小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2024/04/07

管理人はたぼうの編集◇コラム

生きる目的 -人生と苦しみ- (24/04/07)

「何のために生きているのか、何のために生まれてきたのか」なんて、そんなことわかるわけないよ。世界中の哲学者が何千年もかけて考えても、まだ答えが出てないんだから。とりあえずは「生きるために生きてる」ってことでいいんじゃないか。もっともらしい理屈を探したって仕方ない。 毒蝮三太夫著『70歳からの人生相談』(文春新書)より

 「生きる目的」をタイトルに、コラムを書いたのが2010年。(コラム15 下方参照)当時答えは出ず “生き抜く” ために生きているということにいったん落ち着きました。
 振り返ってみると、あのときはそう考えるしかなかった気がします。他人の役に立ちたいのは己の欲であると言い切っていますけど、別の角度から自己分析してみると、目的無く日々過ごすのはカッコ悪いと思っていた節があります。目的を持つ人たちが眩しかった。うらやましかった。自分自身の目的をはっきりさせたかった。己の役割を定義することで世間に認められたいという承認欲求が渦巻いておりました。今から思えば若かった、いや幼稚だったというほかありません。

 あれから14年以上、己の役割は特に無いまま、承認欲求は満たされないまま。もし一時的に満たされたにせよ、承認されたことがそのまま有効なのか、この先も承認されるのかきっと不安が尽きず、もっと強い、永続的な承認を求め続けているのだろうと思います。それが私の弱さであり、逃れることのできない苦しみであります。

 10年度ほど前、ときどきランチに訪れていたローカルなカフェレスト。当時60代だったマスターがぼそりと話してくれたことが印象に残っていると以前触れました。
「人生ってやつは8割がた苦労だな。残りの2割は何だと思う? 幻なんだ。
それとなぁ、ご褒美がちょっとだけ。ほんの少しだけな。」


 この歳になって、だんだんわかってきました。私が生きる目的は、苦しむため、それも、思いもよらない苦しみを知るためです。想定できる苦痛ではありません。あらかじめ計画し、修行のごとく苦痛を求めたところで、それは苦痛のうちに入らない。
 約3年前に罹患した尿管結石も、思いもよらない苦しみの一つ。しかし想定外の苦痛とは、孤独とか疎外感、劣等感など対処法が容易ではない部類のものが多いのではないかと想像しています。

 苦しむために生きているだなんてあり得ない、救いが無い。苦しみはプロセス、あるいは副産物であり、目的や結果ではないというご意見もあることでしょう。苦しみの先に必ず得られるもの、目的があるはずだ、という人たちがいます。対価を待ち望んで苦しみに対処するというと、試練の先に成果があるかのようなサクセスストーリーに通じることもあって、受けが良いのかもしれません。苦しみを経て大きなものを得た人たちも少なくないのでしょう。
 しかし、成果を期待して苦しみに耐えたところで、望んでいた果実は得られない。苦しみの果てに何かを得られるという考えが甘い。ずいぶん違った形の何かが残り、不本意ながらそれを結果として受け入れざるを得ないことも少なくありません。

 仏教でも生きることは四苦八苦だという。四苦は生老病死。この根本的な四苦に、愛別離苦(人との別れ)、怨憎会苦(嫌いな人間と会う)、求不得苦(欲しいものが手に入らない)、五蘊盛苦(物事が思う通りにならない)の四苦をあわせて八苦である。 勢古浩爾著『自分がおじいさんになるということ』(草思社文庫)より

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