると冷えるという厳しい状況の中、1軒のガソリンスタンドでトイレを借りました。快く応対してくれた若い親切な男性店員はロードバイクに乗るそうで、私たちの自転車を興味深く眺め、バッグを積んだ私の自転車のことを「ランドナーいうんですか、いいですねえ」。
私の自転車はランドナーではありませんけれど、ランドナーという単語を知っているだけでも旅に興味がおありですね。「途中、道幅が狭いところがあるので気を付けてください」と優しい言葉をかけてくれました。
木之本が近づくにつれ、自分がバテてきたのがわかります。キツイ。他のサイクリストに抜かれまくるほどペースが落ちてきました。でもこんな私よりももっとバテて遅くなっているサイクリストも。皆さんこれだけの強風に向かっていくだけでもスゴイことだと思います。
どうにか木之本に到着し、北へ向かっていた進路を西へ。国道の賤ヶ岳トンネルが危険だと下調べしておいた通り、ほとんどのサイクリストが旧道に逸れていきます。
ここで初めてちょっとした峠道となり本格的な上りになります。バテていた私ですが、強風に向かうときとは使う筋肉が違うのか思ったよりキツくない。でも妻のほうはキツいみたい。まぁ慌てずに行きましょう。


旧道を上ります


トンネルを抜けると晴れてきた

旧道のトンネルを抜けると下り、国道8号に合流し藤ヶ崎トンネルを通過します。進行方向が北西だからでしょうか、相変わらず強風で速度が落ち、体が冷えます。
やっとの思いで道の駅 塩津海道あぢかまの里に着くと、しばらく動けなくなってしまいました。


塩津海道あぢかまの里


餅入りあんぱんとよもぎ餅を補給

まだあと20kmは走らねば。30分ほど休憩した後、再び走り始めました。国道303号を少し上り、岩熊トンネルを抜けると気温表示13℃。体感気温は相変わらず5℃以下で、冬期サイクリングの気分です。永原で県道557号へ入る頃には12℃と表示されていました。大浦で右折し海津大崎へ向かうと南西方向へと進むことになり、強風がほぼ追い風となり、この日初めて穏やかな気分で走ることができました。北西の風が陸地で遮られるのか琵琶湖も静かです。

途中、一匹のニホンザルを見かけました。群れではないようです。山地にエサが無いのか琵琶湖が豊かなのか、そんなことをチラリと考える余裕も出てまいりました。
海津大崎から向きが変わり、北西の向かい風を受ける状態になると、もう余力が残っておりません。自分をごまかしながら走ります。疲れきってしまったとき、元気でないときに走れる自転車が真のツーリング車だと私は思います。今の愛車:RALEIGH CRNはロードバイクに分類されますがツーリング車の素性は十分でしょう。

海津へ着くと風が収まってきました。もう目的地はすぐです。


海津の集落


お祭り

偶然にも地域のお祭りに遭遇、神輿を見ることができました。街並み同様、飾らない、素朴なお祭りは、見ていて清々しいです。良かった、ここまで走ってきて。
道を尋ねたりしつつ目的地の民宿へ到着。さっそく風呂に入り、冷え切った体を温めました。


民宿


湖魚料理が並ぶ夕食

夕食にはフナの刺身、稚アユの天ぷら、ウグイの煮付け、イサザの鍋など湖魚料理が並び、琵琶湖の豊かさを味わうことができたのでした。
この日の走行距離約60km、ほとんど向かい風で風速は常時5〜10mという厳しい一日でした。