小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2018/12/16

四万十川と仁淀川 2018年10月

  1日目 >2日目

長雨や豪雨、猛暑に地震、台風...
次から次へと自然災害に襲われた夏でした。私の居住地では幸いにもさほど被害は受けなかったものの、それでも心身は少なからず影響を受けたのか、それとも夏期の休日に十分活動できてないだけというわがままな事情だけなのか、とにかく日常に追われるだけの日々を送っているようで、心に空虚感を抱えておりました。
何かで心を満たしたかったわけではありませんけれど、虚飾の多い日常から離れ、埃っぽい日常を忘れたい。そんな不躾な動機で清らかな地へと向かったのでした。

1日目 自宅→ 中村

例年通り、無茶な休みです。それなりに仕事上の軋轢はあるし、台風26号が発生するし、夏の余韻を引きずって落ち着きません。天候も安定せず、前夜は暑さを感じてあまり眠れませんでした。遠足前の小学生じゃないんだし、いい歳して足が地に着いてない自分が情けない。
不安定な気分のまま家を出発。日曜早朝の道はガラガラです。最寄り駅まで快調に走り、慌てずに輪行作業を進めると、宿泊の荷物を抱えていても20分少々で終了。
今回も妻が伴走します。妻もなぜか安定せず、直前まで行かないとか、長距離は走れないとか、二転三転しましたが、同じコースを走ることに決めたのでした。でも現地に行ったらまた変わるかもしれません。その時はその時で別行動すれば良い。
名古屋から新幹線に乗り、岡山駅で特急南風に乗り換えました。日曜だというのに乗車率は10%ほどでしょうか。平日は多いのかもしれませんが、地方、それも大都市圏以外の鉄道の行く末がちょっぴり心配になります。仮に廃線にでもなれば、こうした自転車の旅も選択肢が減ってしまうことにつながりますし。


特急南風はアンパンマンの外装


中村駅で自転車を組み立てます

高知駅で特急あしずりに乗り換え、目的地の中村駅に到着。長かった... 最寄駅から約8時間。そのうち岡山駅から4時間半かかっています。愛知県から高知県は遠い。だけど遠いからこそ、日常を離れることができるのではないかと思います。


四万十川に架かる赤鉄橋


もうすぐ日暮れ

中村駅で自転車を組み立てて走り始めると間もなく赤鉄橋。四万十川にご対面です。個人的には7年ぶり。もう7年も経っているんだなあ。変わらない四万十川と、老化が進む私。ただ、洗練さとは程遠い、私の自転車旅のスタイルは変わっていません。己の小ささも...
四万十川沿いの県道を北上するつもりが、「佐田沈下橋はこちら」という案内板に惑わされ、通らなくていい小さな峠を越え、いつの間にか四万十川を離れて国道を走っておりました。しまった。今さら引き返すのも気が引けてそのまま走り、標識も何もない細い道を折れて、ご通行中の地元の方に道を尋ねて元の県道へと戻れました。が、県道が細くて暗い。また道を間違えたのではないかと不安なまま走っていると急に道幅が広くなったところで今晩の宿を発見。


民宿に到着


どれもこれもおいしい夕食

夕食はカツオのたたきをはじめ、土佐和牛に川エビも。四万十川の天然鮎がまるまると太ってすばらしく美味いです。青さの味噌汁だって。お米もおいしい。甘みや粘り気はさほどでもないですが粒が立っていて風味が出色。宿のおねえさんにおいしいことを伝えると、おねえさんのお父様が作られたお米だとおしえてくださいました。何だか世間の評価といったものに惑わされないかのような素晴らしい味。
ごちそうさまでした。

ここ四万十は今年、豪雨や台風の被害はそれほどでもなかったものの、それでも上流にダムが無いため、雨の後は一気に水かさが増えて想像もつかないような水量になるそうです。いろんなものが流されてしまい、大木だって沈下橋だって、どういうことなのか大きな冷蔵庫まで流されていくのを見た、と宿のおねえさん。
それに今年は週末に台風が来ることも多く、宿泊客は皆キャンセル、花火大会も中止になるなど散々だったとか。それでもいい年もあれば、こんな年もありますよ、と笑うおねえさんに、自然とともに暮らす人々の強さを見た気がしました。