小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2020/12/13

琵琶湖周遊2020秋 2020年11月

  1日目 >2日目

10月は不定愁訴のように体調が思わしくなく、少々辛い時期もあったものの、11月に入る頃にはどうにか持ち直してきました。一方、新型コロナウィルス感染者数がはっきりと増加傾向となり、第3波が始まった時期でありました。この状況だといつまた緊急事態宣言が出されても不思議ではなく、今出かけないとしばらく旅に行けないかもしれません。仕事をあまり休める状況ではない上に、様々なストレスも重なって遠出する気分でもなかったのですが、無理に休みをとり、比較的近くて旅気分を味わえそうな、4年前にも一度訪れた琵琶湖畔を走ることにしました。

1日目 自宅→ 米原→ 今津

出発前夜、TVではここ愛知県の新規感染者が1日で100人を超えたと報道されています。私が確認したいのは天気。一日中ぐずついた空模様は夜になっても変わらないどころかまとまった雨に。GoToトラベルのクーポンや旅先の地域共通クーポンの手続きやら受領方法をサイトで調べていてもなかなかわかりません。楽○トラベルのアプリを入れたのはもう前夜遅くなってからという手際の悪さ... いざ自分が利用するとなると、そういうものなのかもしれません。

当日朝5:00起床、6:30自宅を出発。通常最寄り駅から名鉄に乗り名古屋駅で乗り換えるのですが、輪行袋と荷物を抱えて名古屋駅の雑踏の中を移動したくなくて、今回はJR三河安城駅まで自走し、直接新幹線に乗り込みます。 未明に雨は止んだようです。三河安城駅まで10km以上走って行くので、雨が上がって助かりました。路面はセミウエット状態。水を跳ね上げて走ると乗り手も車体も汚れ、輪行袋に収納するとき何かと面倒になるので、なるべく水を跳ねないようスピードを抑えて走りました。抑えて走ったせいか体が温まらずに冷えていきます。途中からトイレに行きたくなってしまい、やむなく抑えていたスピードを少し上げました。何やってるんだか...

輪行作業に約25分。近ごろは妻のほうが若干早く作業が終わります。全作業を独力で。早い遅いよりも独力ですべて作業できることが大事かと思います。
新幹線こだま号に乗り込むと、予想に反してほぼ満席。乗客は若い世代だけでなくシニアも少なくありません。GoToの効果もあるのでしょうが出かける人は出かけるし、それでも出かけない人は出かけないのだと思います。


三河安城からこだまに乗車


米原駅からスタート

米原駅で自転車を組み立て、10時過ぎにスタート。スタート時点で既に輪行作業の疲れ、朝の自走分の疲れが少々蓄積されています。5kmほど走ったところの道の駅近江母の郷で小休止、おにぎりを補給しました。
4年前強風で苦しんだ状況とはまるで違い、パラパラと時折雨粒が落ちてくるものの風は弱く快適です。その風も初めは南風で追い風でしたが、徐々に北向きの向かい風に変わってまいりました。それでも4年前に比べれば天国であります。定番コースの湖岸沿いを進み、道の駅湖北みずどりステーションでお昼にしました。


静かな琵琶湖


昼食に牛丼を

さほど期待していなかった牛丼は、類型的な味とは違って旨い。レモン果汁が絞ってあって風味がよく、疲れがとれるようでした。
風向きは完全に北〜北西、向かい風に。風向きが変わったことで温度が下がり、冷たい空気が吹きつけてきます。ラッキーなことに前方を走っていた体格の大きいお兄さんのロードバイクに追いつきました。私はそのまま真後ろを追従します。時折風速5mに感じる強めの風が吹きつけると前方の大きいお兄さんは苦しそうに体を丸めて下ハン姿勢をとります。申し訳ない、風除けになってもらって...


賤ヶ岳の小さな峠へ向かう


トンネルを抜けると絶景のはず...

信号の変わり目でお兄さんが先へ行ってしまうと、後は向かい風をまともに受けながらの走行に。国道の賤ヶ岳トンネルを避け、旧道のミニ峠道を進みます。疲労も蓄積してきたころだし妻も私も多少は苦労するかと予想していましたが、あっけなく上りきりました。トンネルを抜けたところに琵琶湖随一のビュースポット、なのにこの日は天候の影響でさほど良い景観ではありませんでした。こういう日もあります。
トンネルから下っていくと北西の風が冷たい。気温は18℃前後なのに体感気温10℃少々。次のトンネルを避けて迂回路を進み、道の駅塩津海道あぢかまの里に到着。


賑わっていたあぢかまの里


鹿肉バーガーを補給

4年前は酷く消耗していましたが今回は消耗度合いが少ない。天候でずいぶん違うものです。補給食に鹿肉バーガーをいただきました。臭みなど全く無くおいしかった。
混雑していた道の駅を出発し、岩熊トンネルまでの8%の上りを進みます。4年前もこんな道を上ったのだろうか? まったく記憶がありません。それだけ当時は消耗していたのでしょう。トンネルを抜けて下っていき、大浦口で左折。国道を逸れて長閑な県道を進みます。


長閑な県道


海津大崎

私の中ではこのあたりまでが山場でした。あと残り30kmもないでしょう。とたんに緊張感が抜けて脚に力が入らなくなってきました。さっきまで気力十分だったのに。
少々よろよろしながら海津大崎へ走って行きます。あっ、道路脇にサル! 単独行動らしきオスのサルでしょうか。気づいたときには2mぐらいの間を空けて通り過ぎていました。おそらく相手はとっくに私たちに気づいていて、わざとというか半ば威嚇のために至近距離まで近づいてきたような気がします。自然界はそうしたものかもしれません。人間に甘くはない。
海津大崎で小休止した後、再び走り始めます。マキノの集落に入ると旧道が何ともいえず穏やか。もう緊張感などすっかり無くなり、ほっとしてきました。一方で脚が固まり、思うように動きません。やむなく一時的に旧道を逸れて幹線道路沿いのコンビニで止まってひと息つくと全身の筋肉が固まってきたようで、私も妻も高齢者のようなぎこちない動きになっておりました。


古く小さな旅館に到着


簡素な客室

今津へ入り、この日投宿する古く小さな旅館に到着。出迎えてくれた女将さんはフレンドリーでフラット。過剰なサービスなど要りません。親戚の家に来たような親しみやすさに癒やされます。バストイレ別の、古い一般住宅のような客室に、「おばあちゃんの家に来たみたい」と言う妻も喜んでおりました。ちなみに1泊朝食付きGoToトラベルクーポン利用で一人あたり税込¥3,705! おまけに地域共通クーポン受領いたしました。ありがたいことです。

夕食は外へ。近くの老舗喫茶まで、歩くには少し離れているので自転車に乗って。ナイトランです。静かな集落ですしゆっくり走ればいいものです。
渋い外観に対し、店内はなんとも言えない温かい雰囲気! 比肩する店はないかもしれない、そう思わせるほど。圧倒的に男性客が多く、それもシニア層だけでなく若者も少なくないのに皆穏やか。お一人様も多いのに無理してつるんでいないからなのかもしれません私のように世間から少しはみ出してしまった人たちも、弱い立場の人たちや辛い境遇の人たちも、あらゆる層の人々を優しく包み込んでくれるようでした。


夕食は老舗喫茶へ


生姜焼き定食

私は生姜焼き定食をチョイス。素朴でシンプルな風味。ゴテゴテしていません。でも大ボリューム。シンプルだからこそある程度の素材を使っているよう。好きです、こういう風味。
「遠くから来はったん?」
私より10歳は若そうな、テキパキ動くマスターが声をかけてきてくれました。地域の言葉で話してくださることがとても嬉しい。よそよそしさのない、フラットでユルい空気をつくっているのはマスターの人柄に因るところが大きいのかもしれません。
お店の内部から今だけでなく、長年の過去も伝わってくるようです。旅館で聞いた話だと今のマスターの先代が以前は切り盛りされていたそうですが、その時代の息づかい─ 悲喜こもごもの、表面的でない体温とでもいうべきもの、目に見えないし何の言葉もありませんが、人々の思いや温もりまで感じるような気がしました。私にとって絶対に忘れられない名店のひとつです。

帰路は一段と空気が冷えてきています。もはや体感気温5℃以下。この日の走行距離75km弱。宿に戻って風呂に入って身体を温めるも、ゆっくりしてると足腰が固まってきてしまい、ゴロゴロせずにほぼずっとストレッチし続けるはめになりました。年齢のせいでしょう...