小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2005/07/10

過去掲載した編集◇コラム4

  >目次へ戻る

デジタル携帯グッズ  (05/05/29)

 携帯にデジカメ、それにiPodに代表されるデジタルオーディオプレーヤー。デジタル携帯グッズといえば近年これらの市場が盛んで、今では多くの人が使いこなしているものではないかと想像します。今回は人とは違う、少々変わった私のデジタル携帯グッズを ご紹介します。

PHS  まずPHS。携帯電話は持っていません。この時点でかなり少数派ですね。携帯電話に比べ、とにかくコストが安い。巨額の住宅ローンを抱えた私にも安心です。 そんな私が使っているのがWILLCOMのAH-J3003S。俗称“味ポン”。AH-K3001V、俗称 “京ポン” のようにPCサイトも見れず、カメラもついていませんが、カエルコールがメインユースの私にはこれで十分。通話品質は良いし、一般プロバイダーのメールができるし、一般プロバイダー経由でインターネット接続もできてパケット代半額にできるし。(64k PIAFS通信ではパケット代不要) 難点は山間部など、人口密度の低いところへ行くと通信困難になること。PHSが少数派であることを痛感します。
S45
 続いてデジカメ。3年前に買った、CanonのPower Shot S45を使っています。それまでオリンパスのコンパクトフィルムカメラ:XA-2を約20年も使っていました。XA-2も単焦点のカメラにしてはそこそこの画質で、結構ヘビーユースに耐えてくれました。
 このS45は 悪天候などには向いていない反面、比較的画質が良いです。素人には十分すぎる性能で、画質と画素数は直接は関係ないことがわかります。
残念なのは重いこと。割とズシリときます。

 次はPDA。HPを開設し、掲示板の管理をするようになると、何かと文章を書く機会が増えました。限られた時間をなるべく有効に使うべく、出先でも原稿を考えたりテキスト化したり、あわよくばネットにつなげれば、と思うように。最良の方法はおそらくB5程度の大きさのモバイルPC+カード通信端末でしょうか? しかしこれは費用がかかりすぎ。バリバリの営業マンならともかく、私用、それも歯医者や病院の待ち時間とか、滅多にない宿泊出張とか 泊りがけの旅行とかでちょっと使う程度なので、そんな高額なものは要らないのです。
 新品はあまりに高額なので、中古品を探してみたものの、流通量が少ないせいか、古いものでも高い。とてもおこづかいで買えるレベルではなく、方針転換。CLIEに代表されるPDAに目をつけました。これなら何とか手が届くかと思いましたが、本体+キーボード+PHS通信ケーブルを買うと けっこうな金額に。中古も近年のモデルになると高い。うーん... キーボード付きだとシグマリオンVが有名ですが、接続キャリアがDoCoMo以外はだめ。中古でモバイルギアというのもありましたが、こちらは根強いファンが多いのか、古いモデルでも何万円もしました。
Intertop  困ったところで ある日 立ち寄ったリサイクルショップ:ハードオフにあったのが富士通のINTERTOP CX310。OSはWindows CE2.11で、PCカードスロットもCFカードスロットも、おまけにモデムも搭載されていて固定電話回線を使えば問題なく通信できます。中古で税込み\7,350でした。
 しばらくこのまま使っていたのですが、やはり出先でモジュラージャックを探すのが面倒だし、宿泊先で電話回線を使うと不安定だったり、通信費が高かったり。せっかくPHSを持っているので何とか接続できないか、調べてみました。でも富士通が用意したドライバはDoCoMo専用。
 あとはPHSと接続できる通信カードしかなさそうなのですが、SUのMG6550はAirEDGE PHONEとの接続が無理そう。SUNTACのCS64CFだけは接続ケーブルも購入すればAirEDGE PHONEと接続できそう。でも合計\15,000+αは高いっス... オークションにもほとんど出品されないし。
 あきらめかけていたところへ、シグマリオンUと京ポンが接続できるらしいという情報を入手しました。それならINTERTOP CX310と味ポンだって... 某サイトからUSBドライバをダウンロードして...結果、あっけなく接続できました! 64k PIAFS通信レベルでも、56kbpsの3倍くらいの体感速度です。そんなわけで 当初の目的を\7,350でほぼ達成できたので、非常にラッキーだと思っています。(このような有用USBドライバの作者には大変感謝しております)
 レトロチックな作動と表示速度はレジストリ編集で少々速くなり、そう困ることはありませんが、難点はバッテリーが古くなっいて 早めに放電してしまうため、なるべくAC電源が必要なこと。1時間以上の作業では周囲にコンセントが必要なのです。まぁ、これぐらいは我慢しましょう... 新品バッテリー高いし。

 最後にデジタルオーディオプレーヤー。実はまだ買っていません。出張で新幹線に乗ったりするとかなり欲しくなります。でも普段はマイカー通勤なので(田舎ですので..)  それほど使う機会が無さそうです。現在の主力はMD。おこづかい節約のためCDをガンガン買える境遇にない私は ほとんどCDレンタルを利用してMDに落としています。
FILL 7MD  家での音楽鑑賞はパイオニアのFILL 7MD (77MDの旧モデル)というミニコンポにスピーカーのみFILL 9MDのものを接続して使っています。このMDレコーダのSN比が101dB。パイオニア独自のARTISTというシステムが微妙な音楽信号も補完してくれるらしく、私ぐらいのフツー以下のレベルが音楽を聴くには、不満は全くといっていいいほど無いです。
 以前はMP3にも多少興味がありましたが、PCで聴く分には特に問題なくても、デコードしてCDに焼き、このミニコンポで聴いてみると、どうも耐えられない。BGMとして割り切って聞くなら良いとして、繰り返し聴いて半永久的に保存したくなる圧縮方法ではないです。そんなわけで しばらくMD以外の圧縮音源からは遠ざかっていました。でもiPodはかなり良いらしい。もしiPodを購入したら出張や旅行だけではなく、車の中や家でも利用したい。現在のMD以上の音質を求めると、カーオーディオはiPod対応品に買いなおし。家ではD/A変換アンプが必要になるでしょう。もちろん音源のリッピング作業も必要になってきます。うーん、メンドクサイ...
やっぱりお手軽なポータブルMDプレーヤーにしようかな... そんなこんなで先に進んでいないのです。しかしMDの行く末が気になります。Hi-MDも今ひとつ盛り上がらないようですし。

悔恨  (05/03/27)

 いよいよ4月1日から 2輪車の高速道路2人乗り解禁ですね。業界は ここぞとばかりタンデム景気を煽り、需要喚起に尽力しているようにみえます。私自身も解禁は大歓迎。今までは危険だからといって、お上が禁止していたわけですが、これからは私たちライダー自身に その判断が委ねられることになります。

 すみませんが はじめにお断りさせていただきます。心臓の弱い方はこの先をお読みにならないようお願いします。このまま読み進むと気分が悪くなる可能性があります。


 あの忘れもしない交通事故に遭ったのは もう15年ほど前のころです。夏を目前にした、誰もが活動的になる季節、当時私は20代半ばの遊びたい盛り。あのときも男女7〜8人で乗用車2台に分乗し、レジャーに出かけた帰りでした。
快調に走れた往路とは違い、復路は片側1車線の国道が渋滞のためずっとノロノロ運転でした。4輪の場合は渋滞にハマったら あきらめるしかなく、往きと違って疲労感の漂う車内で 私はじっとハンドルを握っていました。
 そんな中、車の左側をさわやかに擦り抜けた1台のバイク。確かVFR400。そのバイクは30〜40km/h程度で走行していたと思いますが、その国道は路肩が1.5mほどは あろうかというほど広く、4輪から見ても危険な感じは受けず、実にさわやかに走っていきました。デートの帰りなのでしょうか、タンデムシートには若い女性。しっかりライダーにしがみついている姿から互いの信頼関係が想像できました。きっと誰もがうらやましがるような あるいは微笑ましさすら感じさせる光景に、私も少しイライラした気持ちが和んだのを覚えています。

 それから20分も過ぎたころでしょうか。渋滞は相変わらずでしたが、10km/hほどでかろうじて流れるようになり、車内の空気も なんとなく多少穏やかになったころ、ふと左前方のガードレール下に人形が放置されているのが目に入りました。
「なんで こんな何でもないところに人形が捨てられているんだろう」と思いましたが、徐々に近づいていくと どうやら人形ではなく、人間ほどの大きさ、いや人間だということがわかりました。顔を上に向けているのですが、ただ寝ているにしては姿勢が不自然です。ガードレールの真下に、カードレールと直角になるように、頭を車道側へ、足をガードレールの外へ向けて仰向けに寝ているのです。しかも女性...
 ノロノロ運転の中、10m手前ぐらいまで近づいて、どうも尋常ではないことがわかりました。 仰向けの女性は目と口を開いています。他には渋滞の列から離れる車はありませんでしたが、私たちは確認のため車を路肩に寄せて停止し車を降りると、そこにはとんでもないことが起きていました!
 ガードレールには衝突痕、ガードレールのずっと外側にはひっくり返って元の形がわからなくなったバイク、ライダーはそのバイクのそばから起き上がっていて呆然とした様子、(大腿部骨折で歩けなかったそうです) 交差する側道の脇には1台のセダンが停まっていて、そして当の女性は あのタンデムシートの女性でした... 女性の脈は弱々しく、目を見開いたまま、呼吸も停止していました。無理もありません、事故の衝撃でヘルメットが脱げてガードレールの上端で頭を強打したと思われ、こめかみの辺りが割れていました...
 私は脈を確認しながら 友人の一人に救急車を呼ぶよう頼みましたが、肝心の怪我人の処置ができず、ただ困るばかりでした。同行していた友人たち、女性陣は恐怖で現場に近づけないようでした。
 怪我人のそばで救急車が一刻も早く到着するように祈っていた時間が1時間にも2時間にも感じました。怪我人の脈はさらにか細くなり、私は何もできない自分に絶望していました。渋滞だったにもかかわらず、現場で停車する車は私たち以外1台も無く、まるで他人事と思っているかのようでした。

 何十分たったのでしょうか、やっと1台の車が停まってくれて看護士だという女性が来てくれたときは もう脈は ほとんどなく、懸命に心臓マッサージをするも、頭の傷と鼻と口から血があふれ出てきて、手の施しようがないように思われました。それからほどなく救急車が到着し、怪我人の女性は病院に運ばれていきましたが、頭蓋骨骨折のため即死だったそうです。
 怖かったろうに、痛かっただろうに、苦しかっただろうに、輝く未来が奪い去られて無念だっただろうに... 私には何もできませんでした... 瞼も硬直してしまったのか、無念のせいか、見開いた目も完全には閉じてくれませんでした... ただ ただ ご冥福をお祈りいたします。私には祈ることしかできないのです...

 想像ですが、渋滞でイラついた4輪セダンの若いドライバーは 後方からバイクが接近しているなんて思いもよらなかったのでしょう、パッと左折して側道へ入りかけたところへ 後ろから来たバイクと衝突、バイクとライダーは勢い余ってガードレールの外に放り出され、そしてタンデムの女性は 短い生涯を閉じました。
 4輪の若いドライバーは 事故後激しく動揺して現場に近づくことができず、離れたところで「うわあ、大変なことをしてしまった!」「どうしよう」「救急車はまだ?」「助かるの? どうなの?」「大変だ、大変だ!」と大声で叫んでいただけでした。
 でも このドライバーの行動を責める資格は 私たちにはありません。私たちがこのドライバーの立場だったら、きっと同じように激しく動揺していたと思います。たとえば飛び出した幼児を轢いてしまったら、平静でいられますか? 確かに第一当事者として怪我人の救済措置をする義務があるわけですが、ごく一般の人には頭ではわかっていても緊急時に冷静に対処するのは難しいように思います。

 バイク乗りであるなら、怪我や事故を一生避けて通る確率は相当低く、その代わり他人の痛みがわかるはずです。他人が困っていたり、苦しんでいたら助け合いましょう。血を見るのが苦手な人もいます。凄惨な現場に動転してしまう人もいます。できない人を責めるのはやめましょう。できる人が助け合えばいいのです。

 それと、この10〜20年で飛躍的に衝突安全性能が向上した乗用車と違って、2輪は全くの無防備。それどころか、ある程度飛ばさないと乗っていて不快な大型車も増えました。
 皆様 どうか軽い気持ちでタンデムを勧めたり、タンデムシートに乗ったりしないでください。運転者は 同乗者の一生を背負う可能性があることを自覚してください。万一の場合は 自分自身が悲しみにくれるだけでなく、遺族の悲痛と無念を受け止めなければならないことを覚悟してください。それができる自信が無ければ、タンデムをやめる選択をする勇気も必要だと思います。周囲がどうであろうと。

 あの事故のライダーも きっと想像もつかないほど重いものを背負い、毎日を生きているのだと思います...


      目次へ戻る