小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2007/08/18

御前崎ツーレポ 2007/8月

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御前崎〜磐田〜自宅(後編)

昼食をとって体力回復し、御前崎灯台ももうすぐ。
暑いけど今回は楽勝...なわけが無かったのです。

駐輪場


「御前崎海鮮なぶら館」の駐輪場

中型バイクが多いです。
自転車は...
私以外ゼロ。


休憩の後、自販機で新たに500mlの飲料を買い、御前崎灯台を目指して出発しました。時刻は13:00すぎ。休養十分で体が軽い。
灯台のふもとにはすぐに着きました。

   灯台
ここは砂浜がなくて岩場というか、磯場が続き、ファミリー層が多いです。
ほのぼのとした平和な雰囲気。

展望台


さあ、ここから西に向かって走ろう!!
疲れはあまり感じず、足も軽く回ります。

昼食の寿司がさっそく運動エネルギーに
変換されているみたい。


バテてる気配はありません。
おおっ、オレって体力あるのかも。と、愚かにも このときは思ってました。

県道沿いの浜名湖御前崎自転車道を走ります。
体力的には問題ないんだけど この日差し。午後はさらにキツくなってきたような。

暑い

ちょっと休憩しようにも木陰もなく、止まると汗が次から次へと吹き出してきます。
ともかく走り続けるしかない。





自転車道が途切れ、再びR150に合流、ちょっとしたUPも軽々と走っていると、大きめの木陰で、かなりへばっている様子のサイクリストを見かけました。話しかけてみたい気もしましたが、ちょっとそんな雰囲気ではありませんでした。ぐったりしています。それでもここは木陰だし、休んでいれば大丈夫だろう。

R150は車は少なくないものの、比較的走りやすく、ぐんぐん距離を伸ばせます。
正直こんなに自分が走れるなんて思っていませんでした。
磐田まで30km少々の案内標識まで見えます。

いけるじゃないか、オレ。この調子なら浜松まで走れるかもしれない!

そのままR150を走っていれば、本当に浜松まで行けたのかもしれません。
しかし、大洗海岸付近で自転車道入口の標識に従い国道を外れ、再び自転車道を走り出してから、本当の試練が待っていたのでした。

自転車道
さらに強烈になったかのような、
照りつける太陽。

そして今までの道には
ほとんど無かった砂。




砂 まるでスキー場で新雪の部分に入ってしまったかのごとく、足をとられて急減速。
ダートやぬかるみを走った経験があれば、走れないことはないが、体力を消耗します。
ところどころ深く砂に埋もれている部分もあって、そこではタイヤが埋まってしまい、自転車を降りて押すしかない。押して歩く足も砂に埋まるほど。

さらに困ったのはコンビニや売店の類が無いこと。考えてみれば当たり前です。これだけガラガラの自転車道の脇にコンビニがあるなんて、不自然。
ごくまれに遭遇する水場は、サーファーの集団が半ば占拠した状態になっていて、入って行けない。携行している飲料は減っていく一方でした。

道は直線が続いたかと思うと、小さい川でも横切るたびに、内陸側にちょっとだけ迂回し、橋を渡ります。
どれだけ走っただろうか、もう海岸線はうんざりだ、と感じだした頃、少し内陸側に入って防砂林の中を走る道になりました。なんとありがたい。木陰で止まり、体を休めます。
でも、日差しは回避できても、決して涼しいわけではありませんでした。
後から後から汗が流れて止まらない。もうペットボトルの飲料は残り少なくなっています。節約して飲まなければ。
蚊やハエが多くなってきました。行こう、飲料を補給できるところまで。
このあたりから余裕が無くなり、写真がほとんどありません。

試練は続きました。すぐに道は防砂林の中から海岸線へ戻り、長い直線が続きます。この後、長い海岸線を走った後に少し防砂林の中を走り、また海岸線、という繰り返しになりました。
防砂林は実に助かります。ずっと単調な海岸線沿いの道だったら、今ごろどうなっていたかわかったものではありません。この自転車道を造った人は、私のような軟弱サイクリストの気持ちがわかっていたのでしょう。


時間の経つのが遅い。5分が1時間にも感じられます。今どこを走っているのか正確にはわかりませんが、走っているのに あまり進んでいない気がしてもどかしい。飲料の残りもあとわずか。ひと口かふた口程度です。
徐々にパワーが出なくなってきているのがわかります。先はまだ長いのかもしれない。風は南西か。ペースを落として走ります。少しでも体力を温存しておかないと。

わずかな防砂林を抜けて、また海岸線沿いの道。もう何度目だろう。まずまずのペースで走っているものの、強烈な日差しと、海や路面の照り返しのせいか、距離も時間もとても長く感じます。
と、前方に自転車、いや人影。誰もいない、こんな灼熱地獄の中を、いったい何をしているのか?
近づいてみて驚きました。シニアカーを押し、私とは逆の方角に、とぼとぼと歩く老婆だったのです。普通の、商店街を歩くような格好で、とても飲料や食料を持ち歩いているようには見えません。老婆の歩く方角は、私が今 走ってきた道。海岸沿いの道が長く続き、商店も水場も、民家も見当たらなかった。他に通行人はゼロだし、自転車だってほとんど通っていません。
「ばあちゃん、下手すると死んじゃうぞ」
と思いましたが、私自身も手持ちの食料はないし、飲料もほぼ底をついていて、何も渡せるものはありません。
地元の人だもん、きっと私が知らないエスケープルートが途中にあるんだろう。
「ばあちゃん、がんばってね」
老婆の無事を心の中で祈りつつ、私はその場を後にした。


ずっと我慢してきたが、これ以上は危険だ。最後の一口を飲み、とうとう飲料が無くなりました。腹も減った。
この時点で私はサイクリストとして、やってはいけない状態になっていました。携行食糧も、飲料もゼロ。
十分休息をとりたいのはやまやまだが、この大量発汗が続けば脱水症状を起こすだろうし、その前に空腹のため、まともに動けなくなってしまうかもしれない。
とにかく走ろう。幸い体はダメージを受けつつあるものの、まだ動きます。

防砂林に入り、しばし休憩。もう15:30です。最後に食べたのがもう3時間も前。さすがにまずい。もう体力が尽きる寸前だ。夕べビールを飲みながらテキトーに計画を立てたのがいけなかったのか。直線距離だけ大雑把に見繕って、山の中じゃないし、コンビニがけっこうあるでしょ、とタカをくくっていた自分のアホさ加減を呪いました。
それにしても なんでこう苦行みたいになっちまうんだろう? いつも無茶な計画を立ててるわけじゃないのに... いや、計画の段階でもそうだし、走り出してからも、きっと甘い判断をしてきた結果、こういう目に会っているに違いない。アホだからね。まったく、いい年して何やってんだろ。オッサンなんだから、渋滞にハマってでも避暑地に出かけたりするほうが、よっぽど “らしい” ぜ。あるいは高校野球を観戦しつつ、家でビールでも飲んでるほうがよっぽど “らしい” んじゃないのか。

汗が目に入って痛い。まずい、本当に脱水症状になっちまう。
よろよろと自転車をこぎだします。
防砂林を抜けると唐突に自転車道が途切れて、漁港が見えてきました。

あっ、公衆トイレだ!
助かりました。用を足した後、顔を洗い、手足を冷やします。
日焼け止めは汗で流れていってしまい、急な日焼けが痛くなってきています。
地図で見ると国道沿いのコンビニが近いはず。早く飲料と食糧を補給しよう。

太田川



R150に合流し、
太田川橋を渡ります。




しばらく走ると... あったー! コンビニだ!!
コンビニ
おにぎりや弁当は
ちょっと食えない。
体がビタミンを要求しています。
本当は露地栽培のトマトが
欲しいところですが、
ここはレタスたっぷりの
サンドイッチにしました。



ああ、ウマイ。同時に購入した500mlの飲料も一気に飲み干しました。生き返った!! 休憩していると体に力が戻ってくるのがわかります。食べるって大事だ。

さて、ここから。時刻は16:00をとっくにすぎています。もし、仮に浜松に宿がとってあって、着いたら何もしなくていいのだったら、また自転車道を走って浜松に行くだけの体力はあります。
しかし、その後輪行するとなると話は別。帰りの電車も混んでいたら座れないし、乗り換えのときに人ごみに混じって輪行袋を担いで路線橋を渡らなければならないかもしれません。
しかも一度ダメージを受けた体。少し回復したとはいえ、ダメージを受けやすくなっています。今回はここであきらめて磐田駅で輪行しよう。浜松のギョーザを食べてみたかったのですが、なあに、また来ればいいのさ。

国道を外れ、磐田駅に向かって走ります。日焼け跡が痛い。やっぱり浜松行きをあきらめたのは正解です。足は軽く、体力的には余裕があるように感じるだけに惜しいが、これでいいのだ。

磐田駅 16:30ごろ
東海道本線磐田駅に到着。

大汗をかきつつ輪行を終え、
混んでいる電車に乗り込みました。

乗客の皆様、汗臭くてすみません。
もしかして華麗臭してたかも...
申し訳ないです。

浜松、豊橋で乗り換え、19:00に最寄駅に着きました。あと ひと仕事だ。
日は暮れて、駅前は昼から夜へ、雰囲気を変えていきます。

また汗をかきつつ自転車を組み立てていると、近くにいた若い女性数人の話し声が聞こえてきました。いえ、私は他人の話を盗み聞きする趣味はないし、私がここで自転車を組み立て始めたのが先で、女性たちは後からやってきたわけだし、それにそんなに大声で騒いでいたら、聞きたくなくても聞こえちゃうし...

「あれー、髪が黒いー」
「ねー、クローイ!」
「そんなー、二人に言われたくないよ」
そこへ待ち合わせていた4人目〈?〉が登場したらしい。
「来た来たー」
「キャー」
「アッツイねー」
「ねー これって、ユニ○ロ?」
「やーん、おそろだあー!」
女性たちは夜の街へと消えていきました。

さあ、自転車が組みあがりました。家へ帰ろう。
今日はいろいろあったけど 良い日でした。総走行距離は最寄り駅までの往復を除いて90km弱。つらいときもあったが自分がこれだけ走れて満足です。良くも悪くも、自分なりの “夏” を満喫できたわけだし。次回は浜松まで走れるといいな。
                         (おしまい)