小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2018/12/16

四万十川と仁淀川 2018年10月

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2日目 中村→ 江川崎→ 窪川

四万十川サイクリングなんて宣伝しているかどうか知らないけれど、自転車で旅する人なんて滅多に見ない、そう話す宿のおねえさんたちは、四万十川を遡上して窪川まで走ろうとする私たちのことを心配して、見送ってくださいました。
ありがたいことです。また一つ、忘れられない宿が増えました。


朝の四万十川


三里沈下橋を渡る

自転車で走っていると、鳶をはじめ様々な野鳥の声や虫の音が聞こえます。今この瞬間を、いろんな生き物たちと過ごしている感覚が、何かとても大事なことのように感じます。
と、県道が交通規制のため通行止め。大きく迂回せねばなりません。図らずも佐田沈下橋を渡り、四万十川西岸の狭路へと分け入っていきました。山深い風情満点の細く暗い道で、砂利や苔に水たまり。しかもしばらく上りがキツイ。下りではこぶし大の石も転がっているという悪条件です。こんな、人里離れた辺境ムードの道を走るのは初めてであろう妻でしたが、どうしたことか「癒されるぅ〜」とテンションが上がっております。私だけでなく、妻も世間からはみ出しつつあるのかもしれませぬ...
三里沈下橋を渡って東岸へ、元の県道へ復帰し、まもなく国道へ合流しました。国道とはいえ道幅が狭いところも多く、日陰も多くて気温が上がらず寒い。まぁ秋らしくていいではありませんか。


岩間沈下橋は通行止め


津大橋

沈下橋の中でも景観がよいといわれる岩間沈下橋は崩れていて通行止めでした。それでも橋脚は残っているのできっと近いうちに復旧することでしょう。網代トンネルを避けて旧道を進んでいくと津大橋は工事中で通行止め。歩行者と自転車のみ通行可だったので助かりました。
午前中のうちに道の駅よって西土佐に到着。ここまで約35km。


道の駅よって西土佐


おにぎり弁当 ¥200

予定では次の道の駅で昼食。しかしやや体力消耗気味ですし、この先何があるかわかりません。小さなおにぎり弁当を補給しました。ウマいです! 保存料や合成調味料の味がほとんどしない。よかった、少し元気になりました。
道の駅を出て、この日初めての見た信号を右折、四万十市方面へ向かいます。道は広く、交通量も若干増加。やや向かい風ながら走りやすい。途中でトンネルが3連発。でも春に走った、愛媛県の宇和島や八幡浜より内部が明るく、安全な気がします。
正午過ぎには道の駅 四万十とおわに到着。行程のおよそ半分を走りました。


四万十鶏唐揚げ定食


カフェでタルトモンブランを

まだこの先の行程が半分残っています。ボリュームがありつつ比較的消化のよさそうな四万十鶏唐揚げ定食を完食し、隣接のカフェで糖分も補給しましょう。
コーヒーがおいしい! 疲れが吹き飛ぶような、香り良く濃いコーヒーです。栗のタルトモンブランも実にすばらしい。甘さ控えめでも風味豊かで体に優しい。カフェのおねえさんによると、材料にこだわって作っていますとのこと。こうした心遣いひとつひとつが体に沁みていくのでした。
遡上していく方向ということもあって、走りやすい道なものの、おおむね緩い上り基調。それに時折向かい風。季節風としては北西で追い風のはずですが甘くはないようです。さほど景観もすぐれず、疲れが出てまいりました。
道の駅 四万十とおわを出て次の道の駅 四万十大正まで20km弱。休憩を取らずに走りとおしたせいか、けっこうバテてきました。道の駅 四万十大正は規模が小さく、長閑な空気にほっとします。妻もバテています。軽くストレッチして固まってきている体をほぐします。
マウンテンバイクに乗った地元のサイクリストが話しかけてきました。きっと私と大きくは違わない年齢ですけど、脳溢血を患って右半身がやや不自由。これでも車にも乗れるし自転車にも乗れるけど歩くのが一番しんどいそうです。かつではオートバイにブイブイ乗っていてサーキットも走っていたけれど、今は自転車がいい。車やバイクだと通り過ぎてしまって気づかない自然を感じることができるから、この時期はアケビとかね。それでも立ちゴケするからサドルは下げるしかなかったと笑って話してくれました。
いいんですよ、少しずつで。焦るのが一番良くないですよ、そう答えた私でしたが、その答えがそのまま自分にも当てはまっているような気がしてくるのでした。


道の駅 四万十大正


休憩の感覚が短くなっていく

道は緩い緩い上り基調。既に走行距離は60kmを超え、ここにきてふだんは携行していない荷物の重さを如実に感じるように。何とか脚は回るものの、キツい上りがあったら、上り切れそうにありません。20kmほどの間に3回も、川に架かる橋で休憩。休憩の感覚が短くなっていきます。休むたびに足や腰を伸ばすなどストレッチ。疲労はもちろん、冷えることで体が硬くなっています。山間部の日暮れは早い。日が傾き、じきに沈みそう。気温も急速に下がってきました。焦らないと言いつつ疲れているせいもあって焦ってきます。ダメですねえ、ゆったり構えることができなくて。
びっくりするほど風が冷たくなってきた頃、窪川市街に着きました。


前日も含めて初めてのコンビニ


窪川の本町通り

少々迷った後、小さな旅館に到着しました。
昭和の風情たっぷりな旅館で、女将さんも人当たりがよく笑顔が素敵です。


窪川駅近くの小さな旅館


夕食がおいしい!

夕食はカツオのたたきに鯖の塩焼き、豚肉野菜炒め。
ボリュームたっぷりながら、味付けが優しく素朴、体への負担が少ない印象で、こうした食事が私のお気に入りです。
この旅館は少し大きな民家を旅館として使っているような印象で、なんだか田舎のおばあちゃん家にいるかのような、不思議にくつろげる幸せな空気に満ちていました。すぐ近くに住んでいるのか、女将さんのお孫さんたちが旅館にやってきて、ジュースをいただいていました。微笑ましい光景に癒されます。それよりも小学校低学年というお孫さんたち、実に落ち着いていて元気なのに穏やか。きっと女将さんをはじめ、地域の人たちが穏やかで落ち着いているのでしょう。私たちが浮足立っていて恥ずかしいくらいでした。
この日の走行距離は約88km。久しぶりの長距離しかも荷物を抱えてで疲れました。