過去掲載した編集◇コラム1
ふるさと (04/03/21)
3月末を迎える頃は卒業や就職、異動、転勤など様々な別れや出会いの季節でもありますね。今回は「ふるさと」をテーマにしたいと思います。
皆様のふるさとは緑豊かな郊外でしょうか。それとも祖父母や両親が迎えてくれる団らんのある暖かい家でしょうか。
「ふるさとは遠くにありて思ふもの。そして悲しくうたふもの。」 室生犀星 『小景異情』より
私にとってのふるさとは生まれ育った東京のとある下町。しかも'60〜'70年代の高度経済成長時代当時の光景なのです。
ばい煙でかすんだ空に光る太陽は黄色く、春夏は頻繁に光化学スモッグ警報が発令されて目や喉が痛くなり、小学校の全校集会では校庭で立っていた児童が次々と倒れていきました。
近くの一級河川は真っ黒な油が川面をびっしりと覆い、ところどころで いつまでも消えない泡が残っていて、生き物の姿もほとんどない「死の川」でした。
当時 私は両親と共に2Kの小さいマンションに住んでいましたが、水道水はひたすらカルキ臭く カビ臭く、蛇口をひねると時々茶色い水が出てきて困ることもありました。
現在は排ガス規制や排煙規制、排水規制が進み、東京でもそんな光景は少なくなったようですが、私は何故か あの光景を懐かしく思うときがあります。
黄色い太陽とドブ川の廃油・腐敗臭、車や工場の騒音と鉄や洗浄油の臭い。雨上がりの水たまりに浮かぶ油がつくりだす綺麗な虹色模様。生き残った魚も最期に水面で口をぱくぱくさせた後に沈んでいく真っ黒な川...
もう2度と見れないかもしれない、帰りたくても帰れない、心の中の悲しい「ふるさと」です。
ふるさととは誰にとってもそのようなものであるかもしれません。いつまでも自分の思ったとおりの姿のままではありませんよね...。
スプロケット歯数とタイヤ径 (04/02/22)
先日古くなったチェーンとスプロケットを新品に交換しました。駆動系をリフレッシュしてパワーロスを減らすことも目的でしたが、もう1つ、スプロケット歯数を変更して減速比を変えることも目的でした。私のZZR250はノーマルでフロント14T、リヤ47Tでしたが、シフトが少々せわしなかったのでフロントは14Tのまま、リヤを44Tにしました。
1、2速はその変化をあまり体感できませんでしたが、5、6速は効果を体感でき、特に街乗り+αでは6速に入っている機会が減り、少し余裕ができたように感じます。
タコメーターを見ると6速80km/hのときは 6,100rpmあたりを指しています。スプロケット変更前は6速80km/hで6,700rpm程度だったので数値的にも効果を確認できました。
ところが少々ギモンを感じ、タイヤ交換前後のことを思い出しました。確かノーマルタイヤでは6速80km/hのときに6,200rpm程度だったのが、ブリヂストンBT39に交換した直後、6,700rpmくらいになったのです。これはBT39のタイヤ径がノーマルよりも小さいため、このように変化したのです。
今回わざわざスプロケット歯数を変更した結果、ほぼ元の回転数に戻ったということになりました。改めてノーマルの減速比(とタイヤ径)の設定が絶妙だったということを再認識しました...。
怪我の功名 (04/02/01)
バイク乗りにとって 怪我は他人事ではありませんが、後で役に立つような怪我をすることもあります。
私はセンター試験(当時は共通一次と呼んでいました)を間近に控えた高校3年生のその日、道路に積もった雪が凍結しているのにもお構いなく自転車で学校へ行きました。皆様のご想像通り(?)登校途中のカーブで見事転倒し、右手首をしたたかに打ちつけて腫れ上がってしまい、右手が全く使えなくなったのです。(軽い捻挫ですね)
右利きの私にとって、右手が使えないということは受験生にあらざる致命傷ですが、(どっちにしろおバカだったので、受験がうまくいかなかったときの言い訳にしようと思いました) そんなことより困ったのはメシが食えないこと。
箸が持てないのは大変な致命傷で、こればかりは自分で自分の愚かさを呪いましたが、どうしようもありません。つらい思いをしながら左手で箸を使う練習をしました。
ところがこれが後でたいそう役に立ち、今では左手で箸が使えます。右手のレンゲでチャーハンをすくいつつ、左手の箸でレバニラをつまむ。いいでしょ。(妻は「変人だ」といって相手にしてくれませんが...) マウスやタブレットペンも右手でも左手でもどちらでも使えます。(別に仕事の役に立つわけではないですが)
センター試験ですか? ボロボロでした...。
「何だ、おまえは! 半年前の模試からちっとも進歩していないじゃないか!」と担任教師に罵倒されました。後日 右手は回復したんですけど、アタマを打ったからといってアタマが良くなるわけではなかった...。
三十にして立つ (04/01/11)
近年いい年をしたおっさんやおじいさんくらいの人たちの犯罪が増えたような気がします。若者の犯罪も問題視されていますが、何らかの事情はあるにせよ 悪いことをする大人が少なくないですね。
孔子は15歳で学問に志し、30歳でひとり立ちできるようになり、40歳で迷いが無くなり、50歳で天命を知る境地に達したそうですが、現代、私ぐらいの30〜40歳の世代はどうでしょう。
立派な人たちも多いのですが、私自身はどうも世間から少しハズレてしまった迷える中年サラリーマンといったところでしょうか。少年のころ、30〜40歳といえば「分別のある立派な大人」を連想していましたが、果たして現実は?
ところで私のような凡人には 「うかうか30、きょろきょろ40」という言葉もあるそうです...。
3,000rpm以下の話 (03/12/14)
かつてバイク雑誌で見かけたのですが、2輪ジャーナリストの辻 司氏のコメント “どんなバイクでも3,000rpm以下が大事である” という言葉が掲載されていました。
当時は空前のバイクブームでレプリカ全盛期。とにかく高回転高出力がエライと、おサルな私も信じて疑わず、(このジャーナリストはきっと大型バイクばかり乗っているんだろう。へっ、どうせおいらはビンボーだからそんなこと関係ないもんね)と思っていました。(失礼しました)
ところが最近ZZR250のカスタムが進んでから実感するのです。(ああ、やっぱり3,000rpm以下が大事なんだ!) カスタム後に中低速が充実し3,000rpm以下を使う機会が増えてきたせいでしょう。街中走行で発進時やペースが遅いときにごく短時間3,000rpm以下に入るのですが、そこから加速するときに何ともいえない質感というか信頼感を感じます。4輪の場合は1,500rpmとか2,000rpm以下が大事というように例えれば良いのでしょうか。
こんなことを実感するということは 少しは違いのわかるオトナになれたのかそれとも年のせいなのか..?
メンテナンスの話 (03/11/23)
皆様メンテナンスの知識はどのように会得されたのでしょう? いただくご意見もメンテナンス関連は多いです。私もさんざん苦労しましたが、2輪のメンテナンスって敷居が高いと思いませんか?
例えばプラグ交換。書店でメンテナンスの本を立ち読みすると単気筒車の写真が載っていて、何だか簡単そうに書いてあるんだけど、いざ自分のバイクを見ると、プラグがどこについているのかすらわからない。そこでもう1回書店で立ち読みすると “プラグレンチが届かなくてもタンクを外せば簡単” とか書いてあったりします。
ガソリンタンクを外すっていったって、ビギナーにとっては恐怖です。外し方もよくわからないし、取り付け方だって元通り組めばいいのか不安だし、途中でガソリンがドバドバ漏れてきたらどうしよう・・・ってビビっちゃいます。
そこでショップのプロに聞いてみようと思うのですが、これがまた難関。私なんか小心者ですので (こんな初歩的なことを質問してもいいのかな? 店員さんが機嫌を悪くしちゃったらどうしよう?) なんて思って聞けませんでした。
女性ライダーの方なら男性店員が「あっ、手が汚れますので 当方で即やりますよ」と、愛想良くしてくれるのかもしれませんが、男性ライダーに対しては「今忙しいんだ。タンクぐらい自分で外せ」という状況かもしれませんよね。会社生活に例えると新入社員が先輩や係長を飛び越し、課長や部長に対して「あのー、ユーキュー取りたいんですけど手続きどうすればいいでしょう?」と聞くような恐ろしい事態に似ている気がするんですが、例えがオーバーでしょうか。
このへんの取っつきにくさも2輪が市民権を得にくい遠因のひとつのように思います。
ZZR250が大事な相棒となるまで (03/11/09)
初めてバイクを購入したり買い換えたときには たいてい嬉しくてハイな気分が続くものだと思いますが、私がこのZZR250を 新車で購入した後の心境は「何だこりゃあ? しまったあ!」でした。乗っていても弱点が気になって仕方ないのです。
嫌気がさした私は「他のバイクがいいな」と、ほどなくトラッカーやアメリカンなど、次々に物色しましたが、先立つものがありません。月々のおこづかいを貯めるしかないのですが、気が遠くなるような月日が必要です。忍耐力の無い私は いつしか ちょびっと おこづかいが貯まると ついついカスタム用品を買うようになり、3〜4年も経過する頃になると徐々に愛着が湧いてきました。
6年半経った今では大事な相棒となっています。
「大器晩成」いや「雨降って地固まる」(?)珍しいパターンですね。
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