小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2019/02/10

ZZR250日ごろのお手入れについて

ZZR250を長く快適に乗るためのコツやメンテナンス情報です。

新車購入から20年、幸い故障ひとつ無くZZR250を乗り続けてきました。しかし確実に劣化は進み、21年を過ぎると、出先でエンジンがかかりにくくなるなどマイナートラブル、いえ、経年車両らしいトラブルが散発するように。
経年劣化はしかたないとして、できるだけ長く快適に乗り続けるための 私なりのポイントをご紹介します。

愛車の整備(特にDIY)は皆様自身の責任でお願いします。
サービスマニュアルやガイド本も必ず参照してください。
私個人の事例を記載していて、万人にあてはまるわけではないと思います。ご容赦ください。

日常のお手入れ] [たまのお手入れ
          [お手入れ用ケミカル類ほか] [キャブレターの整備

日常のお手入れ

何ヶ月も放置しない

1ヶ月以上乗らないことは避け、最低でも月に1〜2度以上は乗った方がいいです。バッテリー上がり防止はもちろん、ガソリン劣化によるキャブの詰まりを防ぐため。
もしキャブが詰まってしまうと分解清掃することになりますが、整備性が悪く素人の手に負えません。冬場は大変ですが、1度始動したら少なくとも30分以上は乗る方がいいと思います。

なるべくいつもキレイに

カウルやスクリーンはアーマオールなどのつやだし兼保護剤で拭き、タンクは軽くワックスがけ。フロントフォークやメッキボルト頭をメッキクリーナーで磨きます。(放置するとすぐサビます) マフラーやエキパイもときどき汚れをとって、耐熱ワックスを塗っておきます。チェーン清掃と注油も最低1,000kmに1度はしたほうが長持ちします。雨天走行後は必ず注油。タイヤの空気圧チェックも月に1度くらい。エンジンオイル量もときどき点検します。

走行時のポイント

発進時はなるべく回転を上げずにクラッチミートするとクラッチ磨耗防止になります。シフトダウンの際もアクセルをあおってエンジン回転数をシンクロさせます。低回転ばかり使っているとカブりやすいので(特にノーマルのままの状態では混合気がやや濃いので) ときどき7,000rpm以上回すようにすると不意のエンスト防止にもなります。冬場はオーバークールになりがちなのでラジエターにガムテープを貼るといいです。

たまのお手入れ

※各項目の頻度はあくまでも目安です。乗り方や使い方で変わってくると思います。

エンジンオイル交換

>半年毎または3,000km毎

あまり乗らない場合でも1年以上放置するのは良くないです。個人的にはWAKO`Sの4CRか4CT-S、MOTUL 300V、エンジンをよく回す人は粘度が硬いほう(15W-50とか数字が大きいほう)が高回転型エンジンに優しいように感じます。Castrolも高価なものは悪くないですが私の所感では比較的劣化が早いので交換サイクルを早めにしたほうがいいようです。安価なものは避けましょう。いくら安くても4輪用のオイルを入れにないように。(化学合成油でも) すぐにシフトフィーリングが悪化したり、ノイズが大きくなったりします。

エアクリーナーエレメント清掃

>5,000km毎

シート外し エアクリーナーが汚れて目詰まりしてくると低中速域のパワーダウンを感じます。右の写真のようにシートを外し、タンクをささえている金属ブラケットを取り外すとエレメントを取り出すことができます。専用の洗浄剤で清掃した後、専用のオイルを軽く塗布します。


ワイヤー類注油

>1年毎または5,000km毎

クラッチワイヤーやアクセルワイヤーに注油します。
ワイヤーインジェクターを使うと便利。

プラグ交換

>10,000km毎

タンク外し 右の写真のようにタンクを外す必要があるのでプラグ点検すら面倒。タンクを外すにはサイドカバーを外した方がやりやすく、サイドカバーを外すにはグラブバーを外すというビギナー泣かせの構造になっています。面倒なので、交換の際には比較的寿命の長いプラチナプラグか あるいはイリジウムプラグを付けることをお勧めします。プラチナプラグはポン付けだけでOKでしたが、イリジウムプラグの場合はキャブの調整が必要になることがあるので その際は覚悟してください。

ブレーキフルード・ブレーキパッド

>1〜2年毎または5,000km毎

純正のDOT4フルードは1年毎に交換するのが無難です。ビギナーの人はプロに任せるか、1度プロの作業を見てからの方がいいと思います。生命にかかわりますので 放置したり、見よう見まねでイジくるのはやめましょう。フルード交換が面倒な人はDOT3を使っても問題ないと思います。交換が2年毎でもよくなります。

冷却水(クーラント)交換

>2〜3年毎

冷却水交換 ずっと交換しない人もいますが、想像以上に汚くなるし臭くなるものです。換えましょう。アンダーカウルやサイドカバー、インナフェアリングを外すのが面倒なだけ。それほど難しい作業ではないです。慣れてくればエア抜きも含めて1時間ほどで作業終了します。ちなみに3年以上放置すると劣化したクーラント成分が金属を腐食させていく可能性があります。古いクーラントが特にひどく汚れてなくても、強い刺激臭を感じた場合は、エンジン内部の腐食が進んでしまったと考えてもおかしくないでしょう。
サービスマニュアルによるとクーラントの総量は1.0Lと書いてありますが、実際にはなぜか1.1〜1.2Lぐらい入ってしまいます。私のZZZR250だけでしょうけれど。

フロントフォークオイル交換

>5,000〜10,000km毎

Fork Oil こちらもずっと換えない人がいますが、10,000km走行後のオイルの色を見るとびっくりですよ。 また、交換後に少々荒れた道を走ったり、カーブを走ると違いがはっきりわかると思います。 ワインディングが好きだったり、神経質なライダーは5,000km毎に換えたほうが良いでしょう。写真はちょっとしたコツの一例。オイルを抜くときに フツーにドレンボルトを外して そのままサスを上下させると 汚いオイルが勢い良く横方向に飛び出してしまう。そこで写真のようにガムテを貼るだけで横に飛び出さずに下の廃油受けにうまく入るようになります。この方法は冷却水交換のときにも応用できます。これまで周囲に廃液をまき散らしてしまっていた人はお試しください。

サイドスタンドスイッチ注油

>5,000〜10,000km毎または3〜4年毎

stand ZZZR250は他のカワサキ車同様、サイドスタンドを出したまま発進しようとすると ご丁寧にエンジンが停止してくれる機能がついていますが、そのサイドスタンド格納有無をチェックするのが このスイッチです。ビギナーのみならずベテランにもありがたい機構ではあるのですが、経年劣化で このスイッチが固着したりするとサイドスタンドを格納したのに発進できないというトラブルに陥ります。できれば雨天走行後は毎回、雨天走行が無くても数年に一度はこのスイッチ部を清掃し、グリスアップしておくことで このトラブルが防止できます。私はグリスではなくスプレー式のスーパーZOILを使っています。

タイヤ交換

>5,000〜10,000km毎または3〜4年毎

オーナーの使い方で全く変わりますが、TT900GPのようなレース指向のタイヤは5,000km以下、BT39のようなスポーツ走行向けのタイヤは7,000km、BT45のようなツーリング向けのタイヤは10,000kmが目安でしょうか。あまり乗らない人でも3〜4年経過するとタイヤが劣化しサイドウオールとかにひびが入るようになりますので、その時点で寿命だと思ってください。

チェーン・スプロケット交換

>20,000km毎

これもオーナーの使い方で寿命が違ってきます。まめに手入れして20,000kmぐらい、丁寧に乗る人でも25,000kmが限度だと思います。この純正チェーンは手入れしないとすぐサビます。

バッテリー交換

>2〜3年毎

これもオーナーの使い方で寿命が千差万別。エンジン始動時にセルの回り方が弱々しくなってきたらそろそろ寿命です。まめに補充電すると寿命が延びるようですが、充電器が高価ですよね。私の場合は月にだいたい2〜3度の街乗りやショートツーリング、補充電無しという使い方で6年半持ちました。('94年式以後採用されたMFバッテリー仕様です)

各部の注油など

>外装をはずしたとき

タンクやカウルをはずしたときに普段触れないところに気を使ってあげます。シートレールなどの金属部は潤滑浸透剤を塗布したり、ケーブル類被覆やゴム・プラスチックはアーマオールなどのつやだし兼保護剤で拭くと劣化(ひび割れなど)を防止できます。

ラジエーターコア清掃

>汚れが気になってきたとき

熱的に負荷の少ない水冷250ccエンジンですので、放置していても大きなトラブルにはつながらないかもしれませんが、たまには清掃したほうが良好なコンディションを維持できる気がします。 歯ブラシを使って掃除
恥ずかしながら私のZZR250は購入から21年経過した2018年に初めて清掃しました。ガードスクリーンを取り付けているボルトが固着した上に、肝心のラジエーターコアにはホコリが溜まっているばかりか、小石や虫の死骸、経年劣化でその虫の形が失われたぽい謎の炭化物... 丁寧に歯ブラシで撫でているとあとからあとから出てきてキリがありません。あらかた落としたところで終了。

バルブクリアランスの点検と調整


 >20,000km毎あるいはアイドリングや低速域が不調なとき

相当手間がかかるので時間に余裕を見ておくことと、工具はしっかりしたものを揃えておくことをおすすめします。作業手順はサービスマニュアルや、他所の詳しいサイトをご覧ください。
私は手際が悪く、なかなかピストン上死点に合わなかったので、マークをぴたりと合わせるよりも割り切ってカムの向きで判断することにしました。
バルブクリアランス調整 肝心のクリアランスの計測は限られたスペースのため大変やりにくく、長めのシックネスゲージが必要です。調整作業は輪をかけてやりにくいので、専用工具がないとまず諦めざるを得ないこともある上に、ロックナットが奥まったところにあって鏡でも使わなければ見えないため、手探りで作業せざるを得ないことがあります。

私のZZR250の場合、エンジンヘッドOHから約20,000km走行時点で#1の排気側、#2の吸気側が規定値を外れて狭くなっていて、外れてない箇所も規定値ギリギリでした。今回すべて吸気0.10mm 排気0.15mmと排気側をやや広めに合わせてみました。何度もやり直したのでだいぶ時間がかかっています。
作業時間は5時間少々。費用は専用工具とガスケット類、シリコンシーラント、冷却水(LLC)で合計¥10,000程度でした。プロに依頼すると3〜4万円かかってもおかしくないかもしれません。

調整後はアイドリングが安定し、少々薄くなっていたトルクが復活。発進加速がラクになり、中回転域も2気筒らしいパルス感がはっきりとしました。反面、旧世代のカワサキ水冷エンジンらしい賑やかなメカノイズがよみがえり、中高回転域は一段と大きい騒音と振動まで復活しました。でも人間、慣れてしまうんですね。数か月経つとたいして気にならなくなりました。(作業時期:14年7月)

[追記 15/12/06]
騒音と振動だけではなく高回転域のパワーダウンを実感。試行錯誤の末、キャブセッティングがズレたことが原因だとわかりました。少しずつセッティングを詰めていくことで騒音と振動が元のように減少、以前と比べて目立つメカノイズはタペット音だけになってきて、パワーも戻ってきています。
バルブクリアランスを拡げただけなので、よく考えたら大きい振動と騒音はおかしいのに、気づくのがずいぶん遅い私は相当鈍いということ...
通常のノーマル車でしたらこんなことは無いはずですが、私のZZR250の場合、パワーフィルター化や、エンジンヘッドOHの際のポート研磨が想像以上に効いていて、セッティングに敏感になっていると思われます。

                 「はたぼう号のキャブセッティング記録

お手入れ用ケミカル類ほか

   私が使用しているケミカル類の紹介です。

日常のお手入れ用

ケミカル類 右の写真で 左からアーマオール(プラスチック保護剤)、ピカール(金属磨き)、メッキクリーナー、洗車不要ワックス、チェーンオイル、ケーブルグリス、冷却水漏れ止め、CRC556(浸透潤滑剤)、ワイヤワックス(サイドウオール用)です。

たまのお手入れ用

ケミカル類 右の写真で 左から空気入れとデジタルエアゲージ、ワンマンブリーダー、ブレーキフルード、ブレーキクリーナー、スーパーゾイル(エンジンオイル添加剤)、WAKO`S 4CR(エンジンオイル)、エアクリーナーエレメント用洗浄剤とオイルです。


キャブレターの整備

  非常に(非情に?)大変です。覚悟して取りかかりましょう。

キャブレターの同調

ふだん不調を感じていなくても、距離を走っていると意外に狂っていることがあります。私のもまず大丈夫だろうと思っていたのに20mHg〜25mHgの差がありました。(05/7月)
私は半自作バキュームゲージを使って同調をとりましたが、作業性が悪く完璧な調整はできませんでした... なんとか5mg〜10mgの差には収まりましたけど。 それでも作業後は2,000rpm付近のもたつきがほぼ無くなり、アイドリングは抜群に安定しました。1,000rpm以下では若干フラつくので、1,100rpm付近に合わせています。アジャスティングスクリューの微妙な量で負圧の差が変わってくるので、サービスマニュアルにも記載されている通り、自信の無い方は下手に手を出さないほうがいいような気がします。ゲージつけるのもひと苦労ですし。アイドリングが不安定でしたら ショップに依頼するのが無難でしょう。

パイロットスクリューの調整

ノーマルでそのまま乗っている人は触る必要は無いと思います。カスタムする人向けです。

キャブレターまずアンダーカウルを外します。 右上の写真が外したところですが、あれれ?パイロットスクリューはどこ?
本屋さんで売っているメンテナンス本のようにはいきません。パイロットスクリューはキャブレター下側に下向きについているのです! 右下の写真のように、私は手鏡と柄を切り落としたマイナスドライバーそれに懐中電灯を駆使して調整しています。
整備性の良いネイキッドや単気筒車は走行途中でちょっと停まって 手鏡 パイロットスクリューを調整、セッティングが出るまで走ればいいのですが こいつはいちいちアンダーカウルをはずさなくてはならないので大変! エンジン暖気直後から十分暖まったときまで確認する必要がありますし。もしかして忙しいショップだと嫌がってしまうのではないか心配になります。

本格的に調整する方には専用ツールも市販されていますが、キャブレター下側に配策されているクーラントの通路が邪魔で非常にやりづらいです。

過去所有したカワサキ車のトラブル

かつて所有していたGPZ250RとZXR250のトラブルです。参考になれば幸いです。

GPZ250Rの場合

・突然のエンスト:
  慣らし運転をクソ真面目にやって5,000rpm以下で走っていたらカブりました。
・オイル漏れ:
  シリンダーヘッドからオイル滲みではなく、ポタポタ漏れました。
  クレーム修理。
・シフトタッチが硬い:
  オイル代をケチって4輪用のエンジンオイルを入れていたせいです...
・エンジンのかかりが悪い:
  15,000km以上、プラグをノーメンテで過ごしたせいでした。
・エンジンがかからない:
  メインヒューズが突然切れました。
・カウルがガタガタ:
  北海道ツーリングから帰ってきたら妙にカウルが振動する。
  カウルを支えているステーの締め付けボルトが4本ほど脱落していました!
・なんだかハンドルが曲がっている:
  コケてフロントフォークがねじれた..

その後、コケては自力で修正していました。強度が弱かったんです。

ZXR250の場合

・スピードメーター不動:
  納車後 感涙にむせびながら走っていて気づきました。あれ?動いてない。
  新車なのにメーターケーブルが欠品だったんです!!
・シフトタッチが硬すぎ:
  またオイル代をケチって4輪用BPのオイルを入れたせいです...
・クラッチ異音やジャダー:
  低速がスカだったので8,000rpmスタートを繰り返したせい...
・カムチェーン異音:
  ガラガラとすごい音! テンショナー交換しましたがその後再発しました。
・ブレーキがスポンジー:
  ブレーキホース交換後、抜いたと思ってもわずかにエアが残って
  いつまでも悪さをしました。さっさとワンマンブリーダーを買うべきでした。