小さい二輪車ライフ、小さい旅

最終更新日: 2015/04/12

Ninja250(2014年式)ノーマル車インプレッション

2015年現在、乗り始めてから18年が経つ愛車:ZZR250(1997年式)。
手入れしつつ維持してはいるものの、メカノイズはもちろん、振動も乗り味も、あまりに旧くなり過ぎています。
私のバイクライフにぴったりくるのはやはり250cc。
YZF-R25がリリースされ、CBR250R、GSR250Fなどのほか、CB250F、Z250など、以前に比べて250ccロードスポーツの選択肢が増えてきて、個人的に嬉しい限りです。その中でも乗り換えの筆頭候補はやっぱりNinja250。
そこで乗車感を確認するべくレンタル車両を数時間、街乗りにワインディングに高速道路にと連れ出してまいりました。
高速+信号の少ない一般道を合計約70km走り、燃費は26.9km/Lでした。
走行距離6,500km超の、ちょうど調子が出てきた車両ですけど、何度か全開しフル加速も試していますし、満タン法なので参考程度にお考えください。

本当は自分で所有し、長期間つき合ってみないことにはNnja250本来の魅力がわからないと感じてはいます。3時間程度の走行でこんなインプレを書くこと自体、少々ナンセンスかもしれませんけど、興味のある方々、Ninja250RやZZR250オーナー諸兄の参考になればと思います。

総合

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[ジェントルな、上質感のある優等生]
やや少年な味付けが “楽しい” と感じさせた、前モデルのNinja250Rに対し、モデルチェンジされたNinja250は、アグレッシブなルックスとは裏腹に、落ち着いた、オトナな印象です。車体ががっしりしていて、フラつくこともなく、250ccらしからぬ安定感があります。
Ninja250 それに決して遅いわけではなく、静かなエンジンなせいか加速感は少ないものの、低中速のトルクが上乗せされていて、回転数を上げなくてもそれなりに加速していきます。
本領発揮は8,000rpm以上になりますけれど、パワーバンドをキープしなくてもそこそこ楽しむことができて扱いやすい。 実によくできた優等生であり、先代Ninja250Rと比べて格段に安心感が高く、街乗りからツーリング、ワインディングでもワンランク上。
まるで上級車のようです。比べてしまうと誰もが新しいNinja250を選びたくなることでしょう。ZZR250なんて比較対象にすらなりません。

 先代Ninja250Rのインプレッションはこちら

クルージング

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[安定感たっぷりで疲れにくい]
先代Ninja250Rと異なり、エンジン特性がかなりフラット。4,000rpm以下になっても再加速できるトルクを備えています。低速域ならば3,000rpmを切っても実用的なトルクを発揮してくれます。決して急かす性格ではなく、穏やかです。
また、全くフラつく挙動を見せないしっかりした車体と相まって、安心感が高く、走りにゆとりがあります。遅い四輪の後ろをついて走っていても全然イライラすることがないのはすばらしい。
乗車ポジションはNinja250R同様、上体が起きたリラックスできるポジション。周囲の景色も程よく視界に入る上に、滑りにくいシートの効果もあってか、ちょうど良い具合に尻と脚と腕に体重が分散され、快適なツーリングを楽しむことができます。
“刺激” という点ではあまりにも物足りない気がしますけれど、Ninja250はオトナなバイク。意外に中高年に向いているし、穏やかな性格の若者にも合うことでしょう。

道を間違えたときのUターンでもフラつくようなことがなく感心します。ただしハンドルを切ってフルロックになるとタンクとの隙間が狭く、アクセル操作が実質できなくなる点。もう少し舵角を減らして隙間を広げると何も言うことはありません。

高速道路

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[余裕は少ないが快適]
100km/h+αまでの速度域ならば、250ccにしては十分な加速力があり、速さを求めなければ不満を感じることも少ないはず。欲を言うともう少し吹け上がりが早ければと思ってしまいますが、実質はきちんと速度が上がっていて遅くはありません。100km/h巡航では約8,000rpmであり、ちょうどパワーバンドに入るところ。うまく設定されているようです。
カウルのスクリーンがずいぶん小振りで防風効果なんて無さそうですけれど、きちんと役目を果たしてくれていて、胸の下あたり〜腹に当たる風を防いでくれます。
Ninja250
さらに上の速度域になると徐々に余裕が無くなり、アクセルをワイドオープンしても風圧に負けてしまうかのような感触を受けるようになります。どう頑張ってみても大型バイクのハイスピード巡航にはついていくことはできないでしょう。
先代Ninja250Rはわかりませんが、ZZR250のトップスピードよりも確実に劣ります。もっとも、水冷2気筒エンジンの250ccとしては十分な動力性能ですし、低中速トルクがそこそこ充実しているので贅沢は言えません。とはいえ、高速域でも不安定な挙動を全く感じさせない安心感たっぷりな車体に加え、やる気満々なルックスと、穏やかなエンジン出力とは少々アンマッチな感触があり、惜しいと思ってしまいます。

ワインディング

おすすめ度 <☆☆☆☆ >

[安定感が高く、最も個性を感じるシーンだが好みが分かれそう]
凡庸な250ccとは一線を画す安定感に驚かされます。先代Ninja250Rとは別格です。カーブへのアプローチも全然別物。先代Ninja250Rが軽量車な操作感でスパスパ倒していく走り方なのに対し、Ninja250はじっくり構えて舵角を読み、腰を入れてリーンするとセルフステアがバッチリ決まります。何だか重量級の車体を操っているような感触でもあります。ライダーが積極的に操作することで応える特性であり、慣れてくるとこれが実に具合がよろしい。スムーズなエンジン特性と安定感たっぷりな車体のおかげで、不安なく楽しむことができます。レンタル車両に装着されていたIRC RX-02のグリップも良好。速度を上げていくと跳ねるようになる安っぽいリアサスも、車体がうまくカバーしてくれます。
飛ばさなければ難しく考えることは何もなく、スイスイ曲がってくれますので、流すような走りかたも全く問題ありません。低速域でも正確なセルフステアがついて抜群に安定しています。
ただし思わずオーバースピードで突っ込んでしまったときなど、フロント加重のままではうまく曲がりません。慌てずに肩の力を抜き、腰を入れるようにすればいいのですけれど、ビギナーがパニックになったときなどは「曲がらねー」と感じるかもしれません。

Ninja250 一方、ペースを上げていくとNinja250ならではの個性が出てきます。
今回レンタルした車両だけなのかもしれませんが、250ccらしい鋭い突っ込みをしようとすると、ブレーキレスポンスがやや鈍い上に、フロントに加重が残っている状態では少々アンダー傾向。そこで思わずアクセルオフのままでいると、エンブレがやや強めで失速、かつセルフステアがやや強いほうなため、今度はオーバーステア気味になります。ではアクセルを開け続けていればいいかというと、安定感の代償か、ステアリングまわりが粘っこく、旋回中のライン変更がワンテンポ遅れるので無理がきかない。
なので、常にアクセルを開けつつもクリップまでは我慢し、クリップ付近からアクセルを思い切り開け、リア加重に移ると同時に腰を入れてリーンするという大型車的なスタイルが合っているようです。もっとも、アクセルオンで車体が起きることはなく、前へ進む勢いも穏やかでコントローラブル。本気で飛ばそうとするとなかなか難しく、走り堪えがありまする。このあたりがツアラー的でもあり、最も個性的な味付けでもあると思います。
個人的にはもう少し安定感を削いで振り回せるようにしたいところですけれど、ビギナーも多い250ccクラスに多くを求めるのは酷でしょう。

街乗り

おすすめ度 <☆☆☆  >

[やや鈍重な面も見せるが扱いやすく、ストレスは少ない]
安定感の高い車体は市街地に移っても、そのまま疲れにくさにつながっています。低中速トルクが確保され、メカノイズが少なく静かで、流れが遅くてもイラつかないエンジン特性のおかげで、ストレスが少ない傾向です。
もっとも発進のときなど、2気筒にしては充実した低速トルクに慢心してエンジン回転をあまり上げずにぼんやり走っていると、実際は速度が乗っておらず、周囲に遅れをとることになります。回さない走り方だと単気筒の250TRのほうが断然速い。このあたりは好みが分かれるところでしょうが、Ninja250で市街地を走っていても、持てる性能をあまり生かせないように感じます。

Ninja250RやZZR250から乗り換えるとしたらどう?

どこかおもちゃっぽいNinja250Rとは違い、質感のある車体はツーリング適性も高く、ベテランライダーも満足することでしょう。旧いZZR250は比べることすら意味が無いような気がします。
Ninja250は先代Ninja250Rの延長線上には無い安定感を持っています。ピンと来ないかもしれませんが、Ninja250は先代の正常進化型ではなく、ZZR400のダウンサイジング版といってもいいかもしれません。
高速域でも一切不安のない、芯のあるフレームと扱いやすさはそのままに、軽量化しつつ低重心化。グラリとくるようなこともありません。乗り心地が良いのに高剛性でコンパクト。そこへ従順でトルク豊かな2気筒250ccエンジンを積んだと思えばよろしい。
しかも完全に意のままになる優等生ではなく、ZZR400のクイックでない、やや粘るような落ち着いたツアラーらしいハンドリングが再現されているかのようです。
安心感の反面、250ccならではの軽快さや “楽しさ” が薄れたのは隠せず、だからこそ2015年リリースのNinja250 SLに軽快さを任せ、Ninja250は迷うことなく落ち着いた方向にシフトできているのかもしれません。

ところで私は乗り換えるのかって?
ううー、難しい質問ですねえ。先代Ninja250Rよりとっても魅力がアップしたように感じますが、手を入れるところが少なく、愛着が湧くかどうか不安です...
完成度が高いのでカスタムするとバランスが崩れそう。
緩い前傾姿勢も、前よりのステップも、ワインディングでの後輪加重のためでしょう。バックステップを入れてハンドルを少しでも下げようものなら、後輪加重しにくくなって曲がりにくくなるかも。
それならばとリアを少し持ち上げると、バランスが崩れて正確なセルフステアに影響が出て安心感が減るかもしれません。

最大の問題点が “楽しいのか” という点。あまのじゃくな私にとって、完成度が高い車両は、短期間ならばそれで良くても、いずれモアパワーを求めてしまい、飽きてしまわないか心配になってしまいます。