題 名 |
見た日・製作国・監督・俳優 |
感 想 |
麦の穂をゆらす風 |
07/01/02 アイルランド イギリス フランス
ケン・ローチ監督
キリアン・マーフィー ポードリック・ディレーニー リーアム・カニンガム |
アイルランド南部の町で、医者を志す青年はロンドンでの勤務がきまり、イギリスには勝ってこないと言い、アイルランドを離れようとしていた。しかし、その出発の日、駅で見た光景が、彼の気持ちを変える。
イギリス兵士を列車に乗せることを、駅員、運転士、車掌が拒否。彼らは兵士に手酷い暴力を受けるが、断固として態度を変えず、兵士たちに乗車をあきらめさせたのだ。
医師になる道を捨て、兄とともにアイルランド独立をめざす戦いに身を投じることを心に決める。そして、敵味方の沢山の人を殺して、イギリスを追いつめた。
イースター蜂起という独立のための闘いを指揮し、捕らえられて処刑されたジェームズ・コノリーの演説の一節を獄中で仲間が語る場面があった。
「明日、イギリス軍を追い払い、ダブリン城に緑(アイルランド)の旗を掲げようとも、社会共和国を組織しない限り、我々の努力は無に帰する。イギリスは、その資本主義者を通して、その地主を通して、その金融家を通して、彼らがこの国に植えつけたすべての商業的で個人主義的な制度を通して、私たちを支配し続けるだろう」
この一節が予言するように映画のなかでも、講和条約の成立が、形骸化した「独立」か、真の独立を目指すかという点で闘ってきた人々の間に亀裂をもたらす。
アイルランドは「アイルランド自由国」が認められたが、北部6州(北アイルランド)は帰属を選択し、英国統治下になったうえ、「自由国」も議会は英国国王への忠誠を誓うという骨抜きの「独立」になった。
兄は、自由国派、弟は独立は、勿論、自由国派が優勢となり、弟は、兄に捕まり、仲間の名前、武器の隠し場所を言えと責められるが言わない。
結局、処刑されてしまう。兄は、弟の遺書と遺品を恋人に、届ける。
「麦の穂をゆらす風」はアイルランドの伝統歌の名曲からとっている。この曲は、イギリス支配への抵抗を歌う代表的な曲で、詩人ロバート・ドワイヤー・ジョイス
の詞に、アイルランド独立を掲げていた青年アイルランド党のメンバーが曲をつけた。19世紀後半から広くアイルランドで歌われるようになり、アイルランド抵抗のシンボルとなった。
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硫黄島からの手紙 |
07/01/03 アメリカ
クリント・イーストウッド監督
渡辺謙 二宮和也 伊原剛 加瀬亮 中村獅童 |
硫黄島の戦いを、日本側から描いた。硫黄島でアメリカ兵と死闘を繰り広げた栗林忠道中将指揮による日本軍と祖国に残された家族らが描かれる。兵隊達も同様に描かれている。
ストーリーはタイトルとなっている栗林中将が家族へと向けた手紙を基に展開される。
監督は当初、日本人を起用する方向だったが、資料を集める際に日本軍兵士もアメリカ側の兵士と変わらない事が解ったと云うのが理由で、イーストウッド本人が自らでメガホンを取る意志を固めたという。日本人同士は、日本語の会話。
ほとんど日本語の映画である。
今まで、言われてきた事とは異なり、統制が取れていない、言うことを聞かない軍隊があり、指揮者、兵隊がある。これが普通と思う。
栗林中将、西中佐以外は、かちかちの典型的な将校として描かれている。兵隊は、何とか生きて帰りたいと言う兵隊が描かれている。少し極端だが、この方が自然と思う。
栗林中将が、硫黄島を、自分の意志で、部下をぞろぞろ連れずに、歩き回る。多分、本当の事と思うが、合理的な指揮官。
栗林中将は、最後に、切り込みをして、死ぬと描かれている。突撃切り込みではなく、ゲリラ戦のように、忍び寄っての突撃として描かれている。
最近の新聞を見ていると、栗林中将は、ノイローゼだったとか、部下に殺されたとか、と出ている。そう言うこともあり得ると思う。しかし、地下に潜って抵抗したことは、結果として、正解と思う。
1.5ヶ月もった硫黄島は、部下に反対された、地下に潜った事によると思う。敵に勝つ、やっつけるが目的ではなく、如何に長く抵抗するかの回答が、地下に潜った事だと思う。 |
武士の一分 |
07/01/03 日本
山田洋次監督
木村拓哉 檀れい |
三村新之丞は、近習組に勤める下級武士。毒見役という役目に嫌気がさしながらも、美しい妻・加世と中間の徳平と平和な毎日を送っていた。
ある日、毒見の後、新之丞は激しい腹痛に襲われる。あやうく一命はとりとめたが、高熱にうなされ、意識を取り戻した時は、視力を失っていた。
調理上のミスで、不穏なことはなく、毒味役は、上司1人の切腹で終わるが、新之丞の処分が決まらない。親類に言われて、加世は、いつでも相談に乗ると言われていた、上級武士・島田に相談に行き、手込めにされてしまう。
新之丞の処分は、今まで通りで、体を厭えと言うものだった。加世は、島田の工作の結果と思い、不義を続ける。
人の世話なしで生きられなくなった自分を恥じ、一度は命を絶とうとしたが、加世と徳平のために思い留まった。ある日、加世が外で男と密会しているという噂を聞く。新之丞は徳平に尾行をさせ、加世が上級武士・島田と密会していることを知る。
調べてみると、藩の処分は、藩主の判断であり、島田の工作ではなかった。
新之丞は、加世をだました男が許せず、加世を離縁して、島田と対決する。そして勝つ。
そして、加世を許す。江戸時代は、
面目が立てば、男女関係も大らかだったようだ。
妻の手を握る場面が良かった。2つか3つ、あった。目が見えないから当たり前か。
この映画は、中間で持っていると言う。
中間徳平が、主人の面倒をよく見、離縁された加世の面倒を見て、活躍している。原作もそうかしら、かと思う。1度、原作を読んでみよう。
映画のように活躍した、雰囲気はない。ただ、加世
を女中として雇っている。また、良く手を握る場面が多かったが、原作も、目が不自由だから加世は旦那を努めて触った。
アルト・ハイデルベルクを思い出した。 |
長い散歩 |
07/01/13 日本
奥田瑛二監督
緒形拳 高岡早紀 杉浦花菜 |
主人公、安田松太郎は、高校の校長を定年退職した厳格な教育者。
しかし、幸せな家庭を築けず、アルコール依存症だった妻を亡くし、一人娘から憎しみをかっている。人生に悔恨を背負ったそんな初老の男が、家を出て、アパートで一人暮らしを始めた。
そこで、一人の天使に出会う。隣室に母親と二人で暮らしている5歳の少女。ボール紙で作った擦り切れた羽根をいつも背中につけた地上の天使は、母親に虐待され、誰にも心を開けなくなっていた。
少女は、隠れ家を持っていた。隠れ家を見つけた松太郎は、次第に少女と仲良くなり、ある日、一緒に旅に出る。
行く先は、松太郎の遠い記憶の中にある心のユートピア。娘も幼く、幸福な家庭であった頃行ったことのある、青い空に白い雲がぽっかりと浮かび、大きな鳥が悠然と空を舞う、ある山の頂きだった。
こうして心を頑なに閉ざした少女と、妻への贖罪の念を背負った男の旅が始まった。虐待によるトラウマで心を閉ざし何事にも反抗的な少女も少しずつ心を開け、名前を名乗るようになった。幸 さち と言った。
幸の母親は娘が誘拐されたと、警察に届け出る。捜査の網の目は次第に彼らを追い詰めて行く。
途中、バックパッカーの青年に出会う。ワタルと名乗る青年はしばしの間、彼らと旅を続ける。幸の心をつかみ、彼女が笑顔を見せるほどになったことに対し、安田はワタルに礼を言う。
心に傷を持つワタルは、自殺してしまう。捜査の網の目は次第に縮まるが、旅を続け、遂に、青い空に白い雲がぽっかりと浮かび、大きな鳥が悠然と空を舞う、山の頂きに到達。
旅の描き方から、昔見た「砂の器」を思い出した。ただ歩くことを、丁寧に描写。
旅は終わり、服役が終わり、刑務所出所。少女と出会った幻想を抱いて、とぼとぼとあるく松太郎。この場面は「第三の男」のラストシーンが思い出された。
親殺し、子殺し、兄弟殺し、それに加えて、遺体の切断。行為は異常と思われるが、本人は、異常な性格ではないと思う。ごく普通の人間と思う。自分と同じ程度の人間と思う。
この映画も、何処でも、多少抱えている問題を扱って、世の中の、人間の矛盾、行き違い、思うことと結果の相違などを描きたかったのだろうと思った。 |
赤い鯨と白い蛇 |
07/01/18 にほん
せんぼんよしこ監督
香川京子 浅田美代子 宮地真緒 坂野真理 樹木希林 |
世代も生き方もまるで異なる、5人の女性たちの出会いと別れを、描いている。亡くなった人も記憶の中では生きている。「私が忘れたら、あの人は二度死ぬことになる」という想いは世代から世代へと受け継がれ、新しい時代を切り拓いていくことだろう。
そう言う思いを、古い茅葺きの家を中心に、女だけで描いている、女の監督の映画。
老境を迎えた保江は、かたときも携帯電話を手放さない孫娘・明美に連れられて息子夫婦の家に向かう途中、まるで引き寄せられるかのように、かつて戦時中に疎開していた館山の古い茅葺きの家を訪れた。
そこには、この家の持ち主である女性・光子が、小学生の娘と二人、姿を消した夫を待ちながら暮らしていた。
その家を以前に借りていた女性、詐欺まがいのセールスで、客から逃げまわる生活を強いられている、美土里も現れる。
以上で5人の女が集まった。
歳を重ね、次第に記憶が心もとなくなった保江は、「遠い昔の大切な約束を確かめるためにここに来た」と明美に打ち明ける。
保江が唐突に「この家には150歳になる白い蛇が住んでいて、その蛇と話をすると幸せになれる。昔話をした」と言い出す。そんな保江に美土里は呆れるが、里香も「私、見たことある。白い蛇を…」と言う。
記憶を辿るように白い蛇を探す保江の脳裏に、少しずついろいろなことが思い出されていった。そして、「青いお月様の夜、水神様の前に立っていたら白い大きな蛇が目の前にいて、足がすくんで動けなかった。そのとき、『自分に正直に…』という声が聞こえたのだ」と話す。
次第に、思い出すことが増え、遂に、父親が埋めた、死んだ海軍士官の本などを探し当てた。
そして保江の脳裏の奥に焼きつく記憶がひも解かれるにつれ、それぞれが背負う人生の一端も明らかになっていく。
光子は、失踪した夫と決別するため、この家を壊そうとしたが、夫かららしい電話などあり、家の壊しは止める気になる。小学生の娘は、父の思い出の詰まっているこの家が大好きだ。そして、父を待っている。
美土里は、好きなことを言って、勝手に帰ってしまう。この女だけ、どうなるのか判らない。かき回して消えてしまう。
保江は、遂に、海軍士官を思い出し、「自分に正直に・・・」と言ったのは、この人だった。そして、自分に書き残した手紙を見つける。
沖合を行く潜水艦は、赤い鯨と言って、話をした事を、全部思い出し、孫娘に話すのだった。
孫娘の妊娠も知っていた。授かった命を育てろと言う。
孫娘は、東京に戻ろうという。
1年後、孫娘が、子供と、この地方の祭りを見ているところで幕となる。
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愛の流刑地 |
07/02/03 日本
鶴橋康夫監督 豊川悦司 寺島しのぶ 長谷川京子 仲村トオル 富司純子 |
ある日、一人の男が逮捕された。ベストセラー作家、村尾。情事の果てに女を殺したのだ。愛して居るから殺したという村尾。担当の女検事、織部は困惑しながら真相を追っていく。
村尾は長年のスランプに悩まされていた。妻と別居して10年以上経ち、今は大学の講師で生計を立てていた。ある日、取材に出掛けた京都で、冬香に会う。
一目で恋に落ちた二人。村尾は冬香と数時間の逢瀬のために京都へと通った。夫と子供を持つ従順な女であるが、愛することがなかった冬香は、最初はためらうが、村尾との逢瀬を楽しむようになる。
そして、情事に絶えられなくなった冬香は、首を絞めて欲しいと言うようになる。
裁判が始まる。村尾の仕事を持つ妻との不和。冬香は、3人の子を持つが、会社人間、エリート社員の夫との愛のない生活。そう言う中での思い切った情事だった。
最後は、死あるのみであった。現在の、利益追求一本槍の社会の中で、男女の愛はどうあるべきかの提案である。
役者の演技力は感心する。 |
魂萌え |
07/03/01 日本
阪本順治監督
風吹ジュン 三田佳子 加藤治子 寺尾聰 |
あなたの妻でいて、幸せでした。今、私のもうひとつの人生が、始まります。 関口敏子、59歳。定年を迎えた、夫婦の話。毎週木曜日蕎麦打ちの勉強に出掛ける夫が63歳で、心臓麻痺で死ぬ。
夫の携帯電話にかかってきた知らない女の、知らなかった10年来の夫の女の電話。親類からは、心臓の弱いことも判らなかったのかと責められ。8年ぶりに現れ強引に同居と遺産相続を迫る長男。長女の結婚問題。問題山積み。
平凡なサラリーマンの妻が、矢継ぎ早に迫ってくる孤独や不安に、恐る恐るではあるけれど立ち向かって行く。妻でもない母でもない一人の女として、新たな人生を切り開く決意を固める。初めての体験に挑戦し、世間と格闘しながら、もうひとつの人生を見つけ、確かな変貌を遂げていく。
自分のケータイと予定表を持ち、家出し、情事もやり、飽きて直ぐ別れあり、同級生との交わり、夫の女との対決、風呂婆さんとの関わり、など、余り悩まずに展開する。
最後は、遠い所に墓を建て、自分が死んだら、海に撒いて貰うと言い、家を出てマンション暮らし。映画技師の生活を始める。
この映画、年配の女達に人気があるようだ。若い人、男の観客は僅かだった。
自分たちの家庭に似ている主人公の生き方を見て、自分の生き方を確認したかったのだろう、と思った。 |
赤線地帯 |
07/03/11 日本 1956年
溝口健二監督
三益愛子 京マチ子 木暮実千代 若尾文子 町田博子 |
時代は売春禁止法が審議されていた1950年代。
場所は東京,吉原の一娼家「夢の里」である。中心人物はこの娼家で働く娼婦5人。
そして息子を溺愛し,裏切られるユメコ。
父親への復讐から吉原に来たきっぷのいいミッキー。
結核の夫と乳飲み子を養うために働くハナエ。
この娼家一番の売れっ子で,金の亡者のヤスミ。
結婚を夢見て失敗するヨリエ。
それぞれの娼婦をめぐる物語が、淡々と語られていく。この映画では彼女たちに降りかかる悲惨な事件と共に、彼女たちのふてぶてしさも描かれ、彼女たちを肯定も否定もせず非感傷的にとらえている。
最後は、新人の女が、小さい声で、「ちょいと兄さん」と戸を指で叩いて声を掛けるところで終わっている。 |
ルワンダの涙 |
07/03/11 イギリス ドイツ
マイケル・ケイトン=ジョーンズ監督
ジョン・ハート ヒュー・ダンシー クレア=ホープ・アシティ |
事件に遭ったヨーロッパ人の目を通して、100万人が殺されたルワンダ虐殺を描いている。
映画「ホテル ルワンダ」もあった。これよりも強烈な描写だった。色々な登場人物の心の動き、と、人をナタで殺す描写。
虐殺事件の舞台のひとつであった公立技術専門学校を舞台に、事件に巻き込まれた学校長のカトリック教神父と海外青年協力隊から派遣された青年教師。
人生の大きな選択に迫られる、誰の心をも動かさずにはいられない怒りと哀しみに彩どられた衝撃の問題作である。 |
ラストキング・オブ・スコットランド |
07/04/04 アメリカ イギリス
ケヴィン・マクドナルド(監督)
フォレスト・ウィテカー ジェームズ・マカヴォイ ケリー・ワシントン |
1971年のウガンダ。国民は、ひとりの指導者の登場に熱狂した。その名は、イディ・アミン。 ヘビー級のボクシング・チャンピオンとして名声を築きあげたのち、軍人として数々の手柄をあげた国民的なヒーロー。
類い希なカリスマ性と強いリーダーシップ、そして溌剌としたキャラクターで民衆を魅了した彼は、独立まもないウガンダの未来を託すのに最もふさわしい人物として、国外からも幅広く支持され、期待を集めた人物だった。
スコットランドの若い医者、ニコラスが、人助けの理想に燃え、クーデター直後のウガンダにやって来るところから始まる。
偶然にもアミンの怪我の手当をしたことが縁で、大統領の主治医に任命されるニコラス。さらに相談役に取り立てられた彼は、アミンのフランクな人柄に惹かれ、彼と共に新しいウガンダを建設する仕事に満足を覚える。
ニコラスの知らないところで、抵抗勢力の反撃に怯えるアミンは、大規模な粛正を進めていた。そのことにようやく気づいて帰国を申し出るニコラスだったが、もはや彼は後戻りできないほど深みにはまりこんでいた。
パスポートをとりあげられたあげく、英国の外交官からも見放されたニコラスが、自由になれる唯一の手段はアミンを暗殺することだけ。
意を決した彼は、空港へ向かうアミンに一服の頭痛薬を手渡すのだが、失敗。
しかし、ウガンダの若い医師に助けられ、脱出する。
ストリーはフィクション。ただ、同様な人物は居たようだ。アミンは、30万人の同胞を殺した。
この世界には、ルワンダ、ウガンダ以外にも、同じようなことが起こっているようだ。 |
さくらん |
07/04/04 日本
蜷川実花監督
土屋アンナ |
華やかな江戸時代の吉原遊郭を舞台に、8歳で吉原に売られ、やがて伝説の花魁(おいらん)となった女の生き様を描く。
赤を主体にした、鮮やかな色の映画。
一本気の強気な吉原の女。本来、不幸な女のはずが、不幸は描いてない。こういう映画も良いのかなと思う。
ちょっと前に、溝口健二の赤線地帯を見たところだった。此方は、淡々と赤線の女の日常を描いている。 |
ブラックブック |
07/04/14 オランダ ドイツ イギリス ベルギー
ポール・バーホーベン監督
カリス・ファン・ハウテン セバスチャン・コッホ トム・ホフマン ハリナ・ライン |
オランダで、ナチスとレジスタンスの仲介役となった弁護士がおり、彼がブラックブックを残したが、戦争が終わった直後に殺され、ブラックブックも不明となったという。
そのブラックブックと実存下人物を組み合わせ創作したという。
思いやりのあるナチスの将校、レジスタンスの仲間の裏切りなどからませて、カリス・ファン・ハウテン演じる、ユダヤ人の女エリス、色気と歌で、ナチスの中へ潜り込み、たくさん死んで、自分も死に損ないしながら生き延びる。
セバスチャン・コッホ演じる、ナチス将校ムンシェ。エリスがターゲットにした男、好きになってしまった男。
トム・ホフマン演じる、有能なレジスタンス。映画の始から最後まで活躍する。
ハリナ・ライン
演じる、エリスの友、ナチス将校の女ロニー。何処にでもいる女。
戦後、数年経って、エリスとロニーが再会し、エリスが回想することで話が進む。最後に、本当の裏切り者が判明する。
この映画を含め、ナチスは悪、と決めつけず、事実を淡々と描いている。
どこかの総理大臣が、「慰安婦は強制していない」と喋ったが、強制している事実が、次から次へと出てくる。
また、法律のように文章にした資料など、出るわけがない。そのように、上層部が思っていれば、思惑通り行動するのが、部下の習性だ。
それと同じだ。映画の描く方を信じる。よいナチス、レジスタンスの裏切り、共に本当と思う。
エリスが、自転車に乗せて貰い、悪いこと(偽のパスポート)をしに行くとき、隊列を組むドイツの兵隊に、立派な腿をスカートをめくって見せる場面がある。これも本当だと思う。
最後に、エリスを迎えに来る二人の子と夫、手を繫ぎ去っていく映像で終わる。これも本当と思う。 |
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07/04/21 日本
澤井信一郎監督反町隆史 菊川怜 若村麻由美 Ara
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大モンゴル帝国を築いた男、チンギス・ハーンの話。
規模の大きなロケをしたようだ。戦闘シーンは、物量が凄い。内容は、一般に知られている内容だ。
Ara という女優。きれいな人。綺麗な女優さんを見て。楽しんできた。 |
眉山 |
07/05/31 日本
犬童一心監督
松嶋奈々子 大沢たかお 宮本信子 |
東京で働く咲子は、ある日、故郷・徳島で暮らす唯一の家族である母龍子が入院したという報せを受け、久しぶりに帰郷する。
龍子は言いたいことをはっきり言うチャキチャキの江戸っ子だったが、咲子は何事も娘に相談なく勝手に一人で決めてしまう母に反発を感じていた。しかしその母が末期がんだと医師に告げられてショックを受ける。
そして死んだと聞かされていた父が生きていることを知る。父を探しに東京に戻った咲子は父母の切ない恋の物語を知る。
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ドレスデン、運命の日 |
07/06/12 ドイツ
ローランド・ズゾ・リヒタ−監督
フェリシタス・ヴォ−ル ジョン・ライト ベンヤミン・サドラ− |
被害者と加害者の糾弾ではなく、双方の“和解”と“反戦”を目的として制作されたという。
ひとりの英雄にスポットをあてた作品ではなく、戦争被災者である一般市民の視点で描かれている。
主人公の3人が織り成す波乱に満ちたラヴ・ストーリーは、戦争という時代の波に翻弄される恋人たちを描き、英国軍兵士と主人公アンナの関係にはこの映画の重要なテーマである“和解”のメッセージが込められている。
第二次世界大戦末期の1945年2月。ドイツの文化と芸術を誇る美しい街ドレスデンにも激しい戦争が近付いていた。
看護婦のアンナは、病院に隠れている兵士ロバートを見つける。アレクサンダ−という婚約者がいるにも関わらず次第にロバートに惹かれていくアンナ。しかし彼は追撃されて負傷した敵兵である英国兵だった。
薬をくすね、外国に出ようとする、病院長の父。ナチに協力的な妹。たたき上げで、アンナの父に取り立てられた有能な、そして、時の勢いに流されるアレクサンダ−。を絡めて話は進む。
最後、聖母教会の復興、ロバートがイギリスからドレスデンに帰る途中、飛行機事故で死んだと、アンナの語りがあった。
私達の岡崎でも、、B29、1機が撃墜されている。1人のみ生存し、戦後、アメリカに帰ったという。
病院の大部屋で、女の方がやってきて、患者が寝入っている間に、SEXする場面があった。他の映画でも、同じ場面を見たことがある。戦争状態では、好きな男の子を作っておこうという気があるのだろうか。作者の想像とは思えない。
父親達の星条旗、硫黄島からの手紙、ブラックブック、と共に、
このように考え、このように行動したんだなと納得した映画だった。
威張り散らす、偉そうなことを言う、証拠はない、公文書は残っていないので、ので真実ではない、等と言うことは感じられない映画だ。 |
シューター |
07/06/13 アメリカ
アントワン・フークワ監督
マーク・ウォールバーグ |
元海兵隊の狙撃手は、一線を退き、広大な自然が広がる山奥で隠遁生活を送っていた。しかし、退役した大佐が彼のもとを訪問し、大統領暗殺計画が発覚したため、力を借りたいと言う。ところが、それは巧妙に仕組まれた罠だった。
優秀な狙撃手と、進歩した銃器の絡んだ映画。
面白く見てきた。 |
女帝 |
07/06/13 中国
フォン・シャオガン監督
チャン・ツィイー グオ・ヨウ ダニエル・ウー ジョウ・シュン |
父を殺し母を奪い王位を簒奪した叔父を討ち復讐を果たす。ハムレットと同じ内容です。
チャン・ツィイーは、母の役。
例のワイヤーで吊ったアクションの映画です。
チャン・ツィイーの役は、こんなのが多い。芸の幅が膨らむのかな?
面白く見てきた。 |
ルオマの初恋 |
07/08/04 中国
チアン・チアルイ監督
リー・ミン ヤン・チーカン シュー・リンユエン リー・ツイ |
原題は「ルオマの17歳」。この方が良かった。 中国雲南省のエレベーターに乗りたいという17歳の少女の初恋物語。
標高2000mの「ハニ族の雲のはしご」といわれる棚田
、少女のおばあちゃん、に囲まれ、毎日、とうもろこしを売っている。
金のない写真家の若者からの、トウモロコシ代のウォークマンが、文明の利器。友達から聞いたエレベーターが憧れの乗り物。
少数民族の衣装を着て、お金を取って、写真を撮らす事を思いつき実行する。観光客として、日本人と日本語が出てきていた。
金儲けするが、おばあちゃんに反対される。やがて、その儲けもなくなり、青年は、都会に戻るという。少女に一緒に来いという。
おばあちゃんは、卵5個とお金を用意してくれた。結局、少女は、行かなかった。そして、もう、都会へは行かないと言うまでになる。
若者は、都会で成功し、少女の写真の載った写真集を送ってきた。少女は、何時ものように、トウモロコシを売っている。
日本にも、このようなおばあちゃんがいたが、今は、居なくなってしまった。 |
シッコ |
07/09/05 アメリカ
マイケル・ムーア監督 |
アメリカの国民皆保険ではない、医療保険制度を辛辣に批判し、取り上げている。
9・11で、ボランティアで片付けに駆けつけた人びとが、喘息などの症状を引き起こした時、政府は、自分たちが頼んだのではないので、関係ないと言ったそうだ。
また、保険会社は、色々理由を付けて、保険を払わないんだそうだ。目に余る利益追求だそうだ。
皆保険のイギリス、フランス、カナダの紹介をしている。アメリカには住みたくはないと紹介。
社会主義国キューバの紹介。薬代が何十倍も違うんだそうだ。キューバの医師は、金儲けのためには、国を出ないんだそうだ。
我が国の介護の話題、妊婦のたらい回し、医師の都市集中、保険料の値上げ、医療費の切り下げ、完治しないのに病院からの追い出し、すべて効率化、利益第一の考えからだ。アメリカの真似そのもの。
今の日本は、昔、総評、今経営者。横暴きわまりない。
社会保険が悪いのは、組合が悪かった。野党のあの人が、厚生大臣の時、このように悪くしたんだ、という、総理大臣が居る。
アメリカと日本は、根は同じ。悪いところだけ、真似しているように見える。
30年前、イギリスに留学していた友が、イギリスの田舎の人種差別を口に出した。いま、どうなって居るんだろう。 |
ふみ子の海 |
07/11/03 日本
近藤明男 監督
鈴木理子 高橋恵子 藤谷美紀 高橋長英 |
盲目の少女の按摩修業の物語。「海がきれい」と言いながら、母に抱かれて入水するところから始まる。
目の見えない少女の心に差し込む光に入水を諦め、生きる親子。しかし、生活は苦しく、病身の母を見かねて、按摩修業にでる。
後は、苦労の連続だが、先輩、盲学校の先生、芸者、麩の親爺などに助けられてうでをあげていく。意地の悪い按摩の師匠も、だんだんと、応援団となる。
母が死ぬが、死に目に会えなかった。久し振りに、出来のよい子に出会った。 |
君の涙ドナウに流れ ハンガリー1956 |
07/11/18 ハンガリー
クリスティナ・ゴダ監督
イヴァーン・フェニェー カタ・ドボー |
ソ連が支配していたハンガリーの「ハンガリー動乱」として知られた革命と、オリンピック史に残る、メルボルンの水球チームの「メルボルンの流血戦」。
その時の、水球選手と女子学生の愛情と戦いの物語。
一方に、多くの裏切りと犠牲者をだした悲劇があり、一方に金メダルの栄光がある、女性監督の映画。 |
鳳凰 わが愛 |
07/11/23 中国
金琛(ジヌ・チェヌ)監督
中井貴一 苗圃(ミャオ・プゥ) 郭濤(グォ・タォ) |
鳳凰は、不死鳥で、鳳は雄、凰は雌といい、鳳は凰を求める、と言われてきた。
結ばれる愛よりも、求め続ける心で生きたという、中国映画。
「初恋の来た道」、「あの子を探して」 などの中国の良き時代が去ったと思ったが、そうでもなさそうだ。
1920年代の中国。物語の終わりは1940年代。求め続ける心で生きた30年。
恋人を助けるために些細な諍いから投獄されてしまったリュウ。反抗的なリュウは、懲罰の場で暴力夫を殺めたホンと運命的に出会う。
人生に絶望し、反発していた二人は、やがて心と心を近づけていく。長い刑務所生活で盟友リアンが温かく見守る中、壁を隔てた二人の愛は叶うはずがないと思われていたが、歴史の変遷を得て、共に釈放され、探し求めるが、共に老いて、遂に出会う。
良き友達、導く人リアンの登場。ホンの意志に従い、刑務所に戻るリュウ。孫と遊ぶ仇を見て復讐を諦めるリュウ。リアンの遺体を故郷に運ぶリュウ。夫婦らしくするホンを見て引き返すリュウ。鳳凰の彫刻、落書き、札、30年付き持とう。 |
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