小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2007/05/06

東京〜川崎 ふるさと再訪ツーレポ 2007/5月

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オプション(続き)

新横浜駅からそのまま帰ればいいものを、そこから戸塚近郊の親類宅へ向かう私。
果たしてどんな苦痛が待っていたのだろうか...

実は ここから写真がほとんどありません。
昨年行ったしまなみ海道よりもずっとキツかった...
終始向かい風、それも時折 突風を受けて、前へ進もうにも かなり踏ん張らねばならない状況に陥ったのです。
新横浜通りを片倉町へ向かう時点で、もう向かい風の凄さを体感していました。
下りもまともなスピードが出ず、上りも普段より2段以上ローギヤ側を使わないと上っていけない...

三ツ沢からの裁判通りも予想以上に勾配がキツく、ここで残りの体力をほぼ使い切ってしまうことに。
横浜は坂が多いことはわかってはいましたが、ここまで大変だったとは...

天王町



天王町の踏切付近。
もうバテバテです。





普通の道なら平均速度20km/hでいけるはずなのに、信号の多さと強風で10km/hに届くかどうかといったところ。
保土ヶ谷から井土ヶ谷までの上りでは さすがに自転車を降りて押そうかと思いました。
もう、足が限界で、溜まりきった乳酸が一向に除去できていません。
井土ヶ谷を越しても、惰性で前へ進もうにも向かい風で押し戻されてしまうために、常に踏ん張り続けてないとならないのです!

鎌倉街道に入っても向かい風は変わらないどころか突風が吹き荒れるようになり、さらに前へ進むことが困難になりました。残念だが、親類宅へ行くのは諦めようか、そんな考えも浮かんできました。
強風のあまり、女性の叫び声も時折聞かれる上大岡を抜けると、もう足に力が入らず、前へ進めなくなってしまいました。
歩道にうずくまるように倒れこむと、立つことも嫌になってしまいました。
顔は汗と埃と砂が入り混じってザラザラしています。

運動不足だなあ...
もう品川から走り出して約4時間。さらに朝 自宅からの走行を含めると5時間弱。
途中で昼食をとったとはいえ、普段こんなに連続して踏ん張ることはないわけで、
そりゃあ 乳酸が除去できなくて当然だし、食べたものを すぐにエネルギーに変換できなくても仕方ない...

はーっ...

強風が少しずつ体温を奪っていくのがわかります。
体が冷えるとますます動けなくなってしまうでしょう。
よろよろと立ち上がり、自転車にまたがると、ゆっくりゆっくり進み始めました。

相変わらずの強風。
やはり体力が残っていないことには変わりなく、日野立体の交差点までの坂を上りきると、また動けなくなってしまいました。
普通は坂を上りきると力を抜き、下りに備えることができるんですけど、今日は違うのです。上りきっても力を抜くと強風で押し戻されてしまうから、そのまま力を込めてないといけないのです。


あと少し、と自分に言い聞かせ、前へ漕ぎ始めました。
もう体力が無いどころじゃなくて、ふくらはぎや太ももがヒクヒクします。ヤバイ...
でもここで諦めるのは惜しい...

環状3号線の上りは ずっと押しました。もうダメぽ。
押して歩く、その足が妙に痛くなってます。


そして...
予定をオーバーしながらも、とうとう親類宅に着くことができました!
連休中にもかかわらず 快く迎え入れてくれた上に、飲み物や食べ物をたくさん出してくださり、本当に助かりました。 これで体力回復です。

時間の経つのは早いもので、昔話に花が咲いた、と思っていると、すぐに出発しなければなりませんでした。
でも とっても楽しかったです。本当にありがとうございました。
ここへ来る間に くじけてUターンしていたら 今ごろひどく後悔していたことでしょう。
まだ少し足が痛いものの、大丈夫だ。新横浜まで行ける。きっと帰りは追い風だし!


新横浜駅へ向けて出発!
指定席の予約を入れた、18時すぎの新幹線に間に合うように走れそうです。
体も足も 少し軽くなっています。ありがたい!
環状3号線のすごい上りも もう押さなくても大丈夫です。
坂を上りきった後は豪快に下り、鎌倉街道を 今度は北へ向かいます。

想像通り、かなりの追い風!! ぐんぐんスピードが伸びます。
足にそれほど力が入らないながらも、体感的には来るときの倍以上のスピードが出ているように感じました。
さすがに上りはつらいものの、あれほど苦しんだ日野立体交差点までの上りもなんとかこなし、港南〜上大岡〜弘明寺まで早いこと!
ところが井土ヶ谷へ向かう環状1号に入ってから、ちょっと様子が違う。時折の突風が向かい風に変わっている!! また進まない!
たしかにずーっと向かい風ではないものの、それでも体力を消耗し、足も動かなくなっていきました。永田ICへ続く上りはもう自転車を降りて押そうかと思ったほど、また足がヤバくなっていました。

それでもどうにか保土ヶ谷を過ぎ、天王町を越して、先が見えてきたとき、最後の難関:裁判通りに入りました。
なんという急勾配!! 足にかなりの負担がかかります。私を追い抜いていく車やバイクだって けっして楽に上っていくようには見えませんでしたし。
ああ、もし私の足がガソリンで動くのなら、私はガソリンを飲んでしまいたい...
そんな気分でした。
もうダメだ。たいして上ってないのに早々に自転車を降りて押しました。
押すっていっても この急勾配、それでも足に負担がかかります。
もうふくらはぎは限界のようでした。
ヤバいぞ、慎重にいかないと...
多少遠回りすればこの道を通らなくても良かったのかもしれませんが、疲れきっている体では 効率的な迂回ルートを探す気力も残っていません。まあ、前へ進んでいれば、目的地に近づいているはずです。

長かった急勾配もようやく終わり、多少勾配が緩くなったところで、押すのをやめ、自転車にまたがりました。いつまでも押していたら帰りの新幹線に間に合いません。
さて漕ぎだそうと右足に力を込めたその瞬間!
ビリリッ!!
わっ!! やってしまった! 激痛です。
あああ!
慌てて右のふくらはぎを押さえ、どうすることもできずに そのまま立ちつくすこと数分。
そろりそろりと慎重に自転車を降り、ただただ つっ立っていました。
もう予定の新幹線は諦めるしかないのか...
う〜ん、どうしよう。困った。

ちょっと痛みが引いてきました。とりあえずゆっくりなら歩けそうです。
慎重に、そーっと自転車を押して上り始めました。
右足に力を入れるたびに痛みが走り、今にも爆弾が破裂しそうでした。
それでもそのまま だましだまし歩いていき、勾配がかなり緩くなったところで無謀にも再び自転車にまたがりました。
そ〜っと、慎重に走り始めます。やっぱり右足がかなり痛い。ゆっくり走ろう。
そのまま下りに入り横浜新道に出ると、かろうじて走れるようになっていました。これなら行けるかも。

しかし新横浜通りの三ツ沢からの上りが キツいこと!
右足のふくらはぎを かばいつつ踏んばって上っていると、両方の太ももがヒクヒクどころかプルプル振るえ始めました。こっちもダメだ!
またまた自転車を降りて押します。相変わらず歩いても足が痛い。
しかし、連休だというのに、私はこんなところでヒーヒー言いながら自転車を押して、いったい何やってんだろう...

それでも片倉町入口に到達し、自転車にまたがって片倉町駅を過ぎて、やっと岸根の交差点に着きました。
フラフラしつつもラストスパートです。

どうにか新横浜駅に到着できました!! 感傷に浸っている暇はありません。
痛い足を引きずりつつ輪行作業できる場所を探します。
新横浜は改装工事中で、なかなか新幹線乗り場へのアプローチがわかりません。

新横浜
ようやく何とか作業できそうな場所に
着きました。
通行人が非常に多いのですが、そんな
ことを気にしている場合ではありません。

足の痛みをこらえながら
約15分あまりで作業終了。


重い輪行袋を担ぎ、新幹線のホームにたどり着くと、もう18時を過ぎていました。
けっこうギリギリ。あと10分遅かったら乗り遅れていたことでしょう。

ホーム

駅でお弁当と、冷たいビール、
といきたかったのですが、
今回は懸命にビールを我慢しました。
これで終わりではないからです。
新幹線を降りたら、
また自転車を組み立てて家まで
走らなければなりません。


予定の新幹線に乗り込み、ようやくひと息つくことができました。ふう〜。
あまりに疲れすぎたせいか、弁当を食べた後も車内では眠気もきませんでした。
しかもトイレに行こうと席を立ったとき、右足に激痛一歩手前の痛みが走り、あわてて親類宅でいただいた湿布薬を貼りました。 これ、助かりました!
徐々に痛みが引いていって、後でまた走ることができたんですから。

三河安城駅まで行くのはやめ、豊橋で名鉄に乗り換えて最寄駅で降りることにしました。もうとっくに日は暮れているし、真っ暗な中、足がつったら危ない。

豊橋からの快速電車からは激しく渋滞している国道1号線が見えました。
何かあったのかな。

最寄駅に着き、最後のひと仕事。暗がりの中、自転車を組み立てます。

ここは田舎とはいえ、乗降客はけっこう多い。
しかも連休だからか駅前にたむろしている連中も多いようです。
いかにもという、夜の香りがする人たち、スペイン語かポルトガル語を話している集団、そして中〜高校生らしき少年少女たち。
やっぱり日本ってアジアだ、と思う。欧米の田舎だとこういう光景は少ないように感じます。何よりも家族を大事にするし、子供も大人も早めに家に帰り、家族そろってゆっくりと夕食をとるのが当たり前。塾に通うなんて滅多にないことらしいです。
一方アジアの国々は違う。ある意味活気があるのです。もちろん家族は大事だけれど稼ぐことも大事。子供に甘いし、子供たちは夜、群れて集団をつくる。こういうことに眉をひそめる諸兄もお見えかもしれませんが、私は決して悪くないことだと思っています。
一見何をしでかすのかわからない、というか、何が目的なのかわからない連中だって、素朴な心の持ち主も多い。彼らは彼らなりに一生懸命なのだし、彼らなりに社会勉強もしていると思います。

騒いでいる中学生男女集団の声が一段と大きくなりました。
「センパーイ!」
「えっ、それってセンパイのカレシですかあ?」
「うわー、すげー」
「ヒューヒュー!」

いいなあ、中学生諸君。一生懸命生きているじゃないか。少なくともこの瞬間は、彼らの間で仮面の無い世界が存在しているのかもしれません。

自転車が組み上がりました。とっくに21時をまわっています。家まで帰らなければ。
少々生ぬるい風が心地よかった。休日の夜は交通量が少なく走りやすい。
追い風なのか、と錯覚するほど快調に走れます。
さすがに上りはペースが落ちるものの、足は全く大丈夫でした。

とうとう家に到着。どっと疲れが噴き出したものの、充実感で心は満たされていました。
今回の総走行距離は90kmに迫るほど。
限られた時間でこれだけ走ったのも久しぶりです。新幹線+日帰り+日ごろの運動不足を考えると多少無謀な計画だったかもしれません。
親類宅への往復が効きましたが、無事走れて良かった!
今度は風の弱い日に走りたいです。
                         (おしまい)