しまなみ海道とゆめしま街道 2019年10月
1日目 >2日目
いろいろなことがあった2019年。母が亡くなり、要支援になった父のサポートにたびたび帰省。長梅雨の後の猛暑に半ば熱中症状態に陥って夏が過ぎても回復せず、順調に程遠い不安定な仕事と同調圧力... 疲れ切っていた私は魂の故郷に帰りたくなっていました。
1日目 自宅→ 大三島
今回も無茶な休みをもらいました。いつまでこうしたことができるかわかりません。休みなんて言ってられなくなるかもしれません。でもとにかく乾いた心を潤したい。
前日激しく降った雨は夜には上がり、路面はセミウェット。最寄り駅まで走っていって輪行作業です。同行する妻のほうが先に輪行作業を終えました。私は疲れを引きずっているのかテンションが上がりません。淡々とタスクをこなすように進めます。
名古屋駅で新幹線待合室の売店をのぞくと、いつも通り多くのお弁当が販売されていましたが、単価が下がったように感じます。以前と違って1000円以上の品はとても少ない。食を楽しむ余裕がなくなってきているのかもしれませんし、食費にまわす予算が減少しているのかもしれません。単価が下がったことは、私にとっては選択肢が増えて歓迎すべきことなのに、少し複雑な気持ちになりました。
私の自転車が入った輪行袋はデッキに置いたのですが、乗降客の邪魔にならないよう、ホームと反対側のデッキに置くのがマナー。名古屋駅で右側だったホームは京都駅では左側、新大阪で右側と次々に変わるのでその度にデッキまで行って輪行袋を移動します。当初は面倒でしたが、慣れれば当たり前のことに感じるようになります。
デッキで輪行袋を移動させていたとき、幼児を抱えた若い女性に話しかけられました。自転車がお好きでいつか輪行して旅をしたいとのこと。自転車を載せるのに許可は要るか? 輪行袋を載せる際に困ったことは? 自転車に傷はつかないか? などなどいろんな質問を受けました。お子さんが成長したら一緒に旅したいそうです。しばらく先ですけどきっとうまくいくことでしょう。何となく緊張感のある新幹線のぞみ号の中でもたいしてイラつかず、穏やかな子供ですもの、お子さんは何かとお母さんを助けてくれるでしょう。
岡山駅でこだまに乗り換えました。車内の空気がちょっとユルんでいます。もしかしたら移動速度と緊張感は何か関係があるのかもしれません。
三原駅でJR呉線に乗り換えて忠海駅で下車。できればここで自転車を組み立てたかったのですが、乗り継ぎ時間の関係上、輪行袋を担いだまま少し離れた忠海港まで徒歩で移動します。週末だからでしょう観光客が多く、フェリーは混雑していました。輪行袋を担いで乗船、客室への狭い階段を上るのが辛い...
JR呉線へ乗り換え
フェリーで大三島へ
うさぎの島として知られる大久野島で大勢の観光客を降ろした後、フェリーは大三島盛港に到着しました。やっとひと息つけます。
盛港で自転車を組み立て
大三島の北側を走行
大三島の北側を回るルートを走り出してすぐに、空気が違うことを感じます。穏やかな中に深みがあるような、そんな独特の空気感。神の島といわれる理由が少しだけわかるような気がします。
途中にプチ峠はあるものの、勾配が緩く、なんてことはない... はずなのになかなかペースが上がりません。日頃の疲れが残っているようです。宮浦港に到着すると週末なのにひっそりとしておりました。数年前から大三島フェリーが寄港しなくなり、大山祇神社の海の玄関として栄えた宮浦港はその役割を終えました。時代の流れには逆らえないのでしょうが、風情ある港と周囲が寂しくなるのは残念です。
役目を終えた宮浦港
大山祇神社
一方、大山祇神社は陸路で訪れた参拝客で少し賑やかでした。境内は清々しく温かい空気に満ちていて、厳かというよりも和やかで安心感いっぱいです。
この日は民宿に投宿
落ち着く和室です
近くの温泉施設まで、民宿の女将さんに送迎していただきました。7年ぶりのお湯にゆっくりと浸かり、体をほぐしすと、ようやく心身が緩んできたようです。自分自身が徐々に島のリズムに合っていく。 夕食はすごく豪華! ヒラメやタイの刺身にメバルの煮付け、中でもオコゼの唐揚げがすばらしい!
魚尽くしの夕食
オコゼが絶品!
美味しすぎて夢中で食べていたら、オコゼのしっかりした小骨が歯茎に深く刺さってしまい、抜くのに手間取りました。自然の恵みに敬意を払っていただくことを意識しなければなりません。
民宿は混んでおらず静かでゆっくりできました。日頃の緊張が緩んだせいか疲れを感じて早めに就寝。なのに、熟睡できずに睡眠が断続的。資本の論理とか集団への同調圧力と、虚飾を廃したシンプルな暮らしが私の無意識の中でせめぎ合っているようでした。いえ、単に温泉の海水風呂で温まり過ぎてのぼせただけです...